イラン社会の日常とタブーを描いた注目のアニメ映画とは

イラン社会の日常とタブーを描いた注目のアニメ映画とは

イランを舞台にしたアニメ映画『テヘラン・タブー(原題)/ Tehran Taboo』より

 イランを舞台にした話題のアニメ映画『テヘラン・タブー(原題) / Tehran Taboo』について、アリ・スーザンデフ監督が2月13日に電話インタビューに応じた。

 本作は、口の利けない子供がいながら売春を繰り返す女性、堕胎をした女性、処女を奪われ婚約者に言えない女性、そしてステイタスのない学生ミュージシャンなどを通して、イランの宗教的タブーや腐敗した裏社会を浮き彫りにしたアニメ作品。

 イランの検閲では今作の内容は描くことができないため、イランを離れ、ドイツを拠点に制作活動をしたというスーザンデフ監督。「今作はイランでは公開さえできなかったんだ。もちろん、アニメだから他の似た中東の都市を背景に(イランのテヘランと見立てて)描くこともできなくはなかったのだけど、イランのビルの並び、タクシー、人々など全てが特別で、他の中東の都市を参考にしてイラン社会を描くことはできなかったんだ」と話す。

 また、スーザンデフ監督いわく、イラン社会では公共の場で、性に関することを口にすることすら難しいそうで、「外国に住んでいるイラン人でさえも、性に関して話すことは不快に感じてしまうんだ。だから今作を嫌う(中東の)人々は、映画自体を嫌いなわけではなく、性に関する映像を描いていることに拒否反応を示しているだけだと思うね。僕は、(本作が)物議を醸しても構わないから、人々の間で話し合うきっかけになってほしいんだ」と閉塞したイラン社会に一石を投じたかった意図を明かした。

 西欧の人々がイランに対して抱いている偏見については、「これはイランだけでなく、中東の国々に対して誤解していることだと思うけど、中東の人々は、いるだけで、タリバンと比較されるんだ。だからこそ、今作のように中東の日々の生活を描いた作品が必要なんだ。それは仮に、(その国の)裏社会や悪い部分であっても描くべきなんだよ」と主張した。

 技術面に関しては、「さまざまなアニメーションの技術を試したよ。手書きや3Dキャラクター、あるいはパペット・アニメーションなどね。でもその全てが、うまくいかなかったんだ。僕はこのアニメでリアリティーを追求したかったから、結局、ロトスコープ(モデルの動きをカメラで撮影し、それをトレースしてアニメーションにする)というアニメ手法に落ち着いたんだ」と説明した。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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