沖縄在住の劇作家・兼島拓也が放つ『ライカムで待っとく』キャスト&詳細発表

沖縄在住の劇作家・兼島拓也が放つ『ライカムで待っとく』キャスト&詳細発表

KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『ライカムで待っとく』出演者

KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『ライカムで待っとく』が、11月27日から12月4日にかけて神奈川・KAAT神奈川芸術劇場<中スタジオ>で上演される。

沖縄本土復帰50年となる今年、沖縄在住の若手劇作家・兼島拓也が書き下ろし、沖縄に出自を持つ田中麻衣子が演出を手がける『ライカムで待っとく』は、KAAT神奈川芸術劇場によるメインシーズン「忘」の第4弾となる作品。アメリカ占領下の沖縄で起こった1964年の米兵殺傷事件を基に書かれたノンフィクション『逆転』(伊佐千尋著、新潮社・岩波書店刊)に着想を得て、当時の資料や現代を生きる東京の若者たち、基地問題の専門家、同じ基地の町・横須賀に暮らす人たちなどにヒアリングし、田中と推敲を重ねながら1年の歳月をかけて兼島が書き上げた。

この事件を全く知らなかったという30代の兼島は米軍基地が身近にある環境で生まれ育ち、現在も基地と生活が隣接している中で劇作家活動を行っている。この作品に通底するのは、「沖縄は日本のバックヤードではないのか」「沖縄の犠牲の上に成り立っている日本という国」という想い。沖縄の過去と現在と未来が交錯するこの戯曲は、まさに複雑性を包含する沖縄と日本の国の在り方を直視する物語となっている。

出演者はベテランのあめくみちこをはじめとする沖縄出身の俳優を中心に、文学座の亀田佳明、青年座の魏涼子、前田一世らが名を連ねた。音楽は国広和毅が担当し、俳優たちが三線を奏で、音楽により沖縄の世界が広がるところも見どころのひとつだ。

■兼島拓也(作)コメント
生まれ育ったこの島が複雑で面倒臭いことなんてとっくの昔から知っていましたが、あと何十年ここで暮らそうとその全容を理解することはできないし、複雑さや面倒臭さが解消されることもきっとなくて、今回の戯曲の執筆は、そのことを改めて確認する作業でもありました。
もし私が沖縄に住んでいなければ、そして沖縄が複雑で面倒臭い場所じゃなければ、私にこのようなお仕事が巡ってくるなんてことはなかったと思うし、そういう意味で私は「基地に食わせてもらっている」のかもしれません。特権を享受しているのかもしれません。
その「特権」を観客の皆様にもぜひ存分に味わっていただきたく、沖縄の日常を描いた物語になるよう劇作に励みたいと思います。

■田中麻衣子(演出)コメント
作家の兼島さんはどこか飄々としていてユーモア溢れる人です。台本の沖縄ことばでのやりとりには、そこでの生活があり、互いを大事にする優しさのようなものが通底しています。
テーゲー(いい・加減)で愛すべき沖縄の人たちを、8人のうち半分が沖縄ネイティブの役者さんたちで。2022年のドキュメンタリーのような作品になると思います。
50年前、沖縄の人たちが想像した未来はどんなだったのでしょうか。
地上ではブーゲンビリアがひしめいて咲き、海ではジュゴンがゆっくりと泳ぐ、珊瑚でできた島のことです。
この作品が少しでも気になったら、どうか、足を運んでください。

