【ライブレポート】『Grasshopper vol.4』MOCKEN×かたこと×ハローモンテスキュー、音楽の力で一体となったフロアが体験した素敵な夜

8月29日月曜日、開場前の下北沢DaisyBarには週初めの平日にも関わらず、多くの人々が列を作る。バンドTシャツを着た若者やスーツを着た仕事終わりの人など、さまざまな年齢層の観客がいたことが印象的だった。それぞれがそれぞれの目的を持ってライブハウスに集まった観客だったが、MOCKEN、かたこと、ハローモンテスキューの3バンドの音楽の力によって一体となり、素晴らしい夜を体験したことだろう。

MOCKEN

いつ始まるのかとざわつくフロアを、MOCKENメンバーが突然鳴らした爆音で、静まり返らせる。永野元大(Gt/Vo)が「埼玉県越谷MOCKENです、最後までどうぞよろしくお願いします。」と告げて始めたのは『まほろば』。始まりからラストに持ってくるような熱量がこもった曲をぶつけた。「間違いなんてないよ!君の生活に、僕の生活に」と目の前の人を全力で肯定し、「届け!歌!!」とストレートに伝えるこの歌のパワーに大きく惹かれる。

「俺はみんなと歌が歌いたい」と次に歌い出したのは『皆の唄』。短い曲だが、詰め込まれたメッセージは十分伝わってくる。そしてそのまま『ざまあみる』に続く。リュウノスケ(Gt)と杉山涼(Ba)がステージ前に乗り出して爆音を鳴らす。感情的に歌う永野の様子が印象的だった。MOCKENの演奏で静かだったフロアが熱気を帯びていく。その後のMCではGrasshopperの企画や対バン相手に対する思いを伝えた。

その後落ち着いた曲調で始まったのは『NIGHT WALKER』。歌声にリバーブがかかって気持ちよく響き渡る。歌詞を少し変えている箇所があったり、語りに変えてみたりとその日のライブでしか見ることしかできない、聴くことのできない歌を聴くことができるのも、MOCKENのライブに魅せられる理由だろう。

そしてそのまま始まる重みのあるドラムが、観客をドキドキさせる。それだけで次の曲が予想できてしまうからだ。「気分転換にファンタジーな曲を歌いたいと思います。」と、始まったのは『銀河鉄道の夜』。青い照明が夜空の雰囲気を作り出し、メンバーが鳴らす音の残響がフロアに充満する。なんとも幻想的な感覚に陥った。全員がシンガロングする様子に、見ている観客も声が出そうになる。「いつかこの歌を一緒に歌える日まで続けます」と聴いてくれる人たちを思いやる永野の気持ちがあふれた。

そしてその熱量を保ったまま『妄想彼女』が始まった。自然と手拍子が起こり、サビでは拳が突き上がる。宇佐美大二(Dr)はより強く激しくドラムを叩き、杉山は飛び跳ねながら演奏する。リュウノスケはギターを高く持ち上げ、永野はマイクよりも前に乗り出す。それぞれが自分の熱い気持ちをライブにぶつける、ただただかっこいい姿だった。曲が終わり、永野が照れ臭そうに話し出した。自分がバンドを始めた理由、この日のライブで伝えるべきこと、その色々を不器用そうに、でも真っ直ぐに伝えた。

最後の曲は『夢で逢えたら』。「何も言わずにぎゅっとして離さないで」と全員で訴えかけるように歌う。前に立つ3人がそれぞれの楽器を縦に持ち上げ、ドラムの宇佐美も叩きながら立ち上がる。フロアでたくさん上がる拳を見て、「手を上げるのが別に正義だとは思わないですけど、すごく嬉しいです。全部見えてます!」「わかりやすいのって嬉しいですよね!」と永野が素直に喜びを伝えた。そうやって、素直な言葉がポロポロとあふれてくる彼だからこそ書ける、少し情けなくて、でもとても真っ直ぐな歌をこれからも追い続けたい。

かたこと

アコースティックギターの音から始まる軽やかなリズムのSEが流れ、メンバーが入場する。彼らを迎えてくれる拍手に笑顔で応えつつ、ドラムの元に集まり、みんなでグータッチ。彼らのこの日のライブに対する意気込みに思いを馳せる。

「湘南から来ました、かたことです。よろしくお願いします!」と元気に叫んで、挨拶がわりにそのまま1曲目『アイデンティティを愛して』を披露。この曲を1曲目に歌うのは久しぶりで、直近のライブとは一味違うライブを味わえるのではないかと期待が高まっていく。威勢のいいドラムが始まり、雰囲気が大きく変わった。スピード感あふれるこの『Letter song』に観客は小さく体を揺らし、3人のシンガロングにテンションを上げていく。

