夏帆、清純派から脱却するまでの10年

「監獄のお姫さま」に出演の夏帆が、清純派イメージから脱却するまでの10年を語る

記事まとめ

  • 2007年公開『天然コケッコー』の主演で清純派というイメージを強く植えつけた夏帆
  • 高校を卒業したことで大きな心境の変化が訪れ、仕事への向き合い方も変わったという
  • 岡田将生とは、『天然コケッコー』『オトメン』で共演、現在も交流があるとのこと

夏帆、清純派から脱却するまでの10年

夏帆、清純派から脱却するまでの10年

近年、目まぐるしくイメージが変化する夏帆

 数多くの映画賞で高い支持を受け、いまだに多くの映画ファンから愛されている2007年公開の『天然コケッコー』の主演を務めてから約10年の歳月が経過した女優・夏帆。劇中でみせた圧倒的な透明感は当時話題になり、夏帆=清純派というイメージを強く植えつけることとなった。そんな夏帆だが、近年はそのイメージを脱却するかのような大胆な役柄にも挑み、演技の幅を広げている。この10年の間に、どんな気持ちの変化があったのだろうかーー。

 「10年前は子どもでしたからね」と苦笑いを浮かべながら語り出した夏帆。続けて「仕事に対する自覚も足りなかったと思いますし、女優という仕事を続けていくんだという強い意志もなかった。そもそもどうやってお芝居をしたらいいかもわからず、ただ環境に流されるままに現場に行っていたんです」と当時を振り返る。

 そんなとき、くらもちふさこの同名漫画を実写化する『天然コケッコー』という作品に主演として臨むことになり、演じることの気持ちに変化が生じたという。「とにかく現場が楽しかったんです。山下敦弘監督を含め、たくさんの素敵な出会いがあり、演じるというお仕事が好きになっていきました。仕事の面白さを教えてもらったという意味でも、ターニングポイントになった作品だと言えます」。

 『天然コケッコー』という作品を経験し、徐々に女優という仕事が、夏帆の中で大きな存在になっていったという。しかし、まだ向き合うことはできなかった。「自分のなかで演じるというお仕事が一番興味のあることだと気づいたのですが、その事実と向き合うのが怖かったんです。当時は学生だったし、どこかに逃げ道を作っていたかったんだと思います。仕事一本でという責任を自分に課したくなかったんです」。

 そんななか、高校を卒業したことで大きな心境の変化が訪れる。「最初は大学に進学すると思っていたのですが、中学・高校時代でも仕事と学業の両立は正直できていなかったんです。このまま大学へ行ったら、さらに中途半端になってしまうと思って断念しました。そのときに『ふらふらした気持ちでいる場合じゃない』と意識が変わったんです」。

 そこから仕事に対する向き合い方も変わったという。「10代のころはどちらかというと受け身だったのが、このころからいただいたお話を自分で選んでいくようになりました。そのときは“これまでのイメージを変えてやろう”みたいな意気込みではなく、“今までやったことがないような役をやってみよう”というぐらいの気持ちだったんです」。

 しかし、こうした仕事への向き合い方は夏帆の女優としての可能性を大きく広げることとなる。「最初のころは、今までとちょっと違う役をやると、周囲の反響が大きくて面白かったし、楽しかったんです。そしてそういう役は、また新たに違う役を引っ張ってきてくれる。20代に入ったころは、どの仕事をいただいても、オファーしてくださった方から『今までのイメージを変えたいんです』って言われました。それはすごくありがたかったです」。

 最新作『伊藤くん A to E』でも“ヘビー級処女”というキャッチフレーズのもと、好きな人に“処女は重い”と言われ、自暴自棄になる女性を好演している夏帆。ほかにも、園子温監督の深夜ドラマ「みんな!エスパーだよ!」(2013・テレビ東京系)では不良少女、同じく園監督の「東京ヴァンパイアホテル」(2017・Amazonプライム・ビデオ)では本格アクション、映画『ピンクとグレー』(2015)では大胆なラブシーンを披露し、清楚と奔放の二面性を存分に見せつけた。宮藤官九郎脚本のテレビドラマ「監獄のお姫さま」(2017・TBS系)では殺人の濡れ衣をきせられ懲役12年の刑に服す社長令嬢にふんし、小泉今日子、菅野美穂らベテラン女優に劣らぬ個性を発揮し、話題になった。

 『天然コケッコー』で中学生のカップルを演じた岡田将生とは、テレビドラマ「オトメン(乙男)」(2009・フジテレビ系)に続いて『伊藤くん A to E』で3度目の共演。「浮き沈みの激しい世界のなか、10代でデビューして、またこうしてご一緒できるのは感慨深いですし、励みになります。周囲を和ませるキャラクターは昔とまったく変わっていませんが、現場の居方やスタッフ、キャストさんへの立ち振る舞いなどが当時とはまったく違い、すごく視野が広くなったなと感じています」と岡田を評した夏帆。その関係性を「同士みたいなものですか」と聞くと「同士というほど近くはないかもしれませんが……遠い親戚みたいな(笑)」と笑顔を交えながら独特の表現で語っていた。(取材・写真・文:磯部正和)

映画『伊藤くん A to E』は1月12日より全国公開

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