■長塚圭史(KAAT神奈川芸術劇場芸術監督)コメント
ライカムとは「琉球米軍司令部」つまり「Ryukyu Command Headquarters」を略して「RyCom」です。沖縄統治権を米軍が握っていた時代の象徴的なこの名称は、今はその土地の俗称となっています。この地域でライカムと言えばショッピングセンターであるイオンモール沖縄ライカムのことを指し、家族や若者が集まる代表的な遊び場となっているのです。この作品は復帰前の1960年代、沖縄で起こった沖縄人が犯したとされる米兵殺傷事件を扱います。事件の当事者となった若者たちは、幼い頃に凄惨な沖縄戦を生き抜いた世代です。彼らの生活の中には当然のように米軍の支配があり、時に不当な扱いを受けることも日常茶飯事でした。この事件も有無を言わさず沖縄人の罪が問われました。
雑誌のライター浅野はひょんなことからこの事件と向き合うことになります。妻の祖父の葬儀のために沖縄へ行くことになった彼のところに舞い込んだ当時の写真。そこには若き義祖父の横に立つ、自分とそっくり同じ姿の人物が立っていました。妻と共に沖縄のユタ(霊媒師)を通して死んだ義祖父と対話を始めることで、現在と占領下の時代とが交錯し始めます。二つの時代の若き沖縄人の姿を通して、沖縄と日本の終わりの見えない関係に迫ります。
このセンシティブな問題作に取り組むのは沖縄在住の劇作家の兼島拓也さん。『ライカムで待っとく』の兼島さんのセリフはなんとも軽やかで、ユーモアに溢れます。しかしその軽快さは次第に生きる術のようにも思えてきます。毎日朝から晩まで、この解決を見ない問題を直視し続けることは困難です。人は深刻な状況を、時には上手に忘れたり、思い出したりしながら生きていきます。そうでなければ生きられません。しかし当然そのまま目を背け続けてしまう危険性も孕みます。遠く離れていれば尚更に。
兼島さんは、浅野を筆頭とするやまとんちゅ(内地の人)へ問題を投げかけます。これは自分事なのか、それともあっち側の他人事なのか。演出は、自身も沖縄にルーツを持つ田中麻衣子さん。昨夏から始まった兼島さんと田中さん、沖縄出身の俳優諸氏や、劇場スタッフとの長く濃密な対話を通して、何度も何度も改訂を繰り返している『ライカムで待っとく』。ぜひ劇場でご覧ください。

■亀田佳明 コメント
中学の修学旅行は沖縄で、皆、楽しい旅行と大はしゃぎだった。
学習の一環として、戦時中のガマでの経験を体験者から聞く時間があった。
約200人の生徒達は話を聞いていくうちに静まり返っていった。
体験者の言葉と、あの会場の深閑とした空気は忘れられない。
以降、沖縄を何度か訪れている。この企画に参加させていただくことで、沖縄にさらに深く関わっていくことになるとおもう。

■前田一世 コメント
待ち合わせをするのなら、劇場がいい。今が昔になり、昔が今になる。
待ち合わせをするのなら、劇場がいい。そこは日本だけどアメリカになり、神奈川だけど沖縄になる。
待ち合わせをするのなら、劇場がいい。待っている身だと思っていたら、実は待たせている身だと思い知らされる。
待ち合わせの時間も場所も知らされず「待つ身」となっておいでならば、どうぞ劇場においで下さい。
そこでお待ちしております。

■南里双六 コメント
沖縄で起こる信じ難い現実に、内臓が震える思いがします。何故こんなことが起こるのか。声を上げたところで変わらない現実。踏みつけられ、搾取され、どんどん行き場をなくす沖縄。あるときフと気が付きました。私自身は、沖縄の何を知っているだろうかと。琉球以前から生きた先祖のことや、地獄の沖縄戦と惨憺たる戦後の沖縄のことの、いったい何を知っているのか。あの当時に何が起こったのか、どんな人が生き、どんな思いがあったのかをどれだけ「知ろう」としてきただろうか。全身で「知ろう」としてこなかった自分の態度こそが、今の沖縄の現実を招いたのではないか、と。この作品でまた、沖縄を刮目したい。

■蔵下穂波 コメント
沖縄が復帰50周年という年に、ウチナーンチュとして私は何が出来るのだろうかと考え、悩んでいた時に『ライカムで待っとく』のお話を頂き本を読み、迷わずやらせてくださいとお返事しました。
現在進行形で続く沖縄の様々な問題を、この舞台を通して感じてほしいなと思います。
特にもっと若い世代にこの舞台を観てほしいです。精一杯頑張ります!

