クシャナに焦点当てた「白き魔女の戦記」を上演 尾上菊之助・中村米吉が再び挑む、歌舞伎『風の谷のナウシカ』

歌舞伎座「七月大歌舞伎」第三部『風の谷のナウシカ』に出演する尾上菊之助(クシャナ役)、中村米吉(ナウシカ役)が取材に応じ、意気込みを語った。宮崎駿の代表作である『風の谷のナウシカ』は2019年、新橋演舞場にて新作歌舞伎として初演。今回、歌舞伎座に初登場することになり、前半部分(昼の部)の物語をもとに皇女クシャナに焦点を当てた「白き魔女の戦記」を上の巻として上演する。

歌舞伎座「七月大歌舞伎」『風の谷のナウシカ』特別チラシビジュアル

初演でナウシカを演じた菊之助が今回はクシャナを(初演時は中村七之助が勤めた)、米吉がナウシカを演じることになった。菊之助が「前回米吉さんが演じたケチャも素晴らしく、熱心な役作りに情熱を感じておりました。その情熱がナウシカにリンクしている」と明かすと、米吉は「青天の霹靂とはこのこと。思いもよらぬ、まるで夢のようなお話で、お兄さん(菊之助)に『本当によろしいんですか?』と。今日は青い衣を着て、アピールさせていただきました(笑)」と喜びの声をあげていた。

今回は二幕構成となり、「クシャナの生い立ちも含めて、心情をより深く描くことができればと思っている」と菊之助。新橋演舞場に比べて、より横長な歌舞伎座での上演で「その特性を生かして、よりダイナミックに原作の世界を生き生きと再現できれば。宙乗り? えぇ、ぜひ、ナウシカにはメーヴェに乗っていただきたい」と構想を明かす場面も。この発言に米吉は「もし宙乗りがあるとしましたら、人生初めてのこと。原作と同じように、颯爽と空を飛ぶナウシカを表現できれば」と意欲を燃やした。

また、「こんなこと言うとハードルがあがりそうですが、米吉さんのナウシカ、すごくかわいいんですよ。これは大いに期待していただければ」(菊之助)とも。米吉は「歌舞伎のナウシカで目指すべき姿に、僕らしさのエッセンスをいかにふりかけるか。お化粧に関しては、試行錯誤しておりますが、ナウシカは悩みながらも、目的に進む力を持った夢想家。まだまだ未熟な私がナウシカを演じることで、クシャナとの立場を等身大で表現できれば」と背筋を伸ばしていた。

「初演のときには、まさか(劇中と同じく)マスクがないと生きていけない時代になるとは思ってもいなかった。宮崎先生は未来を見通していたのではないか。殺伐とした時代に、それでも人は真善美の心に気づき、変わることができる。そんなメッセージを込めて、世界観を作り上げていきたい」と菊之助。再演にあたり、息子の丑之助が幼い王蟲の精を演じることになり、「ナウシカと一緒に金色の野で踊らせていただければと思っております」と目を細めていた。

取材・文・撮影(取材会写真)=内田涼

※宮崎駿の「崎」の正式表記は「たつさき」

「七月大歌舞伎」
2022年7月4日(月)〜29日(金)

第1部 午前11時〜
『通し狂言 當世流小栗判官』

第2部 午後2時40分〜
『夏祭浪花鑑』『雪月花三景』第三部 午後6時30分〜
『風の谷のナウシカ 上の巻 ―白き魔女の戦記―』

※開場は開演の40分前を予定
【休演】11日(月)、20日(水)
【貸切】第三部:15日(金)、21日(木)

会場:東京・歌舞伎座

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