異常に興奮する……! 魔女っ子がまたがるあの銃は“対戦車ライフル”『終末のイゼッタ』

異常に興奮する……! 魔女っ子がまたがるあの銃は“対戦車ライフル”『終末のイゼッタ』

TOKYO MX『終末のイゼッタ』番組サイトより

 今回は秋の新アニメ放送記念として、「武器でみる映画」番外編です。今期も盛りだくさんの新アニメ。その中でもミリオタセンサーに引っかかった『終末のイゼッタ』(TOKYO MXほか)を紹介します。

 西暦1940年、ゲルマニア帝国にブリタニア王国、さらには魔女といった言葉が登場する僕らが知っている歴史と似て非なる世界が舞台です。

 蒸気機関車の中、ゲルマニア帝国の兵士が、写真で誰かを探しています。この兵士の制服は、いかにも“ナチスっぽい”。兵士が手にしてる銃は、ルパン三世シリーズで有名な「ワルサーP38」で、これは第二次大戦中のナチスドイツ軍正式採用拳銃です。

 対して、アルプスの小国エイルシュタット公国の姫フィーネを護衛するトビアスの銃は「ワルサーPPK」です。同じワルサー拳銃でも軍用拳銃のP38と私服警察・要人警護用拳銃のPPKとの対比で、キャラクターを描き分けています。

 ここで、ナレーションが入ります。ふむふむ。現実社会でいうところのゲルマニアはナチスドイツ、ブリタニアはイギリス、テルミドールはフランス、エイルシュタットはリヒテンシュタインとなっていると。そこに、ゲルマニアが戦争を仕掛けるわけです。現実と似て非なる世界の戦記物語、ワクワクします。

 行進する兵士の持つライフルは「カラビナー98k」です。この98kは時代を象徴するボルトアクションライフルです。ボルトアクションとは自動小銃の連射とは違い、手動で装填するタイプのライフルで、一見すると、面倒くさそうですが、弾詰まりを起こす確率を極端に減らせるため、大戦中は愛用する兵士が多かった武器とされています。

 戦争を扱った映画で、米ソの兵士がどこからともなくドイツ兵に狙撃される。そんな恐怖を象徴的に表しているのが、このカラビナー98kなんですね。

 フィーネがブリタニア外相と同盟交渉中に、ゲルマニアがエイルシュタットに侵攻した報告を受けます。“航空機と戦車による電撃作戦”を得意とするゲルマニアが、急降下爆撃機ユンスーカ社の「Ju87シュトゥーカ」で爆撃します。エイルシュタット兵は高射砲や機銃で反撃しますが、当たりません。これは現実もそうですよね。

 その時エイルシュタット兵が装備しているライフルは、当時のフランス軍正式採用ボルトアクションライフル「MAS36」です。時代を感じます。

 ほかにも時代を象徴する「III号戦車」と「IV号戦車」が登場します。ドイツといったら、戦車ですよね!

 さらにその交渉中、ゲルマニアの軍人が部下を引き連れて、乱入します。その時、フィーネの護衛を金ピカの「ルガーP08」で撃ちます。銃声は? と疑問に思うかもしれませんが、その会談の場がオペラ上演中の劇場なので、聞こえない、ということなのでしょう。

 このルガーP08、ワルサーP38の採用前の正式採用拳銃です。自動拳銃の歴史の中では古い方で、トグルアクションという独特なものです。職人が手作りしている部品も多く、ルガーP08同士でもパーツの互換性がない、といった欠点を多く抱えています。

 ワルサーP38が登場する1940年代では、非常に扱いづらい実戦に不向きな拳銃となってしまいました。それを金ピカに装飾している。まさに“何の意味もない”銃です。それを見せびらかすように使っているということから、このキャラは“古参で、地位が高く、見栄っ張り”ということが読み取れますね。

 ちなみに、この金ピカルガーP08は実在します。ナチスドイツの高官たちが、贈り物として好んだという逸話があります。大戦中の日本軍将校たちもルガーが大好きで、菊の模様を刻印した通称“菊ルガー”を所持していたという話があります。

 ユンカース社の航空機「Ju52」で移送されるフィーネ、その手前には、あの「シモノフPTRS1941対戦車ライフル」が置いてあります。

 これ! この『終末のイゼッタ』のコンセプト画像で主人公のイゼッタがほうきの代わりにまたがってる銃、それが「PTRS1941」。

 あの画像、主人公の女の子が対戦車ライフルにまたがってる画像、これ見て、すぐに記事書きたいって思いました! なぜか武器マニアは対戦車ライフルに異様に興奮するんですよ。僕もその病気です。

 ここで、対戦車ライフルについて解説します。その名の通り、戦車の装甲を貫く、大型ライフルです。複数人で運用するものもあります。時代が進んで、個人で扱える炸裂系の対戦車兵器「RPG−7」や「カールグスタフ無反動砲」の発展と、戦車の装甲強化に伴って、対戦車ライフルは対物ライフル(アンチマテリアルライフル)と名称を変えていったわけです。

 このシモノフPTRS1941は一人で運用するソ連製対戦車ライフルですが、全長2m超、重量約21kgのバカデカイ銃です。

 シモノフPTRS1941、その名の通り、1941年設計製造の銃です。ん!? お気づきでしょうか? 舞台は1940年です。ここまで、徹底した時代考証を基に武器を登場させてきたのに! まだ、誕生していないはずの銃が登場しているんです。

 いやきっと、これには何かカラクリがあるはずです。試験段階の武器を盗用したとか、魔法とか! あるいは、この武器だけが架空世界である本作の象徴なのかも。

 なんにせよまだ第1話なので、どうなるか楽しみです! これから各国の武器もたくさん登場することでしょう。実際に存在した武器を模すことでリアリティを出そうとするアニメーターの情熱をが伝わってきます。

 今後はどんな武器が出るのか、いや〜、武器って本当にいいもんですね〜。
(文=二木知宏[スクラップロゴス]]

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