ドロシー役で初単独主演の桜井玲香、かかし役蒼井翔太・鈴木勝吾も揃った『DOROTHY〜オズの魔法使い〜』【製作発表会見レポート】

桜井玲香が初の単独主演を務める、新作ミュージカル『DOROTHY〜オズの魔法使い〜』が2022年8月20日(土)から日本青年館ホールほか全国10箇所で上演される。

本作は、1900年に児童文学として誕生し、今もなお世界中で読み継がれている童話の『オズと魔法使い』をベースに、田尾下哲が作・演出を、宮川彬良が作曲・音楽監督を手がける“大人のための新たな本格ミュージカル”。桜井は、とある都会の大学生という設定のドロシー役を演じ、蒼井翔太と鈴木勝吾がWキャストでかかし役を演じる。

本格的な稽古に入る前の5月23日(月)、都内で会見が行われた。その様子を写真と共にお伝えする。

21世紀の都会で、これからの人生に悩むドロシーの物語

ーー桜井さんは本作が初の単独主演ですが、出演が決まったときのお気持ちなどを教えてください。

桜井玲香(以下、桜井)この年齢になって、ドロシーという役を演じさせていただくことは、すごく光栄ですし、ヴィジュアル撮影は恥ずかしいなぁなんて照れたりもしたんですが、世界中で愛されているストーリーですし、素晴らしいメッセージがたくさん詰まった作品だと思うので、みなさんに届くように、しっかりとドロシーを演じられたらなと思っております。

ーーかかし役をWキャストで演じられる蒼井翔太さん。アーティストとしても活動されていますが、ミュージカル出演にあたってはどのような思いでいらっしゃいますか?

蒼井翔太(以下、蒼井)ステージの上で表現をするということは同じだと思うのですが、ミュージカルというのはステージの上で表現をする人間がたくさんいる。そして、その人数がいればいるほど、一人ひとりのキャラクターや個性が花のように咲き乱れて、すごく贅沢な時間だなと感じています。日頃、僕はダンサーさんやバンドの皆さんに支えていただいておりますが、今回はこれでもかというぐらい素晴らしいキャストの皆様が揃っていますので、どんな稽古になるのか。どんなドロシーの物語がつくっていけるのか。楽しみにしているところです。

ーー同じくかかし役を演じられる鈴木勝吾さん。今回の舞台に臨むお気持ちをお聞かせください。

鈴木勝吾(以下、鈴木)田尾下さんとは今回で3度目ですかね。台本の読み方も稽古場も、俳優がその場にいられることをすごく大事にされていますし、僕たちカンパニーが独りよがりになるのではなく、お客様に届けることを大事に物づくりをされている方です。いろいろな演劇の作り方がありますけども、熱を失わずにその中でも冷静に物を作り上げていく姿を印象的に思っています。

今回もミュージカルということで、音楽やダンスなど、いろいろなピースが集まって作られる作品だと思います。全員で熱いエネルギーを持って、でも冷静に、田尾下さんのもとで、僕らも常に心温かくハッピーな作品になればいいですし、お客様もさまざまな受け止め方あると思いますけど、ちゃんと持って帰っていただけるような作品に作り上げられたらいいなと思っています。

ミュージカル『DOROTHY〜オズの魔法使い〜』メインビジュアル

ーー『オズの魔法使い』をベースに、全く新しいミュージカルを誕生させるということですが、作品のコンセプトを教えてください。

田尾下哲(以下、田尾下)1900年のアメリカのカンザスという地方都市の描かれ方なんですが、『オズの魔法使い』をミュージカルにするということで、1900年のカンザスに置き換えるというところからお話ししてきたんですが、やはりキャストと時代を大切にしたいということで、21世紀のとある都会の大学を舞台にしています。

ドロシーは今大学生という設定なんですね。少女が旅をする中で成長するというだけではなくて、これからの人生をどうやって生きていくかとか、幸せをどうやって見つけていくかということに悩んでいる物語にしたいと思っています。

