【ライブレポート】メロディックパンクの雄・KUZIRA、リリースツアー開幕 興奮が止まらない初日公演

KUZIRAが2ndフルアルバム『Pacific』を引っさげてのリリースツアー「Pacific Tour 2022-2023」の初日を新代田FEVERにて開催した。

ゲストとして39degreesとDRADNATSを招き、ライブハウスで戦い続けるメロディックの雄による三つ巴であったが、実はリベンジも兼ねての組み合わせ。2年前にこの3バンドによるライブは企画されていたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により中止。本来ならばKUZIRAはそこでPIZZA OF DEATH RECORDSへの移籍を発表する予定でもあったという。

ようやく、という高ぶる気持ちがあったに違いない。39degreesは「みんな、メロディック大好きっすか?」とクリハラコウキ(Ba/Vo)が満員のフロアへ問いかけ、腰のグッと入ったライブを炸裂。ツインヴォーカルが織りなすキャッチーなメロディーも相まって、様々なアプローチを持つメロディックサウンドを披露していった。

「KUZIRAをよろしくな!」とステージの去り際にYAMAKEN(Ba/Cho)が口にしたように、バンドとしてもレーベルとしても先輩になるDRADNATS。当然ながらカッコ悪い背中は見せられない。勝ち気な彼らはいつもそうではあるが、やるしかないという気合いのみなぎったパフォーマンス。音の強度と精度、KIKUO(Vo/Gt)の伸びやかな歌声に加わるYAMAKENとKENTARO SASAMORI(Ds)のコーラスも抜群に良く、これぞメロディックバンドだという凄みを見せつけてくれた。

そんな2バンドの熱演によって異常なまでに温まったところで本日の主役、KUZIRAへバトンが渡されたのだから、会場にはライブ前から汗ばむような熱気が充満。だが、末武竜之介(Ba/Vo)、熊野和也(Vo/Gt)、シャー:D(Ds)の3人に妙な気負いは見られず、ゆったりと姿を現し、足を軽く踏み鳴らす。

ライブ直前のいい緊張感を漂わせ、末武の「『Pacific』ツアーへようこそ! こっから始まるからな!」という宣言から「Control」を投下し、ライブはスタート。いろんな始め方があり、どれが正解というわけではないのだが、やはりリリースツアーの1曲目は新作の1曲目というのが気持ちいい。ハイトーンを響かせる末武、そこへ寄り添う熊野のコーラス、タイトかつ的確に叩き出すシャー:Dのリズム、これらが一体となりフロアへ放たれ、始まった瞬間に変わる景色。いや、物理的に何かが変わったということではないのだが、明らかに目の前には違う景色が映し出されていく。

その勢いを加速させるべく、疾走しながら末武と熊野のツインヴォーカルが豊かに響く「In The Deep」、ビッグコーラスもたくましい「Throw Your Cell Away」、オーディエンスも大きく手を振り上げ、エネルギーを撹拌した「Snatch Away」と序盤から果敢に攻め立てる。前作『Superspin』のリリースツアーは思っていた通りの形では開催できず、構成としてもワンマンだった。今この瞬間、願っていた状況にあるわけで、ライブバンドとして一片の躊躇もないのは当然か。この時点で末武が「いいスタートが切れたわ」と語ってしまうほど、ステージとフロアの熱が混じり合い、ライブハウスらしいムードに包まれていたのだ。

末武竜之介(Ba/Vo)

だからといって、少し落ち着いたテンション感で、ということなどなく、軽快なポップチューンながら芯の強さも醸し出す「Too Easy」にオーディエンスが一気に踊りだしたスカチューン「Clown」と繰り出していく。コンパクトにまとめながらも多彩な展開を持つ曲というのはKUZIRAの特長のひとつだが、ライブで体感すればその良さは倍増。激しく動きながらもブレない末武の歌声もさすがだ。

しかし、本当に止まらない流れ。KUZIRAが曲を繰り出せば、フロアは歓喜し狂乱の様相。そして、その状況を食らうようにKUZIRAはさらに躍動し、オーディエンスはより惹きつけられる。そんなヒートアップが連続する中、スケール感たっぷりにいつまでも後を引くグッドメロディーを鳴らした「The Weak」は実に鮮やかだった。

熊野和也(Vo/Gt)

ここで「最高に楽しいです。みんな、どうですか?」と末武が投げかけ、万雷の拍手が起こったところで、オーディエンスの要望に応えてデモCDを制作したと話す。正式にリリースを重ねてる今、別にしなくてもいいことではある。ただ、ライブハウスでしか買えない、ライブハウスに来る意味を込めたというのは何よりも現場を大切にするKUZIRAらしいところだろう。

シャー:D(Ds)

中盤戦に差し掛かり、このMCから多少はスローな流れに持っていくのかと思いきや、まだまだだろと言わんばかりに生命力みなぎる「Overload」、小気味良いギターの裏打ちに合わせてオーディエンスが踊りまくった「Change」を叩きつけてから、『Pacific』での流れと同じくハードロック調のリフから始まるショートチューン「F Is For Fuck」と「Blank Space」をつなげていく。ライブでもあの流れを再現してくれたのは嬉しい驚きだったに違いない。

