『リンカーン』はなぜ“伝説”? ダイナミックすぎ企画や番組から羽ばたいたスターたち<本日『ジョンソン』開始>

『リンカーン』はなぜ“伝説”? ダイナミックすぎ企画や番組から羽ばたいたスターたち<本日『ジョンソン』開始>

レギュラーとして出演していたダウンタウン(左から)松本人志、浜田雅功 クランクイン!

23日から新たに始まる『ジョンソン』(TBS系/毎週月曜21時)。かまいたち、モグライダー、見取り図、ニューヨークという今をときめく4組のお笑い芸人による注目のバラエティだが、これはかつて、ダウンタウン、さまぁ~ず、雨上がり決死隊、キャイ~ン、そして山口智充(2009年3月まで参加)という9人を中心に放送されていた『リンカーン』(2005年~2013年、同系)の後継番組とされている。同番組が終了して早や10年だが、なぜ今も『リンカーン』は語り継がれているのか? 名物企画、ブレイクタレントなどとともに紐解いてみたい。

■ダイナミックすぎる企画や芸人大集合の運動会で視聴者を驚かせた

 『リンカーン』は先述の9人のほか、多くの若手芸人が集い、大人数によるダイナミックな企画に挑戦していくことが多かった。例えば、浜田雅功の誕生日、彼に大好きな焼きそばをお腹いっぱい食べさせたいということで、1200倍もの大きさのペヤングソース焼きそばの完成をめざした。

 ところが最後、肝心の「湯切り」の瞬間、麺が湯切り口からあふれてしまうという大惨事に。再度作り直した後、浜田はその巨大ペヤング箱から、結局通常サイズの箱に麺を入れて食べていた。

 また、結成30年を迎えたダウンタウンを祝おうと、彼らの故郷・尼崎のソウルフードに着目し、後輩たちが通常の6000倍ものお好み焼きを調理したことも。だが途中、キャベツは“みじん切り”か“千切り”かを巡り、オアシズの大久保佳代子とアンガールズ田中卓志が言い争いに。最後は相撲で決着をつけるというバカバカしい展開も忘れがたい。

 『ジョンソン』の初回企画は芸人が総登場する大運動会。これは『リンカーン』の恒例企画でもあった。当時、競技開始前には体育委員長・春日俊彰が、「1、2、トゥース!」の掛け声に合わせて、50名を超える中年芸人たちがイヤイヤながらも一斉に「トゥース!」をしたり、出川哲朗が松本組、浜田組の大乱闘の中で、いつしか全裸になるのもお決まりに。

 いずれにしても、1つの番組のために、多くの芸人がスケジュールを合わせ、1日がかりで時間を割いて収録するというのは異例のこと。「芸人による芸人による芸人のための番組」のコンセプト通り、芸人が出たい番組だったことは確かだ。

■ダウンタウンも“NOT特別扱い” 全員が体当たりのレギュラー陣

 同番組の視聴率はM1層(20~34歳男性)の支持が高かったと聞くが、男子校的な熱気が番組を支えていた印象だ。

 回を重ねていくと単純に内輪ノリになりがちだが、『リンカーン』は世の中の話題の中心になることも忘れなかった。2006年、松本人志はプロ野球・横浜ベイスターズ(現・横浜DeNAベイスターズ)VS阪神タイガース戦の始球式に、短パン・ノースリーブ姿で登場。レイザーラモンHGばりに「フォー!」と叫ぶと、ボールではなく紙テープを投げたり、「ハンカチ王子」のネタを取り入れ、青いタオルハンカチで汗を拭いたりと“ファンサービス”を連発。最後は欽ちゃん走りで退場していたが、大ベテラン・ダウンタウンも特別扱いせず、現状に甘んじることなく、若手芸人さながら果敢に体を張るのもポイントだった。

■今をときめくスターも『リンカーン』出身

 さてレギュラーメンバー以外にも、番組から羽ばたいた芸人がいる。例えばバナナマン。世界各国にホームステイして人気を集めたドキュメントバラエティ『世界ウルルン滞在記』(同系)のパロディ版「世界ウルリン滞在記」で、渋谷のギャルサーに入門したのが日村勇紀。

 年下のガングロギャルから「日村」と呼び捨てにされながら、彼女たちと1週間パラパラを練習し、全国大会に東京代表として出場をめざした。“ギャルの中におじさんの日村”という奇妙な「画づら」にも関わらず、そこに自然と溶け込む姿はお茶の間にインパクトを与えた。

 おぎやはぎも番組に欠かせない存在だった。大物ダウンタウンと仲良くなるための企画「フレンドリーダウンタウン」に出演した2人。小木博明が特に仲良くなりたいと指名したのが松本人志だった。制限時間3時間の中でいくらでもタメ口をきけるが、敬語を1回でも使ってしまったらビンタされるという企画。つい敬語を使ってしまい、小木の“人の良さ”が認知された。この後、彼らはひな壇から、レギュラーメンバーの回し役としても活躍。今に通じる、大物にも容赦ないキャラができあがっていく。

 ちなみに、先の「ウルリン滞在記」を演出していたのが、制作会社「シオプロ」を立ち上げた塩谷泰孝氏。ダウンタウンは、日村とギャルサーのロケVTRをスタジオで見ていて「面白い」と言ったという。シオプロは現在、『水曜日のダウンタウン』や『バナナサンド』『オオカミ少年』(以上、同系)や『ゴッドタン』(テレビ東京系)の制作協力に名を連ねている。『リンカーン』では多くの芸人も育てられていったが、優秀なクリエイターも輩出していたのだ。

 その出世頭が同局の藤井健太郎氏。この番組のディレクターを経て『クイズ☆タレント名鑑』『クイズ☆正解は一年後』、さらには今や押しも押されもせぬ人気番組『水曜日のダウンタウン』(以上、同系)の演出を手がけている。時に物議を醸す『水ダウ』企画の原点は、毎回、いい意味での“悪ふざけ”ができた『リンカーン』にあったのかもしれない。

■『ジョンソン』に息づく『リンカーン』精神に期待

 そんな『リンカーン』の後継となる『ジョンソン』の総合演出・浜田諒介氏は、もともと『リンカーン』のADをしていた人物だ。コンプライアンスという名のもとに、面白かったはずの“悪ふざけ”がテレビ界から排除される中、その後継番組『ジョンソン』が担う期待と重責も大きい。(文:橋爪昭)

 『ジョンソン』は、TBS系にて10月23日より毎週月曜21時放送。初回2時間スペシャル。

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