■小川ゲン コメント
戯曲を読んで、どきっとしました。
あっち側と、こっち側。
自分はどこにいるのか。誰がその線を引いたのか。
本土で生まれ暮らしてきた「ヤマトンチュ」の一人として、どきっとしました。
僕たちにできるのは「負担を担っていただく」ことなのでしょうか。「寄り添う」ことなのでしょうか。
この戯曲と向き合うこと、そこに描かれた沖縄で生きる人たちと向き合うことは、「こっち側」にいる自分と、
目を背けずに向き合うことなのだと思います。

■神田青 コメント
まだ寒さの残る2022年5月、生まれ故郷・沖縄から上京してきました。34歳、世間的に言えばかなり遅めの選択だったと思います。私個人にとって大きな決断の年は、奇しくも「本土復帰50周年」を迎える節目の年でもあり、沖縄の物語に関われる機会に、私自身何か特別なものを感じています。
本公演を通して、ひとりの島人として、またひとりの演劇人としてご観劇くださる皆さまと「答えのない問い」を共に考えていけたらいいなあと思っています。劇場でお待ちしています。

■魏涼子 コメント
「ライカムで待っとく」に不思議な共感を抱きます。
1972年沖縄返還は私の生まれた年。
そして、復帰前は日本であって日本でなかったかのような、復帰後も本土と区別されるような、まるで私の生い立ちと同じような歩みを辿る沖縄。
事件の事は知りませんが、稽古を重ね役を深く理解することで、主人公同様に、沖縄が歩んできた歴史を追体験し、沖縄の人たちが抱え続けている苦労や悲しみを受けとめたいと思っています。
その先に、希望の未来が待ち受けていると信じて。

■あめくみちこ コメント
兼島さんの本を読ませていただき、すぐに、この作品に参加したいという強い思いに駆られました。
ウチナー口(沖縄の言葉)を混ぜながら、時には秀逸なコントの様なシーンがあり、でも、クスクス笑いながら読み進める内に、気づくと深い穴にストンと落ちた様な、沖縄の人達が、長い間抱えてきた、今も抱え続けている、その深い傷に、痛みに、まるで素手で触れてしまった様な、そんな感覚に襲われました。
沖縄復帰50周年の年にこの作品と出会えたこと、参加出来ることに感謝して、すぐに今は亡きふたりのおばぁにも報告いたしました。
KAATのスタジオで演出の田中さん、キャストの皆さんと共に過ごす、お稽古、本番の時間が今から楽しみでなりません。ちむどんどんしています。どうぞひとりでも多くの方にこの芝居を観ていただけますように、沖縄に思いを馳せていただけますように、切に願っております。
『ライカムで待っとく』、KAATで待っとくからね〜!よろしくお願いいたします。

<公演情報>
KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『ライカムで待っとく』

11月27日(日)〜12月4日(日) 神奈川・KAAT神奈川芸術劇場<中スタジオ>

作:兼島拓也
演出:田中麻衣子

出演:亀田佳明 前田一世 南里双六 蔵下穂波
小川ゲン 神田青 魏涼子 あめくみちこ

【チケット料金】(全席指定・税込)
一般:5,500円
神奈川県民割引(在住・在勤):4,950円
U24 チケット(24 歳以下):2,750円
高校生以下割引:1,000円
シルバー割引(満65歳以上):5,000円

※神奈川県民割引はチケットかながわの電話・窓口にて、9月17日より取扱い(前売のみ、枚数限定、要住所確認)
※U24、高校生以下、シルバー割引はチケットかながわの電話・窓口・WEB にて9月23日より取扱い(前売のみ、枚数限定、要証明書)
※車椅子でご来場の方は事前にチケットかながわにお問い合わせください。
※未就学児の入場はご遠慮ください。

チケット一般発売:9月23日(金・祝)

チケット購入リンク:
https://pia.jp/t/kaat/

お問い合わせ:チケットかながわ
TEL:0570-015-415(10:00〜18:00)

公演サイト:
https://www.kaat.jp/d/raikamu

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