息子も参加!アンジー監督最新作はポル・ポト政権下のカンボジアを描いた実話

息子も参加!アンジー監督最新作はポル・ポト政権下のカンボジアを描いた実話

待望の監督最新作について語るアンジェリーナ・ジョリー

 アンジェリーナ・ジョリーが、待望の監督最新作『最初に父が殺された』(9月15日よりNetflixにて全世界配信)について、9月13日(現地時間)ニューヨークのAMCリンカーン・スクエア13で開催された特別試写上映後のQ&Aで語った。

 本作は、カンボジア出身の作家で人権活動家でもあるルオン・ウンが執筆した自叙伝「最初に父が殺された 飢餓と虐殺の恐怖を越えて」を映画化した作品。そのストーリーは、1975年ポル・ポト率いるクメール・ルージュが首都プノンペンを制圧し、民主カンプチアを樹立した際に、家族と生き別れとなった5歳の少女ルオン・ウン(スレイ・モック・サリウム)が、過酷な経験を経て少女兵になっていった事実を克明に描いたもの。アンジェリーナは『白い帽子の女』以来、再び監督を務め、彼女の息子でカンボジア出身の養子、マドックス・ジョリー・ピットが製作総指揮を務めている点も注目だ。

 ルオンとの出会いについて「わたしが最初にカンボジアを訪れたのは『トゥームレイダー』の撮影時で、訪れる前にカンボジアの歴史の本を読んだのだけど、いかにわたしがカンボジアに関して無知だったかを気付かされたわ。ポル・ポト政権下の話を読んで、とても憤りを感じたことを覚えているの。そんな体験をしてきたカンボジアの人々は、不満を持って(今でも)怒っていると思っていた。けれど実際に会った彼らは、愛情があって、寛大で、活発で、さらに苦境から立ち直る力を持っていて、(わたしが抱いていた)根本的なカンボジアの観点を覆されたの。そんなときに出会ったのがルオンの自叙伝だったのよ。子供の観点からつづられたストーリーはわかりやすいし、(戦争や内戦を体験した)人々にも映画化する上で共感を持ってもらえると思ったわ」と語った。そのときにカンボジア人の養子を育てたいという話をルオンとしたそうで、彼女のサポートを受けたことからマドックスを養子にした経緯があったという。

 ポル・ポト政権下の虐殺は、今から40年以上も前になるが、いまだにシリアなどでは同様なことが起きていることについて「ルワンダの虐殺やソマリアの内戦などもわたしたちが事前にいろいろ知っていたら、それなりに対処できたかもしれないわ。今でもシリアやアフガニスタンなどで紛争や内戦があり、若者を含めた皆がちゃんと世界の情勢を気にしていると思うの。けれど、実際にはかなり離れた国の出来事で、直接自分の問題ではなく、自分の問題はここ(アメリカ)にあると思ってしまっている。だから(他の国々と)団結せずに、どんどん分離していっているのよ」と現状を嘆いた。

 俳優経験のない子役たちをキャスティングしたことについて「彼らは本当に素晴らしくて、わたしはラッキーだったわ。(カンボジアの)子供たちは正直だから、彼らが演じるときは邪魔をしたり、無理に演じさせたりしないでいると、彼らはちゃんと把握してくれているの。とても知的だと思ったわ」と話し、ルオン役のスレイ・モック・サリウムについても、「姉が亡くなって感情的になるシーンで、事前に『泣くだけが演技じゃない』と伝えていたのだけれど、それでも彼女はルオンが当時姉を失ったことを想像して泣いてくれたのよ」と振り返った。また、暗い題材であるため、シーンの合間には明るく振舞うことも監督として大事だったと明かした。

 Netflixとのタッグについて「Netflixの利点は、今作のような外国が舞台の小さな映画を、世界中の人々に鑑賞してもらえる機会があることなの。多くの国では、映画館がそれほどなくて、今作のような小さな映画が上映されることは滅多にないわ。でも、映画館が自分の家の近くになくても、携帯さえあれば、Netflixを通して今作を鑑賞できる。それは映画界には重要なことよ」と語った。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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