「より一層芳醇な、グロ描写を考えていたんですよ」『コープスパーティー Book of Shadows』原作者・祁答院慎の素顔に迫る

「より一層芳醇な、グロ描写を考えていたんですよ」『コープスパーティー Book of Shadows』原作者・祁答院慎の素顔に迫る

祁答院慎に迫る!

 9月10日から、グロテスクシーンが追加されたアンリミテッド版が公開され、ますます盛り上がりを見せるホラー映画『コープスパーティー Book of Shadows』。今回、その脚本へのこだわりについて、原作者である祁答院慎を取材。その素顔を明かすべく、ファンなら気になっている、“あのこと”にも触れてみた。
【注:本記事には、作中のネタバレを含みます。ご注意ください。】

■青木さんを見た瞬間「刻命君だ!」と思った

――今回の『コープスパーティー Book of Shadows』は、青木玄徳さんが演じた刻命裕也の怖さがよく出ていますが、どのようなテーマで作られたのでしょうか?

祁答院慎(以下、祁答院) 前作が『コープスパーティー ブラッドカバー リピーティッドフィアー』(以下、BRF)の実写映画化だったので、あのラストから直につながるものを考えようと思ったとき、ゲームの続きである『コープスパーティー Book of Shadows』(以下、BS)を実写化すると一番きれいにつながるのかなというところから、制作が始まりました。そして、前回、描ききれなかったキャラクターがたくさんいた中に刻命君がいて、僕も大好きですし、ファンの方々の人気も高いキャラクターなので、企画当初から今回は彼をぜひ出そうという話になっていたんです。役者が青木玄徳さんに決まって、写真を見せてもらったとき、「うわァ刻命君だ!」と驚きが口をついて出ていました。キャラクターが三次元になったときにそのイメージはどうなるか、という不安はつきものですが、青木さんのクールでバッキバキにキマった写真を拝見した瞬間、そんな心配なんて消え去ったものです。

――刻命裕也を映画で描くうえで、どのようなこだわりがありましたか?

祁答院 やはり人気のキャラクターでもあるので、“彼を描くならお約束”のシチュエーションや台詞を、実写でも違和感なく盛り込めるようにと働きかけました。なかでも、これは大きなネタバレになるのですが……原作で刻命はサチコに面白半分に改造されて、人体模型にされるんです。憐れな彼の成れの果て、これは絶対に外せないと思っていました。今回、ちょっと違うアプローチですが、それを踏襲した運命が彼を待っています。

――私も拝見したとき、「人体模型キター!」と思いましたよ。

祁答院 そうなんですよ。“半分が人体模型風”という感じですよね。脚本をチェックさせていただいた時、上手くアレンジしてくださったな、とうれしく思いました。あと、刻命といえば、肩掛けジャケットですかね。今日、そんなことする男子高校生がいるのかとは思いますがこれも刻命君のアイコンのひとつです。ただここにも、どうせやるならギミックに取り入れたいという思いがありました。映画ではほとんどジャケットに袖を通しているのですが、ハイライトシーンで、シュッと脱いで肩にかけたとき、袖に付いた血が明らかになるんですよ。

――こだわりが生かされたシーンですね。今回の脚本は、難産だったそうですが、脚本全体として苦労された点はどのようなところでしょうか?

祁答院 原作の『BS』は、主人公たちが何度もループを繰り返して、多様なバッドエンドが待ち受けるいろいろなルートを模索してみるというゲームだったのですが、そこをタイムリープものとして生かせないかと提案しました。何度もやり直させられる残酷な運命、一人の登場人物でも何度も死亡シーンがあるというホラー的には美味しい案を推していたのですが、映画としてみたとき、何度も繰り返すと尺の関係もありますし、混乱してくるだろうということで、直美たちに科せられた運命のやり直しは1度だけ、ということになりました。

――先生がやりたかったシーンはありますか?

