古舘佑太郎の俳優とミュージシャンを両立する日々「悔しさをバネに」

古舘佑太郎の俳優とミュージシャンを両立する日々「悔しさをバネに」

古舘佑太郎

 アナウンサー、タレントの古舘伊知郎を父に持ち、2010年にロックバンド The SALOVERS のボーカル&ギターとして芸能界デビュー。ミュージシャンとして活躍する一方で、2014年公開の映画『日々ロック』以来、NHK連続テレビ小説「ひよっこ」や嵐・松本潤、有村架純と共演する映画『ナラタージュ』(10月7日公開)などで俳優として頭角を現す古舘佑太郎が、芝居の魅力に目覚めてからの約3年を振り返った。

 間もなく終了を迎える「ひよっこ」で甘い物が大嫌いな和菓子屋の息子・ヤスハルにふんし、時にギターを手に弾き語りのシーンを披露するなど、愛嬌のあるキャラクターでお茶の間で人気を博す古舘。ミュージシャンだった彼が俳優デビューしたのは2014年に公開された映画『日々ロック』に劇中バンドとして登場したのがきっかけだった。芝居をやってみたいという気持ちはあったもののどう踏み出していいのかわからなかった矢先、「自分の大好きな原作だったというのと、入江悠監督の作品も大好きだったので、そこで背中を押されて初めて具体的に考える時間ができた」という。

 今年6月に京都で先行公開された初主演映画『笠置ROCK!』(10月21日全国公開)に続き、8月に公開されたインディーズ映画『アイムクレイジー』でもミュージシャン役に。後者では本人たっての希望でサニーデイ・サービスの曽我部恵一との共演が実現するなど、古舘の出演歴を遡るとミュージシャンとしてのアイデンティティーが確実に作品に生きているのが特徴的で、本人も「役者としてのキャリアが少ない中でも、音楽を絡ませていただけるというのは心強いなと思います」と述べている。

 そんな彼の転機となったのが朝ドラの「ひよっこ」だった。チャンスに恵まれ、初めは芝居を楽しむ余裕があったはずが、初めて自身とかけ離れた役柄を演じることによって壁に突き当たった。「『ひよっこ』でムスッとしたヤスハルを演じる際に、これまでと違う引き出しが必要になって、それまで少し自信を持てていたはずが一旦リセットになったというか。『これじゃ通用しない』と気付いたんです」。

 しかし、そこで落ち込むのではなく「基本的に僕は自分を壊したいというと少し言い方は乱暴ですけど、未知の分野と向き合うことでできなかったり悔しい思いをして、それをバネ、エネルギーにして突き進んでいくタイプ。楽しいだけの時間は終わりましたが、『これがいいきっかけになる』と思って、小さな失敗も大きな失敗も勉強になると自分に言い聞かせています」といたってポジティブだ。

 最新作『ナラタージュ』では、ヒロイン・泉(有村架純)の同級生で、葉山(松本潤)が顧問を務める高校演劇部に泉とともに参加する演劇部OB・黒川を演じている。許されぬ恋に苦悩する葉山&泉とは裏腹に、演劇部を盛り上げるムードメーカー的なキャラクターだ。「明るく元気なお調子者というキャラクターはこれまで一貫して演じてきましたし、周りのテンションには合わせずそのイメージを貫きました。だからこの作品では芝居をしたというより素のままはじけようという気持ちでやらせていただきました」と自身とシンクロするかのような役柄に自信を覗かせている。

 今後、11月にはBS時代劇「赤ひげ」の放送が控えるほか、2018年夏公開予定の元宝塚歌劇団星組トップスター、安蘭けいとダブル主演を務める映画『とってもゴースト』ではミュージカルに挑戦。今年5月に結成した新バンド「2」(ツー)と俳優を両立させていく。俳優とミュージシャンの違いを「ミュージシャンでいるときはステージで何をやっても自分に返ってきますが、芝居は初めて会う方たちと一緒に一つのものを作っていくもので、人に迷惑をかけたらいい作品は作れないと思う」と責任の種類の違いを噛みしめながら、「今はスケジュールの縫い方が少しわかってきた時期なので、自分が心からやりたいと思えることが出てきたら挑戦してきたいです」と現在のスタンスを明かした。(取材・文:編集部 石井百合子)

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