田尾下哲

あの名曲を変える?!「革命的なことが起きている」

ーー現段階での演出プランを教えてください。

田尾下 音楽の都という設定にしているんですね。歌うということが普通に描かれるといいなと。せりふの延長で歌が、そして歌の中からせりふが生まれるようにしたいと思っています。また、物語の中で敵が出てくるんですが、それを映像ではなくて、実際の人間の身体で表現したいと思っています。それにおいては、アレクサンドラ・ルターさんというイギリス人の演出家でパペットのデザイナーの力もあわせて、表現を作っていきたいと思っています。人間の身体で勝負ですね。

ーー本作品のオファーを受けられた時の率直な感想を教えてください。

宮川彬良(以下、宮川)率直ですか?(笑)。なんでそんなことをするのと嗜めてしまいました。なぜならば、みなさんご存知の『虹の彼方へ』という曲があるわけじゃないですか。それを変えるというのはね、なんでそんなところに。足を踏み入れてはいけませんというぐらいに思いました(笑)。

宮川彬良

ーー率直なご意見ながらも、本作を引き受けていただきました。

宮川 じゃあ、なんで引き受けたんですかという話よね(笑)。田尾下さんが、かつて作られたアメリカのミュージカルを再演したいとは全く思っていなくて、年代とか場所を置き換えて、新たに作りたいんだと仰ったからです。それに、向いていると思ったんですよね。自分もそういうミュージカルを作りたいんですよ。『アニー』とか『ピーターパン』のように、毎年毎年日本でも上演される不朽の名作を僕は作ったことがないから。『オズの魔法使い』がベースになっているということで、つまり他の人がやったら悔しいなという思いもあるし、これまでのキャリアを総合して、一つの答えを出す時期だなということを個人的に思ったので、引き受けました。

ーー歌うキャストの皆様にオーダーはありますか?

宮川 言っておきますけど、大変ですよ(笑)。僕にとっては画期的なことが起きているんです。なぜなら、日本語でミュージカルを作るというのはものすごく壁が高かった。日本語は音程でできている言葉だからね。英語はアクセントやリズムがありますが、日本語の高低で意味がいろいろある。ミュージカルを作る際に制約が多かった。1回しか聴かないお客様に音楽で物語を紡ぐのが大変なんです。

僕は何十年もそうしたことを修行としてやっているわけですが、今回はじめての経験なんですけど、誤解を恐れずに言えば、曲先で作っている、メロディから作っている。もちろんキーワードをいただいて、こういうことを表現したいんだなというところで、そこで聞こえてきたメロディを尊重してもらって、作詞家の安田佑子さんに苦労してもらっています。革命的なことが起きていると僕は理解しています。

芝居も含めて、音と言葉に対するアプローチがとても新鮮に感じられるのではないかなと思います。僕の暗号の譜面を受け取ってください(笑)

蒼井「自分の中の本当に純粋な気持ちを開かないとついていけない」

ーー桜井さんだけが宮川先生の曲のお稽古が始まっているということですが。

桜井 難しすぎて、びっくりしました。1曲しかまだちゃんと触れていないんですけど、1曲の中にものすごいストーリーが詰め込まれていて。リズムもどんどん変わっていくし、初めて出会う音ばかりでした。振り回されたというのが最初の印象でしたが、歌っている中で、あまりにも感情が揺れ動いて、涙が出るんじゃないかというぐらい、気持ちが高ぶる曲でもありました。すごく大変ですけど、やりがいもあるし、これが形になったら、ものすごい感動が生まれるんだろうなと思ったので、全力で頑張ります!

桜井玲香

宮川 ついてきてください。

ーー今の話を受けて、かかし役のおふたりの抱負は?