祁答院 こだわった中で、入れられなかったシーンとしては、刻命と持田由香ちゃんの絡みですね。「由香ちゃん、これじゃあ、おトイレ行けないね」と言う刻命君、見たいじゃないですか(笑)。刻命が一線を越えそうな時、由香の優しさから踏みとどまれそうになったり、また闇に落ちてしまうきっかけもそこに置いてみたりと、この映画にしか描かれない未来の可能性を、シナリオで提案したりもしましたね。他には、前回の映画を撮った後に、中嶋直美役の生駒里奈さんが「もっと血まみれにしてほしい」とおっしゃっていたので、その熱意と愛情にお応えしたくて、またお話をつくる側としてはその想像を超えてゆく意味でも、いろいろ策を練っていたんです。ホラークイーンとして美味しい血まみれのシーンはもちろん、お腹をバサッと斧で切られ、こぼれ出ようとする内臓を押さえながら果敢に戦う友情熱いシーンとか。ほかにも監督の構想されていた強烈なシーンもあったりして、現バージョンでは入れきれなかった、より一層芳醇なグロテスクな描写も考えていたのですよ。案はたくさんありますので、次回作があれば、懲りずに提案しまくると思います(笑)。

――グロテスクといえば、アンリミテッド版は先生の意向が反映されたシーンが多いということですが、見どころはどのシーンですか?

祁答院 良い追加シーンがたくさんあるのですが、なかでも石森虹花さんが演じている篠崎あゆみ(演・前田希美)のお姉さん、篠崎ひのえが刻命の餌食になるシーンが印象深いですね。ノーマルバージョンだと、ひのえが姉妹愛を見せてカットが切り替わるのですが、アンリミテッド版だと、その後、さらに追い打ち描写が入るんですよ。ドラマのように簡単に命をオフには出来ない、大怪我をしても人は簡単に死ねない。原作でアンチテーゼ的に持たせている“死という到着点に向かう行為”の本当の恐ろしさを、要素として少し表せたシーンだと思っています。

■早くしないと、穂之香ちゃんが育っちゃいます!

――祁答院先生は撮影現場にも足を運んだそうですが、印象に残っていることは何ですか?

祁答院 持田哲志(演・池岡亮介)、岸沼良樹(演・JUN)、あゆみ、直美、の如月学園の生徒たちの一体感ですね。皆さん本当に仲がよくて、ずっと楽屋でふざけ合っているんです。それを見ていると修学旅行を見ている感じでした。前作の撮影で絆を深めてからの2作目の撮影なので一層結束も強くなられていて、本当にリアルに如月学園のあの子たちがここにいるという感じでうれしかったです。

――祁答院先生が“大好き”な、サチコ役の内藤穂之香ちゃんは、いかがでしたか?

祁答院 “天使”ですね。控え目に言って。血が飛び散り、怒号も飛び交う精神力を必要とするシーンの撮影が連続する中で、穂之香ちゃんが現場をちょろちょろと走り回ってみんなを癒しているのが救いというか、むしろギャップで凄惨なシーンが際立ったというか。ともすれば闇堕ちしかねない過酷なホラー撮影の現場を、陰で支えてくれていた一人だとも思いますね。

――メイキング映像を見ると、より本編が引き立つということですね。

祁答院 アンオフィシャルではありますが、役者のみなさんが撮っていた動画ムービーがあるんです。例えば、JUNさんがラーメンを食べていて、目の前にいる池岡さんが「ちょっと食べさせてよ」とおっしゃる。JUNさんが「じゃぁ、あげるよ」と箸で麺をすくって「はい、あーん」と近づけたら、池岡さんがそれを力強く吹いて、スープがJUNさんの顔にビチャッとかかる。ドヤ顔が止まらないドSな池岡さんと、「熱いッ」ともだえ苦しむJUNさん、それを見て爆笑する前田さんと生駒さん……といった本当に愉快なオフショット映像がいっぱいあるので、機会があれば、ぜひみなさんに見てもらいたいですね。

――それはぜひDVDに収録されることを願います。出演者のみなさんの仲の良さももっと見たいところですが、続編はあるのでしょうか?

