土屋太鳳、8年間で大学を卒業「恩返しできる資格を得た」 キャリアや学習を次の世代に役立てたい

土屋太鳳、8年間で大学を卒業「恩返しできる資格を得た」 キャリアや学習を次の世代に役立てたい

土屋太鳳 クランクイン!

新春ドラマスペシャル『優しい音楽〜ティアーズ・イン・ヘヴン 天国のきみへ』で、テレビ東京ドラマ初主演を果たす土屋太鳳。本作では忘れられぬ過去を背負いながら一歩踏み出していく女性をみずみずしく演じるなど、女優道をひたむきに歩んでいる。2021年は大学卒業という節目を迎え、「卒業生として大学に恩返しする資格を得られた」としみじみ。積み重ねているキャリアや学んできたものを「自分だけのものにするのではなく、社会にどうめぐっていくかを考えていきたい」と未来を見つめる。土屋が今、大人の女優として目指すものを明かした。

■強力タッグのドラマでテレ東初主演「とてもステキなお話に出会えた」

 『そして、バトンは渡された』で本屋大賞を受賞した瀬尾まいこの原作を、映画『いま、会いにゆきます』、連続テレビ小説『ひよっこ』(NHK)の岡田惠和の脚本でドラマ化する本作。鎌倉の洋館に家族と住む女子大生の千波(土屋)が、江ノ電の極楽寺駅でタケル(永山絢斗)と出会ったことをきっかけに、封印されていた“歯車”が動き出す様子を描く。なぜ千波はタケルに近づいていくのか?というミステリー要素もありながら、彼らの恋愛模様も描かれた作品となっており、土屋は「とてもステキなお話に出会えた」とにっこり。

 「初めて台本を読んだときには、胸が締め付けられるような悲しさも覚えました。千波の家族は幸せに見えますが、実は心に悲しさや虚しさを抱えています。今の日本は戦争もない幸せな時代だと言われていますが、“自分の夢は叶うのだろうか”、“自分は幸せになっていいのだろうか”という不安を抱えている人がたくさんいると思います。日常に潜む悲しみを描いている本作は、今の時代に合ったドラマだなと感じています」と現代を生きる人々に寄り添い、「悲しみを抱えた人々を描きながらも、繰り広げられる会話劇はとても柔らかく、優しいもの。いろいろな方々に楽しんでいただける作品になっていると思います」と語る。

 演じる千波の印象を聞いてみると、「台本には“とてもきれいな子”って書いてあるんです。メイクさんのお力を借りたい」とお茶目にほほ笑みながら、「純粋で、悲しい出来事を経験しているからこそ、それに正面から向き合いたいという素直さを持っている女の子」と分析。「家族が大好きで、家族がいるからこそ今の自分があるというところは、私と一緒。千波の苦しさに寄り添っていきたいです」と意気込んでいた。

■初共演の永山絢斗に弱音を吐露…「私は演技に向いてないと思うんです」

 千波と出会い、彼女に一目ぼれする青年タケルを永山絢斗が演じている。初共演となった永山について、土屋は「永山さんはすごく大人な、かっこいい方です。タケルとしてとても朴訥(ぼくとつ)とした素朴な表情をされながら、永山さんご自身はとてもスタイリッシュな方なんです。監督からの信頼感もあって、“演技が出来るってこういうことなんだな、本当に役者さんらしい方だな”とつくづく思います」とほれぼれ。

 「私はいつも自分の表現の引き出しのなさに自分で愕然(がくぜん)としているんです」と打ち明けながら、「この作品の現場では特にそれを感じているので、ある時ふと“私は演技に向いてないと思うんです”と、弱音を吐いてしまった」のだとか。「すると永山さんは“そう思っているくらいがいいと思うよ”と受け止めてくださった」と優しい言葉をかけてくれたそうで、「千波がタケルへ心を開いていく速度や深度と、私が永山さんに対して信頼を感じていく速度や深度が、撮影を通してシンクロしているように感じています」と厚い信頼を寄せる。

■大学での学びも糧に 30代に向けて「もっと社会のことを知りたい」

 2005年、女優発掘オーディション「ミス・フェニックス」で審査員特別賞を受賞したことをきっかけに芸能界デビューを果たした土屋。現在26歳となり、「30代に向けて、少しずつでも社会のことを知りたい」と告白する。「女優として演じる役は社会で生きている人たちなので、もし社会のことを知らなかったら、女優としてキャリアを重ねれば重ねるほど、演技というより真似に近くなってしまうと思うんです。だからこそ、まずは“もう少し社会のことを知りたいな”と感じていて。そのためにも本を読んだり、出会う人の幅を広げたりしていきたいなと思っています」と誠実に、深く考えながら大人の女優への階段を上っている。

 女優業と学業の両立に奮闘し、2021年は8年間通った大学を卒業。「3月まではとにかく卒業することに必死でした」と明かす。「卒業式が3月15日だったのですが、ミュージカル『ローマの休日』の大千穐楽が1月12日で、そこからはレポートや試験のラストスパートが続きました。でもその時間があったからこそ、お世話になった大学に恩返しできる資格を得たと思っています。卒業に届かなかったら、やっぱりなかなか“卒業生”としてご恩返しすることは難しくなってしまうので、本当に良かったです」と安堵(あんど)の表情を見せる。

 “恩返し”という言葉にも表れているように、今の土屋が胸に刻んでいるのは「今までに得たキャリアや学習を、自分のものだけにしてはいけない」ということ。「それが次の世代や社会にどうめぐっていくのかを考えています。そう思うことは、大人としてはもちろん、女優としても大事なことなんじゃないかなと思っています」と力を込める。

 大学では、女性アスリートに関して専門的に学んだそうで、「“女性アスリートの三主徴”という大きな問題があって、激しいトレーニングを続けている女性アスリートには 、“エネルギー不足”、“無月経”、“骨粗鬆症”のリスクがあると言われています。“エネルギー不足”というのは、具体的にいうと摂食障害のことなんです。この三主徴は、実は芸能の仕事で踏ん張っている女性にも言えることだと思います。こういった学びも、いつか後輩の役に立てられたらいいなと思っています」とアスリートと女優業の共通点をあげながら、自分にできることに精いっぱい取り組んでいきたいという。身を削りながら演じる役柄や芝居に向き合う作業は、たしかにアスリートのようでもある。真摯(しんし)な思いを胸に、土屋太鳳は走り続けている。(取材・文:成田おり枝 写真:高野広美)

 新春ドラマスペシャル『優しい音楽〜ティアーズ・イン・ヘヴン 天国のきみへ』は、テレビ東京系にて1月7日20時放送。

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