池松壮亮、俳優人生“0か100”「役に入ったらとことん振り切る」

池松壮亮、俳優人生“0か100”「役に入ったらとことん振り切る」

池松壮亮、『宮本から君へ』インタビュー クランクイン!

新井英樹の伝説的漫画を映画化した『宮本から君へ』で、ドラマ版に続き主演を務めた俳優の池松壮亮。22歳のときに原作と出会い、歯を食いしばりながら悪戦苦闘する主人公の姿に大きな衝撃を受けたという池松が、本作に懸けた思い、さらには俳優としての生きざまについて熱く語った。

 原作の後半をベースにした本作は、新人営業マン・宮本浩(池松)が、蒼井優演じる恋人・中野靖子を守るため、命懸けの戦いに挑む“究極の愛の姿”を描いた熱血青春ドラマ。第56回ギャラクシー賞テレビ部門「奨励賞」を受賞したドラマ版に続き、映画『ディストラクション・ベイビーズ』の真利子哲也が監督・脚本を務める。キャストは松山ケンイチ、柄本時生、星田英利、古舘寛治らおなじみの面々に加え、井浦新、佐藤二朗、ピエール瀧、一ノ瀬ワタルが新たに参加する。

 初めて原作を読んだとき、「これは、自分のために描かれた漫画だ」と錯覚するほど心を打たれたという池松。ただ、男の熱いロマンを感じながらも、現実問題、宮本のように愚直なまでに自分の信念を貫き通す生き方は、決して容易ではない。それは池松も同様で、「僕も宮本に刺激を受けながら、宮本にはなれなかった人間の一人。だからこそ、ドラマや映画で思いっきり気持ちをぶつけたかった」と胸の内を明かす。

 スクリーンにほとばしる激しい感情と荒ぶる魂。宮本と一体となった池松の熱量は、鳥肌が立つほどすさまじい。そして、その熱量を真正面から受け止める体幹の強さを見せるのが、靖子役を務めた蒼井だ。「蒼井さんは、同じ福岡県出身だったり、大学も一緒だったり、何かと縁があり、親戚のお姉ちゃんみたいな存在だった。これまで共演作はあったものの、ガッツリと対峙する役がなかったので、“いつか必ず”と思っていたら、昨年の『斬、』に続いて2年連続で夢が叶った」と笑顔を見せる。

 本編を観れば、2人の絶妙なコンビネーションは一目瞭然だが、池松が何より驚いたのは、蒼井の役への入り方だ。「僕はどちらかというと、役に入り込むまでに助走が必要なタイプですが、蒼井さんはいきなりトップギアを入れてくる。そして撮影が終わると、すぐにニュートラルに戻り、平然としているんです。僕はもう疲れ果てて、ハァハァ言っているのに(笑)」。蒼井の底知れぬパワーに、さすがの池松もタジタジだったようだ。

 さらに今回、池松は鬼気迫る喧嘩(けんか)バトルにも挑戦している。「映像化するのは困難」とされていた、怪物・真淵拓馬(一ノ瀬)との“非常階段の決闘シーン”だ。「実在するマンションの8階で撮影したんですが、周囲の住民の方は皆さん驚いていましたね。もちろん、セーフティーは万全でしたが、ワイヤーで吊るされてのノースタント・アクションは本当に怖かった。階段から落ちる夢を何度も見ましたよ(笑)」と吐露した。

 原作者の新井が、本作のために手書きで記したキャッチコピー「いききっちゃうんだ」という言葉。これは、池松の俳優人生にそのまま重なる。「普段は穏やかに暮らしているんですが、いざ、映画の現場に行くと、脳や体が暴走しそうになることがあるんです。“これはいったいなぜだろう?”と考えたことがあるんですが…僕はすごく極端な人間で、0か100しか興味がないんですよね。だから、役に入ってしまったら、とことん振り切ってしまうんです」。その言葉通り、宮本を見事なまでに“生き切った”池松。0から100へ、本作に身も心も捧げた役者魂が、観る者の胸に突き刺さる。(取材・文:坂田正樹 写真:ナカムラヨシノーブ)

 映画『宮本から君へ』は9月27日より全国公開。

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