強面刑事から頼りない夫まで――どんな役でもハマり役と思わせる西島秀俊の魅力とは

強面刑事から頼りない夫まで――どんな役でもハマり役と思わせる西島秀俊の魅力とは

西島秀俊 クランクイン!

西島秀俊の活躍ぶりが、すごい。昨年は、『シェフは名探偵』(テレビ東京系)、『真犯人フラグ』(※2クール連続放送/日本テレビ系)と二作のドラマで主演を務め、朝ドラ『おかえりモネ』(NHK総合)ではヒロインのメンターとして存在感を発揮した。さらに、劇場版『奥様は、取り扱い注意』、劇場版『きのう何食べた?』など四作の映画に出演。主演を務めた『ドライブ・マイ・カー』は、米アカデミー賞にノミネートされ、自身も第45回日本アカデミー賞で最優秀主演男優賞を受賞するなど大きな話題を集めている。本稿では、なぜいま西島が各方面から求められるのか、その理由を探っていきたい。

◆穏やかな夫から公安の顔にひょう変 『奥様は、取り扱い注意』での鮮烈な印象

 西島秀俊には、どんな役柄でも“ハマり役”だと思わせる力がある。『MOZU』シリーズ(TBS系×WOWOW)や、ドラマ『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』(関西テレビ・フジテレビ系)、『ダブルフェイス』シリーズ(TBS系×WOWOW)など激しいアクションを求められる役柄は、言わずもがな。『きのう何食べた?』(テレビ東京系)のシロさんのようなほのぼのとしたキャラクターまでこなしてしまうのだから、すごい。

 彼の出演作で特に印象に残っているのが、2017年放送のドラマ『奥様は、取り扱い注意』(日本テレビ系)だ。同作は、西島のイメージを大きく変えた作品と言っても過言ではないだろう。演じた伊佐山勇輝は、元特殊工作員の伊佐山菜美(綾瀬はるか)の夫。穏やかで平凡な理想の夫…のように見せていたが、実は菜美を監視するために近づいた公安警察だということが明らかになる。その“秘密”がバレた瞬間に、いきなり目の色を変えた時の衝撃はいまだに忘れられない。

 勇輝の秘密が明らかになった時、どれだけ視聴者をゾワッとさせられるかは、西島の演技に委ねられていたはずだ。序盤は、朝ドラ『おかえりモネ』や、『きのう何食べた?』で見せるような穏やかな表情で、“良き夫”としての印象を植え付ける。加えて、「もしかしたら、勇輝もなにか隠しているのでは…?」と匂わせる“ゆがみ”を、ちょうどいいあんばいで入れ込むのだ。そして後半は、ハードボイルドな作品に多く出演してきた経験を生かして、華麗なアクションシーンを見せつける。本作は、西島の魅力がふんだんに詰め込まれた作品だった。18日放送の『金曜ロードショー』(日本テレビ系)では、その劇場版が地上波初放送されるので、ぜひチェックしてほしい。

◆少し頼りない役柄もハマるのが強み
 
 アクションを求められる作品では、“この人が登場したら、大丈夫”と思わせるカリスマ性を醸し出す。その一方、少し頼りない役柄まで演じることができるのが、西島の強みである。2011年に放送されたドラマ『僕とスターの99日』(フジテレビ系)では、韓国のトップ女優であるハン・ユナ(キム・テヒ)の、冴えないボディガード・並木航平を好演。強靭な肉体を持つ彼とは正反対の、頼りない男性像を見事に表現していた。

 そして、3月13日に最終回を迎えたドラマ『真犯人フラグ』(日本テレビ系)では、周囲に心配されるほどのお人好しっぷりを発揮。第1話で「犯人っぽく見える人が犯人だとは限らないんじゃない?  真犯人は、これ見て笑ってるかもよ」とつぶやいた時の目の奥が笑っていない笑顔には背筋が凍ったが、それ以降は真面目すぎるマイホームパパとしての姿を見せていた。それにしても、表情だけで「怪しい…」と感じさせてしまうのは、『奥様は、取り扱い注意』の印象が強い西島ならではの強みだろう。

 現地時間27日には第94回アカデミー賞が発表され、『ドライブ・マイ・カー』もさらに注目を集めることになるだろう。今年はすでに、出演映画『シン・ウルトラマン』と『グッバイ・クルエル・ワールド』の公開が決定している西島秀俊。今後も新たなキャラクターで我々をさらに魅了してくれそうだ。(文:菜本かな)

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