有村架純、『あまちゃん』から『映画 太陽の子』まで 唯一無二の輝きを追う

有村架純、『あまちゃん』から『映画 太陽の子』まで 唯一無二の輝きを追う

『映画 太陽の子』(8月6日公開)戦後の未来を見据えて力強く日々を生きる世津を演じる有村架純(C)2021 ELEVEN ARTS STUDIOS / 「太陽の子」フィルムパートナーズ

主演・柳楽優弥、有村架純、三浦春馬の共演で、”日本の原爆開発”を背景に、時代に翻ろうされながらも全力で駆け抜けた若者たちの等身大の姿を描く青春群像劇『映画 太陽の子』(8月6日公開、配給:イオンエンターテイメント)。本作で、柳楽と三浦が演じる兄弟が思いを寄せるヒロイン・世津を演じた有村は、いまやドラマ・映画界に欠かせない存在。朝ドラヒロインからひと癖あるファミレス店員まで、その活躍ぶりは華々しく、どの作品においても圧倒的な存在感と味わい深い演技を披露している。『映画 太陽の子』より初解禁を含む写真とともに、彼女の網羅しきれない魅力に迫ってみた。

 有村といえば、NHKの連続テレビ小説『ひよっこ』(2017年)のヒロインを務め、一躍国民的女優へと駆け上がったが、出世作となったのは同じく連続テレビ小説の『あまちゃん』(13年)。小泉今日子の若き日を演じ、80年代アイドルの風貌と有村の個性が見事にマッチして大きな話題に。15年には、人気少女漫画を映画化した『ストロボ・エッジ』でピュアな王道ヒロインを熱演。かと思えば、『ビリギャル』(15年)では金髪にミニスカート、派手なメイクのギャルに扮し、世間を驚かせた。

 世間が注目したのは見た目のギャップだけではない。『ストロボ・エッジ』では、“彼女がいる同級生”に一途な恋心を募らせる等身大の女の子を好演し、第58回ブルーリボン賞主演女優賞を受賞。『ビリギャル』では難関大学合格に向け、何度も心が折れそうになるも、懸命に前を向きひたむきに努力する芯の強さを見せ、第39回日本アカデミー賞優秀主演女優賞と新人俳優賞を受賞した。

 観る者の心を揺さぶる、その表現力の高さで自身への評価を上げていった有村。その後も高良健吾とダブル主演したフジテレビの“月9”ドラマ『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(16年)で、民放連続ドラマ初主演を果たすと、“朝ドラヒロイン決定”とともにその勢いは加速。

 映画『アイアムアヒーロー』(16年)、『何者』(16年)、『3月のライオン 前編・後編』、『関ヶ原』、『ナラタージュ』(以上17年)、『コーヒーが冷めないうちに』、TBS“火曜ドラマ”『中学聖日記』(18年)、『フォルトゥナの瞳』(19年)など、主演やヒロイン役を務めた作品でそれぞれ話題を巻き起こしていく。少女漫画原作に時代劇、両親を失くし心に傷を抱える女性から、生徒と禁断の恋に落ちる教師役まで、幅広いジャンルや役柄を演じ、常に自身のイメージも更新し続け、ドラマ・映画界で確固たる地位を確立してきた。

■2021年初夏以降も快進撃は止まらない

 そして、今年(21年)も破竹の勢いを見せる。1月29日に公開された『花束みたいな恋をした』では、脚本家の坂元裕二が「菅田将暉と有村架純にあて書きした」と語るように、等身大の恋人を熱演。二人のやり取りのリアルさが共感を呼び、幅広い世代から支持された。

 4月クールの日本テレビ“土曜ドラマ”『コントが始まる』では、お笑いグループ・マクベスの熱狂的なファンのファミレス店員役で、“風変わりな一面”と、真面目さがゆえに心に傷を抱える“普遍的な一面”を絶妙なバランスで表現。特に3話で自身の過去を淡々と語る独白シーンは、「すごすぎて見入ってしまった」「息するのも苦しいくらいぎゅっとなった」と絶賛の声が多く上がった。

 6月4日に公開された『るろうに剣心 最終章 The Beginning』では、剣心が唯一心を許したシリーズの最重要キャラクターである妻・雪村巴役に大抜てきされ、“完全無欠のヒロイン”とも称される巴を見事演じ切っている。

 さらに9月には、NHK“よるドラ”『きれいのくに』の脚本でも注目を集めている気鋭の劇作家・演出家、加藤拓也がシス・カンパニーとタッグを組み、生前「最もノーベル文学賞に近い作家」と呼ばれ、世界的評価も高い安部公房の戯曲を舞台化する『友達』にも出演予定。さらには、日活・WOWOWの共同配給で2022年に劇場公開、ドラマ版が今秋放送・配信される『前科者』への主演も決定している。

 先々まで予定いっぱいの彼女の、最注目出演作品が『映画 太陽の子』だ。太平洋戦争末期という時代を背負い、前向き生きる若者という難役を見事に自分のものにした。本作で、柳楽演じる京都大学で原子物理学を学ぶ科学者の修と、三浦演じる父親の意思を継ぎ軍人になった修の弟・裕之の幼なじみ・世津を演じた有村は、かわいらしい笑顔で2人に寄り添いながらも、戦争が終わった先の人生を考えている聡明で頼もしい一面も。

 「何のために戦争するの? 戦争が終わった後のことを考えんとあかんやろ!」と、修と裕之を叱咤する縁側のシーンで世津が2人の手を取ったのは、有村のアドリブだったそうで、結果、作品と世津を象徴するシーンが生まれるという、監督や現場スタッフも脱帽の表現力と求心力、彼女の底力を感じさせるエピソードだ。

 黒崎博監督とは、『ひよっこ』で1年間がっつり組んだ仲。そんな監督からのオファーに即答したという。「世津は、今日という一日を精一杯生きようとしている女性。一日一日を噛み締めて、フミさん(修と裕之の母)と食事を作っているシーンも世津にとっては愛おしい時間だと感じました。だからこそ、そういった瞬間を丁寧に演じようと心がけました」と、有村の少ない言葉が、説得力持つ。

 空襲被害を避けるための“建物疎開”で家を取り壊されても、泣き言一つ言わない世津。キャラクターが持つ心をまっすぐに、丁寧に表現する有村の姿や黒崎博監督との信頼関係が伝わってくるメイキング写真から、本作への期待を確かなものにしてもらいたい。

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