続く『Fancy Girl』は、サビから始まるポップな曲。長尾拓海(Gt/Vo)の伸びやかで可愛らしい歌声が最大限に生かされている。フロアでは曲始めから多くの手が上がり、ステージ上でも笑顔のパフォーマンスが見られた。曲が終わると、そのままスネアの音が高らかに響きだし、観客が手拍子を加える。伊東拓人(Dr)の「1-2, 1-2-3-4!!」というカウントから『Lonely Day』が始まった。タイトルのイメージとは真逆の、明るい曲調と照明、優しい歌声、にこにこの笑顔で演奏するメンバーを見て、気持ちが温かくなった。

ベースから始まった『純情ラプソディ』では、メンバーそれぞれのソロ演奏パートがあり、技巧の高さが発揮された。ギターの音も今までの曲とは一風変わったもので、セトリに変化を与えた一曲だった。次に「かたことなりのラブソングを!」と叫んで続けたのは『ラブ&ポップ』。夏にぴったりの淡い青春を感じるラブソングで、爽やかな気分になった。その後、「最後一曲! 思いっきりやって終わります! かたことでした、ありがとう!」といって始めたのは『最果てから』。長尾の始めの一声から、勢いに押されるようにフロアの拳が上がり、純(Ba)も飛び跳ねながら演奏し、ステージを盛り上げた。かたことのグッズを身につけた観客もそうでない観客も、かたことの作り出すカラフルでポップな空気を吸い込んで、楽しそうに体を揺らした。最後までブレない大声量で歌いきり、大きな拍手が上がった。

ハローモンテスキュー

たくさんの拍手に迎えられてメンバーが入場する。SEが消えると同時に、照明がはたけ(Gt/Vo)を照らし、弾き語りが始まる。1曲目は『スワロウ』。観客の手拍子が自然と起こり、サビでは高く手が上がった。708/残響P(Gt)も激しくギターをかき鳴らし、1曲目から熱いステージングを見せた。その熱さのまま『がらんどう』が始まる。はたけが「みなさんで楽しい夜を作りましょう!」と叫び、観客もそれに応えて音楽にのる。曲が終わり、「センキュー!」と短く言ってニカッと笑う姿は、曲中で力強く歌う様子とはギャップがあり、とても可愛らしかった。続くのは『ばけのかわ』。オレンジの照明に照らされたステージと心躍るリズムで気持ちが明るくなる。708/残響Pのギターが爆音で鳴らされ、耳を圧迫するが、それが逆にとても気持ち良かった。

曲が終わると、はたけが恥ずかしげにMCを始めた。ハローモンテスキューは7月にメンバーが1人脱退してしまい、2人体制となったという。今回はサポートを2人入れての出演となっている。「このまま終わってしまうのかなと。終わりも見えかけた。」と赤裸々に打ち明ける場面もあった。しかし、「サポートしてくれる仲間がいて、呼んでくれる人がいて、ライブを見てくれるあなたがいて、そのおかげでなんとか東京にも(今年)初遠征で来ることができました。感謝しかないです。本当にありがとう。」と呟くように伝えた。「心を込めて」とささやいて、ゆっくりと弾き語りを始める。『なんでもない話』は今までよりもずっと優しい声で歌い上げられた。そんな透明感のある声の隣で軋むギターのキンキンとした音が良いコントラストを生んでいる。

曲調が変わり、次に披露したのはアップテンポな『あなたと。』。「私たちは私たちの全力をあなたにぶつけます」と宣言し、訴えかけるように歌う。間奏では708/残響Pがステージ前に乗り出し、ドラムが立ち上がりスティックで観客を指す。彼らの熱量を受け取った観客が高く拳を突き上げた。そのままの勢いで、最後の1曲『正直な話』を始めた。メンバーの気持ちが高まり、はたけは歌の途中で叫び、708/残響Pは大きなギターの音でラストを盛り上げた。

演奏を終えて舞台袖にはけてしまったメンバーを、アンコールを待つ観客の拍手が呼び戻す。嬉しそうに再びステージに戻ってきた彼女たちがアンコールに選んだのは、1曲目に披露した『スワロウ』。全員のテンションが上がった中で演奏される『スワロウ』は1曲目よりも伸びやかに、力強く伝わってきた。カラフルな照明に照らされて、明るい気持ちを共有したステージとフロアは、一体となって素敵な一夜を作り上げた。

Text by らいれいな  Photo by Nanami Shinkai

イベント公式サイト:
https://fan.pia.jp/grasshopper/

関連記事(外部サイト)

  • 記事にコメントを書いてみませんか?