神木隆之介が語る新海誠ワールドの魅力 邦画歴代1〜3位“制覇”は奇跡

神木隆之介が語る新海誠ワールドの魅力 邦画歴代1〜3位“制覇”は奇跡

熱烈な新海誠監督ファンである神木隆之介

 新海誠監督の新作『天気の子』は公開から17日間で433万人を動員し、興行通信社調べの全国映画動員ランキングでも3週連続の1位を獲得するなど大ヒットを記録している。前作『君の名は。』で主人公・立花瀧の声を担当し、熱烈な新海監督ファンでもある神木隆之介。公開前のインタビューで本作の注目ポイントを聞かれると、新海作品への愛が溢れ出すとともに、『君の名は。』が俳優としてもひとつの転機となったことが明らかとなった。

 『天気の子』は、天候の調和が狂っていく時代を舞台に、地方からの家出少年の帆高(声:醍醐虎汰朗)と不思議な力を持つ少女・陽菜(声:森七菜)が、運命に翻弄されながらも自らの生き方を選択していく物語。「高校生の頃に『秒速5センチメートル』を観て以来の新海監督ファン」と新海ワールドに魅了されている神木だが、『天気の子』の予告編を観てこんな期待を抱いていた。

 「天気の移り変わりというのは、誰にとっても身近なものです。雨が降ってきたり、晴れ間が見えたり、水たまりに反射する空を見ただけでも、物語が蘇ってくるような映画になっているのでは」と語り、「予告編だけでも、空の描写の美しさに目を奪われました。空を誰よりも見つめているのは新海監督だということがわかる映画になるのではないでしょうか。新海監督は全人類の中で一番、空が好きな方だと思います。そうじゃないとこんな美しい空は描けない!」と最大の注目ポイントは空の描写だという。

 改めて新海ワールドの魅力を聞かれると、「『秒速5センチメートル』を初めて観てから、5日間くらいはラストの展開に打ちのめされましたが、なんて美しい世界観なんだと思いました。こんなふうに世界を見られたらどんなにいいだろうって」と目を輝かせる神木。「新海監督作品の一番の魅力と感じているのは、登場人物たちみんな“なにかを追い求めている人たち”を描いているところです。“自分にはなにかが足りていない”と感じている人って、僕にはとても魅力的に感じるし、『実は自分にも足りていないものがあるんじゃないか?』と探してしまいます」と登場人物に共鳴するとともに、「そのキャラクターの心情を、影と光の描写で表現していて、そのバランスが、黄金比と言っていいくらい、ものすごく美しいんです」と心を揺さぶられる理由を話す。

 『君の名は。』で敬愛する新海監督とのタッグが叶い、「本当にうれしかったです。すばらしい経験をさせていただきました」としみじみ。そして、役者としても「転機になった」と語る。「改めて、芝居のうえでの“声の大切さ”を教えてくれた作品です。役者としての僕のキーワードのひとつは、声だと思いました。普段の実写の作品でも声の出し方や音程というのはとても大切で、その使い方ひとつで、観ている方への伝わり方も変わってしまいます。『君の名は。』で集中して声のお芝居と向き合うことで、普段のお芝居でももっとこういうふうにやってみようと試すようになったり、お芝居の幅を広げてくれたように思います」

 「映画館でも6、7回は観ています」と『君の名は。』はプライベートでもリピートしたそうで「好きなシーンは、三葉が手の平を見ると『好きだ』と書いてあるシーン。『やられた!』と思いました。将来への希望を描いているので、観るといつも元気が出ます」と今でも力をもらっている。社会現象とも言えるほどの大ヒットを記録したが、「ヒットについては、もちろんありがたいことだと思っていましたが、どこか他人事のように感じていて……」と意外な告白も。「新海監督が大好きだったからこそ、自分が出ている作品として観ないようにしていました。何十回と繰り返し観て、自分から離そうとしていたのかもしれません。どれだけヒットしても、『新海監督すごい! おめでとうございます!』と他人事のようでした」

 『君の名は。』は、『千と千尋の神隠し』に続いて邦画歴代の興行収入で第2位を記録。3位は『ハウルの動く城』となっており、なんと3作品すべてに神木が参加している。当の本人も「奇跡です」と“制覇”に驚きを隠せない。「『千と千尋の神隠し』と『ハウルの動く城』も、やっぱり観ている方がたくさんいらっしゃるので、『あの作品、好き』と声をかけていただくことも多くて、チームの一員になれたことをとても光栄に思っています。少しでも自分が携わっていたものを『好き』と言っていただけることは、すごくうれしいです」と喜びを噛みしめる。

 俳優としてはもちろん、声の演技も高く評価されている神木は、「(お手本は)『秒速5センチメートル』の主人公・貴樹を演じた水橋研二さん。僕は貴樹を見て育ってきたんです」と成長の鍵も、新海作品が握っている様子。「声の演技で大切にしているのは、音程と息遣い。息多めで始まるのか、息少なめで始まるのかなど、ものすごく繊細に取り組んでいます。水橋さんは、僕の“息遣いマスター”です」と尊敬しきりで、「僕も“息遣いマスター”になりたいです。目指せ、“息遣いマスター”!」とストイックな姿勢を明かすとともに、さらなる飛躍を誓っていた。(取材・文:成田おり枝)

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