コスプレ公務員「バナナ姫ルナ」爆誕から1年! 「キャラクターとして始まったのに、中の人に関心を持たれることが多い」

コスプレ公務員「バナナ姫ルナ」爆誕から1年! 「キャラクターとして始まったのに、中の人に関心を持たれることが多い」

「バナナ姫ルナ」コスプレの中の人こと井上純子さん

 観光スポット「門司港レトロ」が人気を集める福岡県北九州市の門司港。「バナナのたたき売り発祥の地」としても知られる当地で誕生した新キャラクター「バナナ姫ルナ」が話題だ。

 この「バナナ姫ルナ」は、一昨年10月に開催された「門司港バナナ博物館2015」にて誕生したキャラクター(イラスト:しいたけ)だが、昨年7月の「バナナ資料室オープニングイベント」以降、市職員がコスプレをするという意表を突いた展開を見せている。

 コスプレをしているのは北九州市産業経済局観光にぎわい部観光課の井上純子さん。彼女が「バナナ姫ルナ」のコスプレを着こなすようになってからの1年を振り返ってもらい、そして気になる今後の展望にも触れてもらった。


■自身でやると人件費かからず費用対効果が高い コスプレ公務員が誕生した経緯

 井上さんが観光課に配属されたのは2年前の15年。それまでは異なる部署を渡り歩いていたという。

井上純子さん(以下、井上) 区役所内での勤務がほとんどですが、窓口業務なので市民の方と実際ふれあう機会はありました。(現在のような)観光課のような企画の分野だったり、遠方の方に来ていただくようなイメージアップとかの業務は初めてですね。生まれも育ちも北九州市で、中からしか市内を見てなかったんですが、観光課への配属は私の希望でもありました。

 長年の夢というわけでもありませんが、観光課は外に行って北九州市の良いところをPRするという業務がある、市役所の中でも人気の部署です。人前に出るPR活動などが苦手ではないので、積極的にPRできるのがいいですね。

「こくらハロウィン」は北九州市小倉北区で13年から始まったハロウィンイベント。井上さんは個人的に参加していた15年の時に、グランプリを受賞した。

井上 こくらハロウィン2015」でグランプリをいただいたのは観光課の配属1年目です。週明けの朝会か何かで上司が触れてくれまして、そこでコスプレが好きなんだなというイメージを周囲に持たれたみたいです。よく『コスプレイヤーなんですか?』って聞かれるんですけど、そうではないんです。ただ個人的に友達とサンタの格好をしたりはしますが、「こくらハロウィン」以外のコスプレイベントには出てません。

「こくらハロウィン」は衣装だけの評価じゃなくて、いかに来場者にインパクトを残すか、楽しんでもらえるかも重要視されます。

井上 観光課の中でも様々なセクションがあって、他にはそれぞれ国際観光とか、ものづくりや産業観光、観光施設の管理をしている係に分かれています。今は国内客を市内に誘致する担当のラインにいるんですが、他の自治体でもされてるような、遠方で開催されるイベントでブースを出展して、(揃いの)法被やポロシャツを来て「北九州に来てください!」というPR活動はコスプレをする前からやってました。

 そうした他の自治体でもされてるようなPRをやってはいたんですけど、反応はイマイチでした。京都みたいな人気の観光都市とかだったら足を停めてパンフレットをもらってくれると思うんですけど、北九州市は観光都市としては知名度が高くないので、「ゆるキャラ」を連れた他の自治体と同じやり方では話題にならないですし、(魅力を)伝えることすらできない状況だったんです。

 かくして「こくらハロウィン」でのコスプレ経験が、そのまま業務へとつながることになった。

井上 人前に仮装して出てPRしたりという特技をコスプレで活かせないかなと思いました。市では「北九州ポップカルチャーフェスティバル」をやっていますし、「北九州市漫画ミュージアム」もありますし、漫画家の松本零士先生とか縁のある方もいらっしゃいます。工場の夜景を見る“工場萌え”もありますし、これらを活用した観光促進で誘客を図っていくことにしました。

 コスプレでの観光PRは他の自治体でもなかなかないので、覚悟と勇気が要るものでしたが、職場・上司を含めて色んな話し合いのもとでやろうと決めました。いざやってみたら、他の自治体と並んでも「ゆるキャラ」であり「キャンペーンレディ」でもあるような、人件費がかからなくて費用対効果は高いなと思いました。


■話題になったのは公務員がコスプレしたから 異動で2代目が誕生する可能性も?