祁答院 今回の終わり方が、前回以上に「どうするんだ?」という終わり方をしているので大変ではあるのですが、もう気が早いところで、続編の構想自体は僕の中にいっぱいあります。軽く10個くらいできているので、もし続編のお話があれば、脚本はどんどん書けると思います。

――それはぜひ期待したいところですが、『コープスパーティー2』(以下、2)のゲームの制作もありますよね?

祁答院 『2』の制作も、チームグリグリメンバーみんなで全力で頑張っているので、実写版でも天神小学校編をしっかり描き切った後に、『2』のパトリアーカル病院編につなげられるといいなと思っています。

――先生の中ではまだ、天神小学校編は描き切れていないということですか?

祁答院 原作ゲームでは、『BS』のあとに、『コープスパーティー -THE ANTHOLOGY- サチコの恋愛遊戯▼Hysteric Birthday 2U』【注:▼は黒のハート】(以下、2U)、さらに『コープスパーティーBLOOD DRIVE』があります。そのあたりのお話が、まだたくさん残っているので、映画でも描きたいですね。

――『2U』はコメディですが、それも映画でやる気なのですか?

祁答院 やってみたいですね。前述の通りコメディの呼吸はもう出来ているメンバーなので、相当面白くなると思います。いじめられて(?)輝く良樹は、もうJUNさんでないと出来ません。とはいえ、コメディといっても原作もベースはホラーなので、“天神小鉄骨渡りに失敗しては即死、サチコに気安く運命をループさせられ何度も挑まされる黒崎”……といった、シュールなブラックユーモア満載のホラーカテゴリの作品ができると思います。

――サチコも水着で泳ぎますか?

祁答院 (目を輝かせながら)もちろんです! 白スク水で! 早くしないと、穂之香ちゃんが育っちゃいます!

■我慢をする人って、美しいじゃないですか

――内藤穂之香ちゃんといえば、祁答院先生がこだわり抜いた「サチコTシャツ」が発売されましたね。なんでも、「このアイテムは『怖い』よりは『可愛い』で推したいです」と押し通したとか。

祁答院 商品ラインナップ全体として、怖くしていくというのももちろんある中で、やはり初めて役者さんのお写真を使わせていただくアイテムだから、穂之香ちゃんのよさが前面に出ていないと意味がないのではと。かわいらしさや儚さ、役者さんの持つ意志の強さをしっかり前に出したかったのです。

――祁答院先生の中では、“サチコTシャツ”ではなく、“穂之香Tシャツ”だったということですね。

祁答院 8割くらいはそうです。残りの2割は、ちゃんと“怖いサチコ”という配分で、アイテムにしたいなという願いがありましたね。

――祁答院先生が、“幼い女の子”にこだわる理由を教えてください。

祁答院 特に何があるわけでもないのですが、サチコというキャラクターを造形したとき、根本にあったのは、子どもの持つ神秘性や、そこに対して大人が感じる、ある種の怖さを表現したいという思いでした。今は、付加価値的に「萌える」とか言っていますが、中心にあるものは、透明感、無垢感、そこに対する憧憬や畏怖、そういった五感を刺激する存在としてのリスペクトです。

――『BRF』では、持田由香がトイレを我慢する描写がありますが、これはどのような発想で生まれたシーンなのでしょうか?

