実話に基づくラブストーリー、なぜヒットする?

実話に基づくラブストーリー、なぜヒットする?

最終興収20億円超えを狙える好調な滑り出しを見せた『8年越しの花嫁 奇跡の実話』 - (C) 2017映画「8年越しの花嫁」製作委員会

 佐藤健&土屋太鳳のダブル主演による映画『8年越しの花嫁 奇跡の実話』が12月16日より公開され、週末興行ランキングで『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』『映画 妖怪ウォッチ シャドウサイド 鬼王の復活』に続く初登場3位にランクイン。土日2日間で約20万3,777人を動員、2億6,299万円の興行収入を記録し、最終興収20億円超えを狙える好調な滑り出しとなっている。岡山県の結婚式場がYouTubeにアップした1本の動画から広がった実話に基づく本作をきっかけに、過去の成功例を振り返りながら実話に基づくラブストーリーのヒットの要因を考察してみた(数字は配給、興行通信社、日本映画製作者連盟調べ)。

 結婚式を目前に、300万人に一人の発症率とされる病「抗NMDA受容体脳炎」に冒され意識不明に陥った麻衣さんと、その婚約者である尚志さんの悲劇と奇跡を描いた『8年越しの花嫁 奇跡の実話』。原作「8年越しの花嫁 キミの目が覚めたなら」(著者:中原尚志・麻衣/主婦の友社)が11.4万部、ノベライズ版が累計22万部、コミカライズ版が8万部、3作品合計で42万部を突破するなど、映画公開前から関心度の高さがうかがえたが、映画はその期待に応えるかのようなスタッフ&キャストの気概が感じられる仕上がりだ。

 スタッフ&キャストの実力は、興行面でもその実力を証明。監督の瀬々敬久は『64−ロクヨン−』前・後編(2016)がそれぞれ19億4,000万円、17億4,000万円、主演の佐藤と土屋が共演した2014年公開の『るろうに剣心 京都大火編』『るろうに剣心 伝説の最期編』はいずれも52億2,000万円、43億5,000万円の大ヒット。佐藤は昨年『世界から猫が消えたなら』が12億3,000万円、『何者』が10億7,000万円と2本が10億円超え、土屋も『青空エール』が12億5,000万円を記録している。さらに、NHKの連続テレビ小説「ひよっこ」(2017)の岡田惠和が脚本を手掛けたことも期待をあおる形に。公開初週の男女比は3:7と、「20代〜30代女性をターゲットにした」松竹株式会社の狙い通り、女性客を多く取り込んだ。

 実話に基づくラブストーリーには、古くは軟骨肉腫に冒され21歳の若さで亡くなった大島みち子さんと、その恋人だった河野實さんの悲劇を吉永小百合と浜田光夫の共演により映画化した『愛と死をみつめて』(1964)があり、みち子さんと實さんの往復書簡をまとめた原作は150万部を超えるベストセラーに。映画は日活株式会社の中で歴代興行成績ナンバーワンの大ヒットとなり、社会現象を巻き起こした。2006年には草なぎ剛と広末涼子共演のスペシャルドラマ(テレビ朝日系)が放送されるなど、2人の物語は時代を超えて語り継がれている。

 過去10年には新垣結衣&三浦春馬共演『恋空』(2007・39億円※実話に基づくフィクション小説の映画化)、榮倉奈々&瑛太共演『余命1ヶ月の花嫁』(2009・31億5,000万円)、北川景子&錦戸亮共演『抱きしめたい-真実の物語-』(2013・15億1,000万円)などが挙げられるが、いずれも書籍が刊行。中でも『余命1ヶ月の花嫁』『抱きしめたい −真実の物語−』はTBSでドキュメンタリー番組が放送され、反響を呼んだ経緯があった。『8年越しの花嫁 奇跡の実話』も実話のエピソードが複数のメディアで報じられ、多くの人を捉えたという点では同じ流れを汲んでいる。

 映画を成功させるには集客力のあるキャスト、彼らの魅力を輝かせるクリエイター、主題歌、テレビ局を絡めての宣伝などがキーワードになってくるが、多くの人を捉えるのはフィクションを越える実話にあるのかもしれない。(編集部・石井百合子)

関連記事(外部サイト)