 井上さんが初めてコスプレをお披露目したのは、冒頭の通り、昨年7月の「バナナ資料室オープニングイベント」である。ここでいきなり幸先のよいスタートを切った。

井上 最初に市内のマスコミ向けに発表した際に、NHK全国放送の「ニュースチェック11」で取り上げてくれたんですね(『市職員がバナナのキャラクターで観光PR 北九州』)。今年1月には朝日新聞大阪版でも取り上げてもらい(『バナナ姫になった市職員、本格コスプレで観光PR出張』)、知名度が広まったかなと。自らアポイントを取って行ったわけなんですけど、思った以上でしたね。

 イベントとかに出てても「ゆるキャラ」と同じ感覚で「テレビに出てた人ですか?」「本物ですか?」「何体いるんですか?」「2体目ですか?」とか聞かれます。

 最近、観光課が参画したものとして、山口県下関市と共同制作し、3月に公開したPR動画「COME ON! 関門!〜海峡怪獣〜」が話題となった。「バナナ姫ルナ」も4月にPR動画を公開している。

井上 「バナナ姫ルナ」の動画は広告代理店経由でないので、タレントだったら出演するだけだと思うんですけど、どういったものを撮るかという企画段階の調整から、撮影の許可などのアポイント取りまで、全て自分でやりましたね。

 動画制作以降は、門司港は『焼きカレー』でも有名なので、5月に地元の企業が「バナナ姫ルナ」のパッケージデザインのレトルトカレーを発売しました。カレーにはバナナも入っています。

 このような感じで1年が経ちました。ただ去年は話題にしてもらおうという年だったので、色々と取材していただけましたが、今年はキャラクターとして受け身では終わりたくないということです。私もただ衣装を着る職員ではなく、もっと次にできることを考えていきたいなという年ですね。

 とはいえ、やはり気になるのは今後の活動。公務員にはありがちで避けられない、数年で担当者が入れ替わるという懸念が既にある。

井上 それは本当にその通りでですね、他の自治体でもそうだと思うんですけど、私も3年目なので、今後どうなるかハッキリしていないんですが。「バナナ姫ルナ」の活動も業務としてやってるので、異動が深く関わってくるところではあります。私が個人の趣味でやっていれば異動も何も関係ないんですけど。

 市の職員としてコスプレで観光PRをしているということが話題になっているので、業務ですることが必要だと思いますが、その先はまだわかりません。(始めた当時は)そこまで考えてませんでした。こんなに話題にしてもらえるとは思ってなかったんですよね。もともと観光PRの中の予算でやっていて、「バナナ姫ルナ」用の特別な予算があるわけでもないですし。

 仮に次の人にバトンタッチとなる場合には、どうなるのだろう。ちなみに同じ北九州市には、観光PR大使でもあるローカルヒーロー「キタキュウマン」もいる(記事参照 http://otapol.jp/2014/07/post-1162.html )。「キタキュウマン」には中の人として“滝夕輝”がいるが、彼は個人で活動しているので異動の悩みはない。

井上 キャラクターとして始まったのに、中の人として関心を持たれることが多いですが、みなさんのニーズに合わせて考えてみようかなと思っています。
(取材・文/真狩祐志)

■【公式】バナナ姫ルナのコスプレ観光PR
http://www.city.kitakyushu.lg.jp/san-kei/09600052.html

■北九州市観光サイト ぐるリッチ!北九州
http://www.gururich-kitaq.com/

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