祁答院 由香のトイレを我慢する描写は僕の性癖から発祥しているといった俗な話ではなく、天神小のような極限状態のプレイスで追いつめられたとき、現実的なところで、最初にくる問題が生理現象だと思うのです。水が流れない、詰まったトイレってだけで、友達と一緒だったりしたらもう使うのを躊躇いますよね。いろいろなホラー作品を観ていても、そのあたりは曖昧にぼかしていることが多い。そこを掘り下げる意味の有無、という判断だと思うのですが。僕の場合はそこも、キャラクターを追い詰める重要な要素だと考えているので、それが発露しただけです。必然として紡いだだけのシーンであるからして、僕の歪んだ何とかだとかそういうものではない、そう僕は信じているんですよ(訴えるような目で、祁答院は語った)。

――確かに、作中では人を食べる描写など、リアリティがあるなと感じていて、そこがほかのホラー作品とは違うところですよね。でも、祁答院先生にかかると、どうも趣味のように見えるのが不思議です。

祁答院 “外道淫”の方ですよね。なんでしょう。まあ、我慢をする人って、美しいじゃないですか。何かに耐えるというのは、まず応援したくなるというのもありますし、シチュエーションがプリミティブであるほど共感できるというか、見守ってあげたくなる要素かなって。

――ともあれ、祁答院先生の描く作品は、心霊現象よりも人の怖さに重きを置いている節がありますよね。

祁答院 「霊よりも人のほうが怖い」とよく言われるのは、人の存在のほうが身近に想像しやすいからかとも思うのです。受け取る側も、描く側も。怨霊の存在も、より近くに感じられる描写に成功したときは、本当に怖い体験をお届けできるのだろうなと、日々模索しています。

――なるほど。祁答院先生は、そうした“人の怖さ”を実感した体験などはありますか?

祁答院 『コープスパーティー ブラッドカバー』の同人版を制作していたとき、当時住んでいたマンションの隣のお部屋の方が、ゲームを作っている最中に限って、すごい泣き声を上げていたことがありましたね。作り終えたとき、その方は引っ越しをされたのか居なくなっていたので詳細は不明です。ほかにも大小合わせると、わりと怖いことはいろいろとありましたね。霊障というよりは人災が多かったです。運気的な意味でも、心霊を扱う作品を作るときは、護摩焚きにいった方が良いといいますが、まるで気にしないまま作っていましたね……(笑)。ただ、経験した恐怖体験は、全部ゲームに生きていますよ。

――祁答院先生がお払いにいかないほど、『コープスパーティー』が面白くなるということですね!

祁答院 そうですね。将来的に、『コープスパーティー2』が実写映画化されたとき、「祁答院慎の霊に捧ぐ」みたいなのが出るような状況になっていなければいいなと思いますね(笑)。次につなげるためにも、これからもみなさん、応援をよろしくお願いします。
(取材・文/桜井飛鳥)

■『コープスパーティー Book of Shadows』アンリミテッド版
9月10日よりキネカ大森ほか全国順次ロードショー
【出演】生駒里奈(乃木坂46)、前田希美、池岡亮介、石川恋、水石亜飛夢、JUN(BEE SHUFFLE)、喜多陽子/石森虹花(欅坂46)/青木玄徳 ほか
【監督】山田雅史
【原作】Team GrisGris/5pb.Games(MAGES.) 
【原作監修】祁答院慎
【主題歌】「砂漠の雨」今井麻美(5pb.Records)
【配給】ツインピークス、キャンター
【公式サイト】cp-movie.jp

■祁答院慎(けどういん・まこと)
大阪技術大学・映像学科卒。リメイク・外伝とシリーズを重ねるコープスパーティーシリーズのクリエイターであり、1997年制作の原作版は第2回アスキーエンタテインメントソフトウェアコンテスト最優秀賞を受賞。コミカライズ、ノベライズ、アニメーションと幅広い展開が行われている同シリーズの原作監修を勤めるほか、AKB48 GROUP ShortShorts・映画『9つの窓』より『Dark Lake』の脚本原作、オリジナルシリーズ『DOLLSFALL/ドールズ・フォール』『はるかぜちょーじょーぶ!』『限界聖布★マジカルパンツァー!』など多数のマンガ原作脚本を執筆する等、精力的に活動中。猟奇的ホラー作品を得意とする。
【Twitter】@Kedwin

■『コープスパーティー Book of Shadows』祁答院慎デザインアイテム発売
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