乃木坂46・鈴木絢音が明かす “飽き性”の私が、10年間グループ活動を続けられた理由

乃木坂46・鈴木絢音が明かす “飽き性”の私が、10年間グループ活動を続けられた理由

乃木坂46・鈴木絢音 クランクイン! 写真:松林満美

乃木坂46「最後の2期生」となった鈴木絢音。3月28日に卒業セレモニーを控える彼女が、高校時代からの「辞書愛」を詰め込んだ書籍『言葉の海をさまよう』(幻冬舎)を出版する。グループの2代目キャプテンで1期生の秋元真夏が卒業する直前、ただ1人の“2期生”である彼女が卒業発表をしたことも話題に。自身を「飽き性」と称する彼女はなぜ、10年間にわたるグループでの活動を続けられたのか。書籍のエピソードとともに、胸の内を聞いた(本インタビューは鈴木の卒業発表前に実施)。

■ブログ執筆時は辞書、類語辞典で言葉を正確に調べる

 書籍『言葉の海をさまよう』は、グループきっての読書家で「辞書愛」に満ちた鈴木と、辞書を作る人々との対談集。辞書出版社・三省堂のバックアップで、辞書の編さん者、編集者、校正者、印刷会社、デザイナーなどに話を聞いた様子をメインに、「文学少女の休日」をテーマに撮り下ろした本書独自の写真ページ、対談を通して感じた「辞書愛」を語る鈴木の書き下ろしエッセイも収録している。

――本書で強い「辞書愛」を感じられる鈴木さんですが、いつから辞書を好きになったのでしょう?

鈴木:グループ加入後に上京してからです。きっかけは『新明解国語辞典』(三省堂)でした。「語釈(語句の説明)が面白い」とニュースで話題になっていて、書店へ買いに行ったんです。それ以前から、紙の辞書を愛用していましたけど、実際に読んでみたら面白くて、とりこになりました。

――鈴木さんが思う、辞書の魅力は?

鈴木:人っぽさです。元々、辞書は人間味がないもの、機械的なものと思っていたんですけど、とりこになってからは「書いた人の経験があるからこそ、できあがっている」と思うようになり、見方が変わりました。

――辞書を作る人々から話を聞いて、新たに学んだこともありそうです。

鈴木:学びしかなかったなぁ…。「好きこそものの上手なれ」というか。好きなことを仕事にしているときが一番幸せだと、辞書を作る方々から伝わってきたのがうれしかったし、学びでした。私も乃木坂46の活動で感じていましたから。

――乃木坂46メンバーとしての「好き」とは?

鈴木:パフォーマンスです。私自身、ステージに立つアイドルの皆さんが好きで、グループへ加入したので。同じ熱意を、辞書を作る方々からも感じられました。

――その熱量で作られた辞書を、メンバーとしてブログを書くときも活用しているそうですね。

鈴木:基本的には、言葉の意味や送り仮名を調べるために使っているんです。例えば、「悲しい」とか「寂しい」とか、感情を示すときに「この言葉で本当に表せているか」を確かめています。類語辞典も使っていて、同じ表現を繰り返さないように「似た言葉はないか」と調べるときもあります。

――それほどのこだわりだと、文章の校正も念入りに行なっていそうです。

鈴木:かなり時間をかけています。書いては消して、直して…と繰り返して。ブログの記事を「1本書こう」と決心してから、更新までに1週間以上はかかります(笑)。

――裏では相当な努力が(笑)。普段の口調も丁寧な印象ですが、会話でも言葉遣いに気を付けていますか?

鈴木:意識したいとは思いつつ、頭に浮かぶ言葉からどれを選ぶかで精いっぱいです。文章は事前に確認できるし訂正できますけど、会話中に訂正したら頭がこんがらがってしまうので、しゃべるのは苦手です(苦笑)。

■「飽き性」と自称しながらも10年間グループ活動を続けられた理由


――直近では、ドラマ『リバーサルオーケストラ』(日本テレビ系/毎週水曜22時)出演や書籍出版と、個人での活躍も広がっています。一方、活動の母体となる乃木坂46では、3月でオーディション合格から10年。その数字についての率直な思いは?

