日生劇場60周年で三島由紀夫×宮本亞門『午後の曳航』、音楽劇『精霊の守り人』など

日生劇場が来年2023年に開場60周年を迎えるのにあわせて6月22日、60周年記念主催公演の制作発表会見が開催され、記念ロゴも発表された。会見には三島由紀夫作『午後の曳航』演出の宮本亞門、オペラ『メデア』演出の栗山民也、音楽劇『精霊の守り人』演出の一色隆司らが出席した。

オペラでは、ルイージ・ケルビーニ作曲の『メデア』(演出:栗山民也)の日本初演、日生劇場では実に53年ぶりのヴェルディ作品となる『マクベス』(指揮:沼尻竜典、演出:粟國淳)、そして三島由紀夫の同名小説のオペラ化作品で、ベルリンにて1990年に初演されたドイツ語版の日本初演となる『午後の曳航』(演出:宮本亞門)の3作品を上演する。

『メデア』演出の栗山は、ロシアによるウクライナ侵攻で、市民が避難していたウクライナの劇場が爆撃された事件に触れつつ「劇場というのは、人々が集い、人間について、そして世界について考え、学び、夢を見る場所だと思います」と悲痛な表情で語る。

栗山民也

そして『メデア』という作品について「紀元前に書かれた物語ですが、現実にいましっかりと息をしている物語であり、普遍性を感じます」と評し、本作を読むと、必ずピカソの「ゲルニカ」が頭に浮かぶと明かす。「画の中に死んだ我が子を抱きしめて空を呆然と見つめる母のスケッチがありますが、その目は縦になっています。人間の怒りと悲しみ、その究極をピカソはそう描いたんだと思います。いまの日本は、すごくわかりやすいことを受け入れる時代になってしまったと思いますが、不条理や矛盾に満ちているのが人間の姿だと思います。表と裏、悲劇と喜劇、愛することと憎むこと、正気と狂気――それが『メデア』の中心だと思います。オペラのみなさんの才能を借りて心に残る作品にしたいと思っています」と意気込みを口にした。

宮本亞門

『午後の曳航』演出の宮本はこれまでも『金閣寺』や『ライ王のテラス』などの三島作品を手がけてきたが「僕は三島由紀夫さんが大好きです。一切表裏を出すことなく、露骨に醜いもの、美しいものを出していくという姿に、いつも勇気をもらっています。いつかやりたかった『午後の曳航』がやっとできることに興奮しています」と笑顔で語る。そして、作品について「とても痛いです。恐ろしいです。そして美しいです。人間の本質を露骨に出している作品ですので、現代人の悩みそのものと言えるかもしれません」と語った。

この他、60周年記念作品として、ファミリーフェスティヴァル2023として、上橋菜穂子のベストセラーを原作に音楽劇『精霊の守り人』(演出:一色隆司)、人気画家、絵本作家ヒグチユウコ作品の初舞台化となる舞台版『せかいいちのねこ』(脚本・演出・振付:山田うん)、日生劇場主催のバレエ公演として初の子役オーディションを実施する谷桃子バレエ団『くるみ割り人形』〜日生劇場版〜(芸術監督:部尚子)が上演される。

取材・文=黒豆直樹

60周年記念公演ラインアップ

■NISSAY OPERA 2023『メデア』
2023年5月27日(土)・28日(日)
指揮:園田隆一郎 / 演出:栗山民也 / 管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団

■NISSAY OPERA 2023『マクベス』
2023年11月11日(土)・12日(日)
指揮:沼尻竜典 / 演出:粟國淳 / 管弦楽:読売日本交響楽団

■東京二期会オペラ劇場 NISSAY OPERA 2023提携『午後の曳航』 <共催公演>
2023年11月23日(木・祝) 〜26日(日) 予定
指揮:アレホ・ペレス / 演出:宮本亞門 / 管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団

<日生劇場ファミリーフェスティヴァル 2023>

■音楽劇『精霊の守り人』
2023年7月29日(土) 〜8月6日(日)
原作:上橋菜穂子作『精霊の守り人』(偕成社)/ 脚本:井上テテ / 演出:一色隆司(NHKエンタープライズ)

■舞台版『せかいいちのねこ』
2023年8月19日(土)・20日(日)
原作:ヒグチユウコ作『せかいいちのねこ』(白泉社)/ 脚本・演出・振付:山田うん / 出演:人形劇団ひとみ座、Co. 山田うん

■谷桃子バレエ団『くるみ割り人形』〜日生劇場版〜
2023年8月25日(金)〜27日(日)
演出・振付:谷桃子 / 芸術監督 改訂演出・振付:部尚子 / 出演:谷桃子バレエ団

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