蒼井 自分の中に流れる心臓の音だとか、一つひとつの感情がリズムや音楽となって、皆さんの耳に、目に届くんだろうなと考えたとき、自分の中の本当に純粋な気持ちを心開くというんですかね、しておかないと、絶対に宮川さんが手掛けられる楽曲についていけないんだろうなと感じました。ちょっとつまずいたら、まだ自分は心が開けていないんだと。小さい頃に戻ったぐらいの心持ちで、空っぽの心で、いろいろなものを吸収できるようにしておきたいと思いました。

蒼井翔太

鈴木 言葉に対して繊細なイメージを持てば持つほど、そこが歌詞になったときに、バッティングを起こす瞬間があるんですよね。良くなるところもあれば、難しくなるときもあって。(桜井さんが)歌われて難しかったということも含めて、いろいろな壁が稽古場で生まれてくるんだけれども、音を信じるというか、自分が生まれてくる感情も大切にしつつ、音から導きかせてくれる僕の感情に好奇心が湧きました。リズムと音程はみんなミュージカルにはあるんですけど、そことどう仲良く手を繋いで、ひとつの役や作品を作り上げていくのか。血の通った作品になるんじゃないかなと期待が膨らみました。

鈴木勝吾

宮川 みんなしっかりしているな〜。

ーーもしも魔法が使えるとしたら、どんな魔法を使いたいですか?

田尾下 1日38時間ぐらいにしたいですよね。

蒼井 時間足りないですよねぇ。

鈴木 魔法学校に行ってみたいです。......あれ、滑った?(笑)。魔法ってロマンがあるし、今回もいろいろな願いがあってオズの世界がありますけど、人が何かを願う力が生み出したものだから、魔法学校に行っていろんな魔法を学びたいなと思います。田尾下さんが言ったように、時間を操れる魔法が使えたら豊かになれるんだろうなと思いますけど、一方で、魔法が使えないからこそ時間を大切にできるのかな。迷いますね!魔法がない方が頑張れるのかもしれない。

桜井 透視する力が欲しいですね。例えば、家を出ました、でも遅刻ギリギリ、エアコン消したっけ……。それを見られるようになりたいですね。

蒼井 いつどんなときも、一発で、指を鳴らしたら、ばっちりメイクができる。また鳴らすと、スッピンに戻る。

桜井 それ、最高!

蒼井 楽でしょう?......でもヘアメイクさんいなくなると寂しいので、普段メイクに限ります!

桜井「総力を注いで作りあげていきたい」

ーー最後に一言お願いします!

桜井 本当にこの作品に向ける熱い思いを持っている方が集結していると思いますので、『DOROTHY』という作品がずっと続いていくような、ひとりでも多くの方に見ていただける作品になるように、総力を注いで頑張って作り上げていきたいなと思いました。

蒼井 玲香さんが......姫が頼もしいことを言ってくださったので、最後までついてきますということですが、僕自身もミュージカルということに関しては、そこまで多く出ているわけではありませんので、勉強という意味でも、考えること、心から素直に感じること、勇気を出すことを絶やさず、みなさんと一緒に長いレールを夢見るオズの魔法使いにしていけたらなと思います。

鈴木 はじめて皆さんの顔をちゃんと見て、思いがあって、輝きがある人たちということを嬉しく思っております。物事を真剣に作っていくと、煮詰まって斜め下を向いてしまうことがあるんですけど、このカンパニーだったら、斜め上をずっと見ながら作っていけるのかなと、温かい気持ちになりました。そして、作品を観にきてくださるお客様たちに、こんな時代の中でもひとつ光るものを見にきていただけたら嬉しいと思います。

会見でケーキと共に誕生日を祝ってもらう桜井玲香

会見の最後には宮川の演奏で、5月16日に28歳になった桜井のバースデーを祝うサプライズも。桜井は「28歳になって(本作が)最初の作品になると思うので、ちゃんと成長した自分をお見せできるように頑張りたいと思います。ありがとうございます」と決意を新たにした。

取材・文・撮影:五月女菜穂

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