劇場版「キントリ」記念 映画化でも大ヒットした刑事ドラマシリーズを振り返る

劇場版「キントリ」記念 映画化でも大ヒットした刑事ドラマシリーズを振り返る

劇場版『緊急取調室 THE FINAL』場面写真(C)2023劇場版「緊急取調室 THE FINAL」製作委員会

人気ジャンルとして数多くの刑事ドラマが生み出されている中で、近年最も注目されてきたシリーズのひとつに挙げられるのが『緊急取調室』(テレビ朝日系)。2014年1月より4シーズンに渡りテレビ朝日系列で放送され、全39話の平均世帯視聴率は13.1%(関東地区・ビデオリサーチ調べ)を記録する大ヒットシリーズだ。そんな長年ファンに愛されてきた「キントリ」が、満を持して映画化する。そこで今回は、映画化でも話題を集めた代表的な刑事ドラマシリーズを振り返る。

◆映画は日本歴代興収ベスト10に君臨! 刑事ドラマの概念を覆した「踊る大捜査線」

 謎解きや銃撃戦、カーチェイスといった従来の刑事ドラマの定番を排除し、署内の権力争いや本庁と所轄署の駆け引きなどリアリティに満ちた警察組織の実情を描き、新しい刑事ドラマのあり方を示した大ヒットシリーズ「踊る大捜査線」。

 織田裕二演じる異色の主人公、企業の営業マンから転職したノンキャリアの刑事・青島俊作が、夢に見た理想の警察像との落差に押しつぶされそうになりながらも正義を貫こうとする姿に、日本中が夢中に。シリーズを重ねる度に強固になる、柳葉敏郎演じるキャリア警察官・室井との立場を超えた友情も人気を博した。そのほか、深津絵里、いかりや長介、ユースケ・サンタマリア、水野美紀など個性的な演技派キャストによる時にシリアスで時にコミカルなやりとりや、アドリブを多用した演出も熱狂的なファンを生んでいる。

 1997年から放送されたドラマは放送初回から高い視聴率をキープし、劇場版として公開された『踊る大捜査線』(1998年)は101億円、『踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』(2003年)は173.5億円、『踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ!』(2010念)は73.1億円、『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』(2012年)は59.7億円と、いずれも特大ヒットを記録。特に劇場版2作目『踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』は、日本歴代興行収入ベスト10に今なお君臨する超人気作として知られている。

 他にも、青島以外を主人公としたスピンオフ映画や、数々のスペシャルドラマが公開・放送の度に話題を集めた。刑事ドラマ&映画化大ヒットの歴史を作ったシリーズとしても見逃せないタイトルだ。

◆4度の映画化にスピンオフまで! ザ・バディものの金字塔「相棒」

 2000年年代以降の刑事ドラマを語る上で欠かせないのが、水谷豊演じる杉下右京が相棒と事件を解決する姿を描いた「相棒」シリーズ。寺脇康文をはじめ、及川光博、反町隆史など錚々たる俳優たちが“相棒”役を務め、2002年に放送を開始し、今やシーズン21という長寿シリーズに成長。テレビスペシャルはもちろん、スピンオフも制作され、「相棒」の世界観にどっぷりハマって抜け出せないファンが続出した。

 4度の映画化がされているが、第1作目『相棒 ‐劇場版‐ 絶体絶命! 42.195km 東京ビッグシティマラソン』(2008年)は44.4億、第2作目『相棒 ‐劇場版II‐ 警視庁占拠! 特命係の一番長い夜』(2010年)は31.8億、第3作目『相棒 ‐劇場版III‐ 巨大密室! 特命係 絶海の孤島へ』(2014年)は21.2億、そして第4作目となる『相棒‐劇場版IV‐ 首都クライシス 人質は50万人! 特命係 最後の決断』(2017年)は、17.3億円の興行収入をあげ、全て大ヒットを記録している。

 一度ハマった視聴者を逃さない魅力の一つに主人公・右京と相棒が築き上げる信頼関係は、豪華なゲスト俳優たちが次々に登場する中でも決してぶれずに描かれ続ける。1話見れば全話一気見間違いなしのバディ感こそが人気の秘訣!

◆「キントリ」最初で最後の映画化、劇場版『緊急取調室 THE FINAL』

 「踊る大捜査線」や「相棒」シリーズに次ぐ刑事ドラマシリーズからの映画化で今最も注目を集めるのが、「緊急取調室」シリーズ。可視化された特別取調室を舞台に、捜査一課の取り調べ専門チーム、緊急事案対応取調班(通称・キントリ)が、一筋縄ではいかない厄介な被疑者と“言葉の銃撃戦”を繰り広げながら、事件の裏に隠された「真実」を暴いていく人気シリーズだ。

 満を持しての映画化にしてシリーズ完結となる劇場版では、主演・天海祐希をはじめ、田中哲司、でんでん、小日向文世、速水もこみち、鈴木浩介、塚地武雅、大倉孝二など、お馴染みのレギュラーメンバーが大集結。テレビシリーズでは数々の豪華ゲスト俳優を迎え、天海演じる主人公・真壁有希子らキントリチームが被疑者の心に隠された真実を暴き“マル裸”にしてきた。取り調べのスキルを駆使してチームワークで臨む被疑者との対話シーンはもちろん、何より真っ直ぐに事件と被疑者に向き合い解決に邁進する真壁の姿にハマるファンが続出した。

 そして、劇場版「緊急取調室 THE FINAL」で真壁らキントリチームが取調室で対峙することとなるのは、なんと内閣総理大臣! 戦後初の40代の総理としてカリスマ性やリーダーシップ、的確な判断力を発揮し高支持率を得るリーダー長内(おさない)総理。日本列島を襲い各地に甚大な被害をもたらす災害が発生する中、官邸に「緊急災害対策本部」が設置されるが、長内はこの未曽有の非常事態の対策を図る重要な会議に、あろうことか10分遅れて到着する。日本列島を襲った台風が去り、各地の復旧が続く中、長内総理の前に突如現れた暴漢・森下による総理襲撃が発生し、拘束された被疑者・森下の取り調べのため「キントリ」メンバーが再集結することとなる。

 市川猿之助演じる内閣総理大臣、そしてその総理を突如襲撃する佐々木蔵之介演じる暴漢、キントリの<最後>にして<最強>の敵として相手に不足なしの最終決戦に注目だ。

 劇場版『緊急取調室 THE FINAL』は、6月16日より全国公開。

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