『君の名は。』ハリウッド実写化にJ・J・エイブラムスは最適か?

『君の名は。』ハリウッド実写化にJ・J・エイブラムスは最適か?

レンズフレア! - 映画『君の名は。』海外版ポスター - Funimation Films / Photofest / ゲッティ イメージズ

 新海誠監督の大ヒットアニメーション『君の名は。』のハリウッド実写映画化が決定し、J・J・エイブラムスがプロデュースを務めることが発表された。アニメ版で製作を務め、今回のハリウッド実写版にも参加する川村元気プロデューサーは「これ以上ない、夢のようなチームになりました。J・J・エイブラムスさんが『君の名は。』をハリウッドで実写化したがっていると聞いたときは信じられない気持ちでした」とエイブラムス肝煎りの企画だと明かしている。

 エイブラムスは人気テレビドラマ「フェリシティの青春」「エイリアス」「LOST」のクリエイターとして名をはせ、トム・クルーズに見いだされて大ヒットスパイアクションシリーズ第3弾『M:i:III』で映画監督デビュー(以降、全ての『ミッション:インポッシブル』シリーズにプロデューサーとして参加)。『スター・トレック』『スター・ウォーズ』という熱烈なファンを持つ二大SF映画をリブートして批評的にも興行的にも大成功を収めるという離れ業を成し遂げ、ハリウッドで最も影響力を持つ監督・プロデューサーの一人となった。先日も『スター・ウォーズ:エピソード9(仮題)』から「創造上の違い」でコリン・トレヴォロウ監督(『ジュラシック・ワールド』)が緊急降板した際、監督に再び担ぎ出されるなどスタジオからの信頼も厚い。

 もともとのファンの思いを大切にしつつも、新しさも感じさせるリメイク/リブートの手腕に定評があるエイブラムスだけに、『君の名は。』のハリウッド実写版も期待できるものになりそう。今回はエイブラムスがメガホンを取るわけではないが、彼の作品の特徴といえる過剰なレンズフレア(強い光の漏れ)も『君の名は。』のビジュアルに合っているような気がしなくもない(ちなみに、エイブラムスのレンズフレアは、妻から「劇中で何が起きているのかわからない」と指摘されてからは若干控えめになっている)。

 また、脚本を手掛けるのは、SF映画『メッセージ』(2017)で第89回アカデミー賞脚色賞にノミネートされたエリック・ハイセラー。その驚くべき構成から映像化不可能とされてきたテッド・チャンの短編小説「あなたの人生の物語」を見事に脚色した手腕が高く評価された人物だ。メガホンを取ったドゥニ・ヴィルヌーヴ監督はシネマトゥデイのインンタビューで「エリック・ハイセラーこそが、本作のドラマの構造を見つけた人物です。政治的・軍事的なコンテクストというのは原作にはありませんでしたから」と同作に映画的なダイナミックさを生んだのはハイセラーの力だと明言している。

 その一方でヴィルヌーヴ監督は、初期の脚本は「ちょっと行き過ぎてしまった」と感じもしたとも。原作にある“言語の力”をちゃんと描こうと提案して二人で脚本を推敲していって現在の『メッセージ』の形になったそうで、『君の名は。』のハリウッド実写版も、原作の世界観をきちんとつかんだ実力派の監督を招聘(しょうへい)できるかがカギとなるのは間違いない。(編集部・市川遥)

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