戸田恵梨香、30代充実の日々 ヘビーな役で変わった気持ち

戸田恵梨香、30代充実の日々 ヘビーな役で変わった気持ち

戸田恵梨香 クランクイン!

現在放送中の連続テレビ小説『スカーレット』のヒロインをはじめ、印象に残る作品への出演が続く女優・戸田恵梨香。新作映画『最初の晩餐』では、染谷将太、窪塚洋介、斉藤由貴といった実力派俳優たちと複雑な家族の一員として繊細な演技を披露している。30代に突入し、質量共に充実一途の印象を受ける戸田だが、本作を通じて大きな気づきがあったという。

 戸田演じる美也子は、弟の麟太郎(染谷)、血のつながりのない母アキコ(斉藤)、アキコの連れ子である兄シュン(窪塚)と共に、亡くなった父・日登志(永瀬正敏)の通夜で、両親に隠された秘密を知り「家族とは何か」という難題に苦悩する女性だ。
 
 本作で描かれている家族の関係性について戸田は「在り方に正解はないんだな」と感じる瞬間が多かったという。「今回のテーマは家族。美也子も劇中、いろいろな思いを胸に兄弟や母親と向き合っていますが、これが正しいという答えは最後まで出なかった」と役に向き合った感想を述べる。
 
 戸田自身、何事に対しても「意味合いや意義を求めてしまうタイプ」と自己分析すると「仕事でもプライベートでも、それが感じられないものに関わる必要性があるのだろうかと自問自答してしまうんです」と笑う。しかし本作で、複雑な家族関係の中に身を置いたことにより「答えが出ないものもあるんだなと強く感じました。わざわざ難しく考えることで、自分を苦しめてしまうこともある。突き詰めても答えが出ないことを受け入れることの大切さを知った気がします」と自らの考え方に変化があったことを明かす。
 
 「答えが出ない」ことを肯定する微妙な距離感の家族を演じた染谷、窪塚、戸田が顔を合わせ対峙する芝居も本作の大きな見どころの一つだ。特に、窪塚演じるシュンが久々に実家に帰ってきたときに見せる戸田の表情は、観客をスクリーンに引き込む。「本当に複雑な気持ちでした。最初は帰ってきた驚きとうれしさがあるのですが、素直に出せない。そこからだんだんといら立ちも出てくるし、疑心暗鬼にもなる。こんな衝撃があるんだという意味では、初めての感覚でした」。
 
 また窪塚が現場にもたらす威力もすごかったと戸田は撮影を振り返る。「窪塚さんがいないときの家族は、どこかのほほんとした空間で、静かにお互いを感じ合っていたのですが、窪塚さんが入ってくるだけで、一気に現場の空気感が変わるんです。いつもおかしなことをしゃべっている感じなのですが、一瞬で芯をついてくる。熱い情熱を持っている方でした」と存在感に脱帽する。

 「演じていてすごくヘビーでセンシティブな役柄でした」と美也子という役について触れた戸田。それでも「カットが掛かると気持ちは切り替わるし、自宅には持ち帰らないタイプ」と引きずることはなかったというが「唯一、これまでで気持ちを切り替えられなかったのが『大恋愛〜僕を忘れる君と』(TBS系)という作品で演じた尚という女性。かなり引きずってしまってなかなか役が抜けずに、撮影が終わったあと、なかなか次の仕事を入れられなかったんです。(共演した)ムロ(ツヨシ)さんにも『役が抜けないんです』ってメールしたぐらい。共演者にそんなことを伝えたのも初めてでした」と特別な経験だったことを明かした。
 
 以前、「しっかりとテーマを持って作品に臨みたい」と話していた戸田。言葉通り、30代になってから公開や放送された作品で戸田が演じたキャラクターには、芯の強さとメッセージ性が感じられる。本作では、作品を観た人が「『別にいいじゃんね』と寛容さを持つことの豊かさが伝わってくれたらうれしい」と作品に込めた思いを語ってくれた。(取材・文:磯部正和 写真:松林満美)

 映画『最初の晩餐』は11月1日より全国公開。

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