5時間半休憩なしの映画も!今年のPFFは長尺映画が目白押し

5時間半休憩なしの映画も!今年のPFFは長尺映画が目白押し

PFFディレクターの荒木啓子と、李相日監督、山戸結希監督、スカラシップ作品が上映される小田学監督

 若手映画監督の登竜門として知られる「ぴあフィルムフェスティバル」(以下PFF)の今年のラインナップ発表会見が10日、東京国立近代美術館フィルムセンターで行われた。その中からいくつかピックアップして紹介する。

■菅田将暉『あゝ、荒野』がオープニング作品

 「映画の新しい才能の発見と育成」をテーマに1977年よりスタートしたPFF。30年目という節目の年を迎え、回数では39回目となる今年は、9月16日のオープニングフィルムとして菅田将暉、ヤン・イクチュンのダブル主演映画『あゝ、荒野』を前後編一挙上映することが明らかになった。原作の寺山修司は、1982年、1983年にPFFの最終審査員を務めていた縁がある。

■特集上映「映画の闘い/闘いの映画」で長尺映画を特集

 「映画の闘い/闘いの映画」と題した特集ではパトリシオ・グスマン監督の『チリの闘い』3部作一挙上映が4時間23分。『仁義なき戦い』4作品(笠原和夫が脚本を担当したもの)一挙上映が6時間43分。エドワード・ヤン監督の傑作『クー嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』が3時間56分。一番短いホウ・シャオシェン監督の『悲情城市』でも上映時間は2時間40分という強烈なラインナップだ。

 さらに同特集のオープニング作品は、“怪物的映画作家”と呼ばれるフィリピンの鬼才ラブ・ディアスがベネチア国際映画祭金獅子賞を獲得した『立ち去った女』。こちらは3時間58分という長尺。さらにディアス監督がロカルノ国際映画祭でグランプリを獲得した『昔のはじまり』も上映されるが、この作品の長さはなんと5時間38分。どちらも「映画の時間の流れと自分の時間の流れを合わせて自由に観てほしい」というディアス監督のたっての希望により途中の休憩時間はナシ。「中座してわからなくなるような映画ではない」と監督はコメントしている。

■フィルムノワールの巨匠や矢口史靖監督『ワンピース』の特集も

 多くの映画監督に尊敬されたフィルムノワールの巨匠ジャン=ピエール・メルヴィル監督の生誕100年記念を祝う「何度でも!メルヴィル」も開催される。11月に角川シネマ新宿で行われる特集上映に先駆けて『海の沈黙』『いぬ』『影の軍隊』『仁義』といった傑作を集めている。日本ではDVD化されていないリノ・ヴァンチュラ主演の伝説の傑作『ギャング』は、PFFのみで上映予定だ。

 他にも矢口史靖監督と鈴木卓爾監督が固定カメラ、編集・アフレコなしというルールで1994年から制作し続けてきた短編映画『ワンピース』63作品の中から13作品をセレクトした『ワンピース・インターナショナル・クラシックス』、『ワンピース』の特殊な撮影手法に深田晃司、今泉力哉、黒川幸則、三宅唱が挑んだ『ワンピース・チャレンジ!』も上映される。

■トークイベントも

 この日の発表会見に参加した『溺れるナイフ』の山戸結希監督が、偏愛しているという映画『月光の囁き』の上映後に、同作のメガホンをとった塩田明彦監督と対談する「みずみずしさの映画術」。原恵一監督と橋口亮輔監督が、米アカデミー賞外国語映画賞ノミネート作品となった『永遠の人』の上映後に語り合う「天才・木下恵介は知っている」といったトークイベントなども実施される。

 この日の会見では、新しい才能を発掘する「PFFアワード2017」の最終審査員として、映画監督の李相日、女優の市川実日子、映画プロデューサーの永井拓郎、映画監督の横浜聡子が選出されたことも明らかにされた(残り1名は後日発表)。今年の応募総数は548本で、そこから厳選された17本の中からグランプリが決まる。(取材・文:壬生智裕)

「第39回ぴあフィルムフェスティバル」は9月16日から29日まで東京国立近代美術館フィルムセンターにて開催

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