すさまじくリアルな『ジョーカー』暴力とのバランス【第76回ベネチア国際映画祭】

すさまじくリアルな『ジョーカー』暴力とのバランス【第76回ベネチア国際映画祭】

ホアキン・フェニックスによる新たなジョーカー - (C)Nico_Tavernise

 世界的な人気を誇る悪のカリスマ、ジョーカーの誕生を描く注目の映画『ジョーカー』(10月4日公開)の公式記者会見が、現地時間8月31日にイタリアで開催中の第76回ベネチア国際映画祭の中で行われ、メガホンを取ったトッド・フィリップス監督が主演のホアキン・フェニックスらとともに出席。トッド監督が今作における「リアル」と「暴力」のバランスについて語った。

 ベネチア映画祭のコンペティション部門に出品されている本作は、荒んだ大都会ゴッサムシティで大道芸人として生きていたアーサー(ホアキン)が、狂気の道化師“ジョーカー”へと変貌していくさまを描いている。本編はドキドキする緊張感にあふれており、ベネチア映画祭での上映では観客が驚きの声を上げたり、思わず目を背けるシーンもあったが、満員の会場から途中で離れる人はおらず、終了後には喝采を浴びた。

 そんな作品についてトッド監督は会見で、ジョーカーの人物造形をふくめて「リアルな描写」にとことんこだわったと説明した。ジョーカーというキャラクターからイメージする狂気や暴力もリアルとのバランスを重視し、作品における「暴力」について質問が及ぶと次のように答えた。

 「この映画における暴力は、次第に込み上げてくる怒りを示しています。人々はとても暴力的な映画なのではないかと考えているかもしれませんが、そのような印象を観客に与えないでしょう。私たちが可能な限りリアルであることにこだわったこの作品からは、“ボディーへのパンチ”に似たものを感じるはずです。(暴力のシーンは)映画全体のトーンとバランスを取っています」

 演技派ホアキン・フェニックスも見事な演技で作品に貢献し、新たなジョーカーを作り上げている。ホアキンは「彼がどういった人物なのかをわからせないキャラクターにしたかった」と話す。実際に撮影でも「撮影の最初の頃に演じていたアーサーが、撮影が2週間進むとまったく違う人物になっているという感覚がありました」と振り返り、「それはとても難しいことで、楽しいことでした」と語っていた。

 すさまじくリアルに描かれるジョーカーが、ホアキンが「絶対にフェイクなものにしたくなかった」と自信をのぞかせた狂気の笑い方とともに多くの人を虜にすることだろう。(編集部・海江田宗)

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