ダニエル・デイ=ルイス、引退作の役作りで約1年間のデザイナー修行

ダニエル・デイ=ルイス、引退作の役作りで約1年間のデザイナー修行

左から衣装のマーク・ブリッジス、女優のレスリー・マンヴィル、ヴィッキー・クリープス

 名優ダニエル・デイ=ルイスの引退作としても話題の『ファントム・スレッド(原題)/ Phantom Thread』について、女優のヴィッキー・クリープスとレスリー・マンヴィル、衣装のマーク・ブリッジスが、12月13日(現地時間)ニューヨークのAOL開催イベントで語った。

 本作は、1950年代のロンドンを舞台に、イギリス王室や社交界で名をはせたファッション・デザイナー、レイノルズ・ウッドコック(ダニエル)を描いたドラマ。レイノルズは、妹シリル(レスリー)や裁縫師たちと共にこだわったドレスを作っていたある日、ホテルのレストランでウェイトレスのアルマ(ヴィッキー)と出会う。彼の特別な注文を一度で覚えたアルマを気に入り、ミューズとして自宅に住まわせたことから、様々な出来事が起こっていく。『ブギーナイツ』『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』のポール・トーマス・アンダーソンが監督を務めた。

 オーディションの際、今作がアンダーソン監督作品だとは知らなかったというヴィッキーは、「オーディション用のE-mailをちゃんと読んでいなかったの。添付されていた(脚本ではなく)モノローグが共感の持てる内容で、すぐに気に入ったから、友人に頼んで(オーディション用の)テープを撮影してもらい送ったのよ。その後、エージェントが『監督があなたのオーディション用のテープを気に入っているみたいだから、あなたの電話番号を教えていい?』と聞いてきたの。わたしは『良いかもね』と答えると、エージェントは『監督が誰なのかわかっているの?』と驚いた顔で聞いてきたわ。わたしは『ちゃんとE-mailを読んでいないけど、学生映画でしょ』と答えたの。ロンドンでの撮影だったし、(ちゃんとした)脚本もなかったから、学生映画の短編くらいに思っていたのよ」とアンダーソン監督作品や極秘プロジェクトなどとは想像もしなかったと明かした。

 撮影で使われたウッドコックの自宅について、レスリーは「アンダーソン監督は『さまざまなものが、この家に詰め込まれていた』と語っていたけど、実際にこの家はかなり大きいの。オフィス部屋、朝食用の部屋、クライアントが待っている応接室、さらに巨大な窓がある素晴らしく広いリビングもあって、2階にはレイノルズ、シリル、アルマが住んでいて、その上には裁縫師たちが働く場所もあったのよ。デザイナーとして全てのことが、この家でできたのは素晴らしかったわ」と振り返った。

 ダニエルとのコラボについて衣装のマークは「ダニエルは毎作、広範囲にわたって自身の役柄の準備をするんだ。今作での彼は約1年間ニューヨークの裁縫師のもとで学んでいたよ。実際にブランド、バレンシアガの衣装を真似て、一から布地を切ったり、厚地の織り生地などを用いて、衣装を作ったりしていたんだ。それこそ、(デザイナーになるための)完全なトレーニングをしていたよ。ある時は、衣装の僕でさえも、ダニエルから裁縫の情報を教えてもらったくらいだ」と徹底した役作りに感心したそうだ。また、撮影現場には裁縫師たちをまとめる人物がいたそうで、「裁縫の過程をそれぞれの段階で確かめながらやっていたから、より真実味のある作品になっていったと思うね」と自信をのぞかせた。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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