サモ・ハン、「映画は“血液”」 映画に捧げた愛と人生

サモ・ハン、「映画は“血液”」 映画に捧げた愛と人生

『おじいちゃんはデブゴン』サモ・ハンインタビュー クランクイン!

 香港映画界の大兄貴、いや、世界のデブゴン=サモ・ハンが20年ぶりの監督作を引っさげ帰ってきた。いるだけでホッとする、温かな存在感は今もまるで変わることなく健在。20年ぶりのメガホンに自ら主演を兼ねた『おじいちゃんはデブゴン』、そしてアクション監督を務めた『コール・オブ・ヒーローズ/武勇伝』の連続公開を前に、真摯に自身の映画観、そして映画人生を語った。

 『おじいちゃんはデブゴン』でサモが演じるのは、隠居生活を送る退役軍人。痴呆症も疑われ静かに暮らしていたものの、中国マフィアとロシアン・マフィアの抗争に巻き込まれた隣人父娘を救うため必殺拳の封印を解く、という役どころだ。

 「監督業は苦痛が多くやりたくなかったのでこの20年離れていました。俳優たちが忙しくなり、みんな『今日はこれしかできない』『スケジュールがここしかない』という具合になってしまい、それをすり合わせて撮影していると、もう全然監督が撮りたいように撮れなくなる。それが苦痛だったので監督は辞めようと思いました。映画界を取り巻く状況が変わってしまったんです」。

 だが、そんなサモを心変わりさせたのが本作品。「ストーリーと脚本がよかったし、人情味、ヒューマニズムのある作品だから自分で撮ろうと思ったんです」と監督復帰の理由を語る。本作はサモ版『レオン』、あるいは『グラン・トリノ』とも言われ、人情味やヒューマニズム溢れる作風は、オールドファンには名作『ファースト・ミッション』を思い出させるところもある。

 「年齢やキャリアを経て映画の撮り方や指導の仕方が変わったかどうかは自分では分かりません。ただ、撮るときは必ず作品ごとに変化を持たせ、今までと違う部分が見せられるよう撮りたいとは思っています」。

 では、20年ぶりに監督した本作の新しさ、今までと違う部分はどこになるのだろう。

 「それについては自分で『ここが違う』とか『ここを新しくした』ということを告げるのではなく、観た人が自分で感じてもらえればと思います。というのは映画というのはみなさんのために撮っているもので、自分のために撮ってはいないからです。自分で『こことこことここ』なんて言ってしまったら、みなさんが感じるところがなくなってしまい、撮った意味がなくなってしまいます。これは昔からずっとそうで、自分の撮った映画がヒットしなかったときはどこが原因だったんだろう、どこがみんなに受け入れられなかったんだろう、と分析したり研究したりします」。

 映画は観る人のためのもの。続いてサモは映画とともにあった自身の人生を振り返る。

 「40年やってきても、つくるのは常に違う映画なのでイヤになったり飽きることはありません。映画は自分にとって“血液”です。体の中をグルグル回って、それによって自分がものを考えたり、動いたり呼吸をしたり、生きたりすることができる。私は150歳まで生きたいと思っていますが(笑)、体が動かなくなっても口が動く限り指導はできるし、せっかく身に着けた映画の知識を使わない手はありません。だから今後も映画づくりを辞める気はないです」。

 その映画愛、そして揺ぎなき映画づくりへの姿勢は、まさに『燃えよデブゴン』と、自身をスターにしたヒット作の題名を思わせる。今後もさらなる映画づくりと健康を。デブゴンに幸あれ。(取材・文・写真:しべ超二)

 映画『おじいちゃんはデブゴン』は5月27日より新宿武蔵野館、シネマート心斎橋ほか全国順次ロードショー、映画『コール・オブ・ヒーローズ/武勇伝』は6月10日より新宿武蔵野館、シネマート心斎橋ほか全国順次ロードショー。

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