鈴木:すごく飽き性なんです、私(笑)。だから、これまで10年間も続けられたものがなかったし、奇跡です。乃木坂46が“時代の最先端”を走ってきたからこそ、飽きずに、慢心せず続けられた気がします。

――「飽きる」とは違うかもしれませんが、心が折れそうなときはありましたか?

鈴木:乃木坂46はシングルリリースごとにパフォーマンス時のポジションが変わり、見える景色も変わるので飽きることはなかったです。でも、加入後の研究生時代、アンダー楽曲でポジションが3列目だった時期は、あきらめそうになりました。もういいかな、というか…。「こんなに無理してまで、続ける必要はないかも」と考える時期はありました。

――悩んだ時期もありながら、その後は気持ちがプラスに転じたと。

鈴木:(秋元)真夏さんがユニット「真夏さんリスペクト軍団(秋元を筆頭に、相楽伊織、渡辺みり愛で結成。後に鈴木が加入した)」に誘ってくださって、真夏さんとしては何の気なしだったかもしれないですけれど、そうしたお話やお仕事で、ちょっとだけいいことっていうのかな。先輩との関わりがうれしくなって「もう少し続けてみよう」と思いました。

――そんな秋元さんも卒業されて、環境が変化。今やグループで唯一の“先輩メンバー”になり、周囲は後輩だけになりました。ここまでの過程で、先輩の1期生や同期の卒業に寂しさはありましたか?

鈴木:卒業の瞬間は寂しくてどうしようもなかったんですけど、2期生が私だけになってからの活動が続いたことで、不思議と寂しくなる瞬間が減っていきました。むしろ、卒業したメンバーが頑張っている姿を見て「私も頑張らなくちゃ」と励まされています。今も、同期とは現状報告会をしていますし、卒業後も仲良しです。

■10年でメンバーが私を“丸く”してくれた


――年始のブログでは、先輩として「後輩ちゃんたちと仲良くなりたい」と抱負を述べていました。実践できていますか?

鈴木:実は、以前からプライベートでご飯に行ってるんです。3期生では、向井葉月ちゃんと行きましたし、最近では、久保史緒里ちゃんと約束しました。4期生では、同じ東北地方出身の佐藤璃果ちゃん、黒見(明香)ちゃんと行ったこともあります。

――交流はあるんですね。ただ、ブログで「きっと私、話しかけづらいですよね」と自称していたのも気になり…。

鈴木:楽屋で誰も話しかけてくれないので、話しかけづらいのは変わらずだと思います。以前は、1人で読書していたこともあって、本を読んでいる人に話しかけるのは「すいません…」という感じになるでしょうし、気を遣ってくれたのかなって。最近は読書をせず、ほかのメンバーをボーッと眺めています。まあ、それでも話しかけられることがないので、後輩ちゃんたちからすれば「難しい人」に見えているのかもしれません(苦笑)。

――貫禄がある証拠だと思います(笑)。グループ「最後の2期生」となった今、やりがいは?

鈴木:難しい、何でしょう…。ライブのリハーサルでみんなが楽しそうに踊っている姿、頑張っている姿を見るとうれしくなるのは、やりがいかもしれません。

――かつての鈴木さんは「孤高の人」という印象もありましたが、今では周囲のメンバーを温かく見守っていて、内面に変化があったのかと思いました。

鈴木:そうかもしれません。最近は、自分より「みんなが幸せだったらいい、楽しかったらいい」と考えているんです。昔は「1人で生きていける」と思っていたので、協調性のカケラもなく、とがっていたんです(笑)。でも今は「みんなが主体」になりました。孤独を愛するタイプでしたけど、メンバーが私を丸くしてくれて「みんなといた方が楽しい」と思う人間に成長できました。

(取材・文:カネコシュウヘイ 写真:松林満美)

 『言葉の海をさまよう』は幻冬舎より発売中。価格は1650円(税込)

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