金ロー『平成狸合戦ぽんぽこ』高畑勲が込めたアニメーション哲学とは?

金ロー『平成狸合戦ぽんぽこ』高畑勲が込めたアニメーション哲学とは?

『平成狸合戦ぽんぽこ』より - (C) 1994 畑事務所・Studio Ghibli・NH

 スタジオジブリの人気アニメーション映画『平成狸合戦ぽんぽこ』が日本テレビ系「金曜ロードSHOW!」にて、今夜4月5日よる9時から放送される。高畑勲監督が本作で込めたアニメーション哲学とは何だったのだろうか。

 1994年に公開されて大ヒットを記録した『平成狸合戦ぽんぽこ』は、宅地造成によって人間に住みかを奪われたタヌキたちが故郷を守るため、あの手この手で奮闘を繰り広げる物語。「金曜ロードSHOW!」で放送されるのは今回が9回目で、1998年3月13日の放送回では視聴率17.8%を記録した。なお4月5日は、昨年82歳で逝去した高畑監督の命日にあたる。

 監督と原作、脚本を高畑監督が担当した本作。緑豊かな東京・多摩丘陵を舞台に、タヌキたちは先祖伝来の“化け学”で人間たちに対抗していくことに。美しい自然描写や人間のように暮らすタヌキたちの愛らしい姿、人間を追い出すために繰り広げる壮大な“妖怪大作戦”のさまなど、本作の魅力は数えきれないほど。また、劇中では『魔女の宅急便』の主人公・キキなど歴代のジブリキャラクターたちが登場するシーンなどもあり、遊び心に満ちた演出も見どころだ。

 劇中では、タヌキたちのビジュアルが“獣”としてのリアルな描写や漫画チックなものなど、4種類のタッチでユーモラスに描き分けられている。まるで人間のように振る舞うときもあれば、動物らしい4足歩行で行動したり、本作に協力した杉浦茂の漫画作品のキャラクターを引用した姿になったり、はたまた“化け学”で人間やモノに変化してみたりと、アニメーションならではの変幻自在な変わり身で楽しませてくれる。

 そんなタヌキたちは“化け学”で環境破壊を続ける人間への必死の抵抗を試みるが、戦いを繰り広げるなかで絶大な力を発揮するわけではない。人々の住む街中へ繰り出して、多彩な妖術で人間を翻弄してはいくものの、その努力もむなしくニュータウン建設の工事は着々と進行していくことに。現実に起こる問題を解決することの難しさが描かれており、戦争の悲惨さを伝える『火垂るの墓』(1988)にも通ずる高畑監督のリアリズムが貫かれている。

 また劇中で、人間の営為によるタヌキの“死”も描かれるなど、随所に考えさせられる描写も登場するのも衝撃的だ。高畑監督自身は公開当時のインタビューで本作を「記録映画だと思っている」という言葉で表現していた。(高畑勲「『平成狸合戦ぽんぽこ』の演出を語る」、文藝春秋刊「ジブリの教科書8 総天然色漫画映画 平成狸合戦ぽんぽこ」所収、76頁)。

 本作のタイトルに冠せられた“平成”の時代も、まもなく終わりを告げる。果たして人間は、いかにして自然と共生していくことができるのか? おそらく全国でも同様の風景が生じていただろう日本の宅地造成による環境問題を扱いながらも、単なるエコロジカルではないメッセージが作品のなかに込められている。公開当時から社会状況も大きく変化している現在、改めてその奥深い世界に魅了されるはずだ。(編集部・大内啓輔)

映画『平成狸合戦ぽんぽこ』は日本テレビ系「金曜ロードSHOW!」にて4月5日よる9時〜11時29分に放送

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