そして、熊野が集まったオーディエンスへ謝辞を伝えてから、ライブハウスを取り巻く現状について言葉を選びながら話していく。「自由っていうのと誰かに迷惑をかけていいのは、似てるようで違う。楽しいと息苦しいがあったら、そのメモリをだんだんと楽しい方にしていければ」と真摯に語る姿は印象的であった。

後半戦に入ってもアクセルを緩めることなく、「Way of Life」でまっすぐに音と想いを飛ばし、メロディックパンクが大好きなオーディエンスへ向けて「By For Now」をプレイ。どうしようもなく胸が熱くなるメロディーと衝動感。メロディックの旨味が凝縮された名曲だ。

「みんな、どんな気分かな? 最高だったらいいな」との言葉から末武が心地よいギターを鳴らし、フロアが波打つように揺れた「How You Feel」に続けたのは「A Sign of Autmn」。サビで大きく開き、光が指すようなこの曲をプレイする前、少し溜めて、心苦しそうに「みんなで歌いたくて作った曲をやるわ」とつぶやいた末武。1日でもその日が早く来ることを願わずにはいられなかった。

ラストスパートはまさに畳み掛け。まずはタイトル曲でもある「Pacific」を願うように、気持ちを振り絞るように末武は歌い、心をこめて熊野はリズムを紡ぎ、一心不乱にシャー:Dは強いショットを繰り出していく。オーディエンスが力いっぱい拳を突き上げ、すべてを受け止めようとする。ステージを照らすライト以上に会場全体が輝いた瞬間だった。

そこから「Backward」へ続いたのだが、この日がツアーファイナルかと思うような前のめりっぷり。一瞬一瞬を大事に抱きしめ、そこで生み出された感情を全身を震わせながら表現する。それがKUZIRAのスタイルであり、だからこそ、これだけ多くの人が引き寄せられるのだ。

本編の締めくくりには「これからもライブハウスを好きでいてくれよ!」と末武が絶叫してからキラーチューン「Spin」をかき鳴らす。末武と熊野の掛け合い、流れ出すグッドメロディー、突っ走るビート感、KUZIRAとしてのすべてをここに残すというような弾けっぷりに興奮が止まらなかった。

しかしながら、この日はツアー初日。これからどれほどパワーアップしていくのだろうか。各地で仲間としのぎを削り合い、さらに発揮されるであろうポテンシャル。早く次のライブが観たい。そう思わせる、淀みなど一切ない盤石のパフォーマンスだった。

Text:ヤコウリュウジ Photo:Akira“TERU”Sugihara

<公演情報>
KUZIRA presents.【Pacific Tour 2022-2023】

9月16日(金) 新代田FEVER
OPEN18:00 / START18:30

出演:KUZIRA
ゲスト:39degrees / DRADNATS

<ライブ情報>
KUZIRA presents.【Pacific Tour 2022-2023】

※終了分は割愛

■2022年
9月30日(金) 心斎橋ANIMA
10月7日(金) HEAVEN’S ROCK宇都宮 VJ-2
10月9日(日) 酒田MUSIC FACTORY
10月10日(月・祝) 郡山HIPSHOT JAPAN
10月12日(水) 仙台MACANA
10月13日(木) 盛岡the five morioka
10月18日(火) 弘前KEEP THE BEAT
10月19日(水) 秋田Club SWINDLE
10月22日(土) 福井CHOP
10月23日(日) 滋賀B-FLAT
11月3日(木・祝) F.A.D YOKOHAMA
11月5日(土) HEAVEN’S ROCK 熊谷 VJ-1
11月6日(日) 水戸LIGHT HOUSE
11月12日(土) 甲府KAZOO HALL
11月18日(金) 岡山CRAZYMAMA 2nd Room
11月19日(土) 松江AZTiC canova
11月26日(土) 奈良NEVERLAND
11月27日(日) 和歌山GATE
12月1日(木) 神戸太陽と虎
12月3日(土) 松山WstudioRED
12月4日(日) 福岡LIVEHOUSE CB
12月6日(火) 鹿児島SR HALL
12月8日(木) 宮崎LAZARUS
12月10日(土) 熊本Django
12月11日(日) 長崎Studio Do!
12月16日(金) 鈴鹿ANSWER
12月22日(木) 千葉LOOK
12月24日(土) 新潟GOLDEN PIGS RED
12月25日(日) 長野CLUB JUNK BOX

■2023年
1月7日(土) 京都MUSE
1月14日(土) 高知X-pt.
1月15日(日) 高松DIME
1月21日(土) 金沢vanvanV4
1月28日(土) 周南LIVE rise
1月29日(日) 広島Cave-Be
2月3日(金) 静岡UMBER
2月17日(金) 柳ヶ瀬ants

『DElicious BUns FESTIVAL2022』

りんくうビーチ特設ステージ
OPEN9:00 / START10:00
※KUZIRAは10月1日(土) に出演

『intergalactic ~Light A Fire Tour~』

10月4日(日) 神戸太陽と虎
OPEN18:30 / START19:00
出演:dustbox / KUZIRA

『Northern19 × KUZIRA Wレコ発ツアー』

10月15日(土)旭川CASINO DRIVE
OPEN17:30 / STRAT18:00

10月16日(日)札幌BESSIE HALL
OPEN17:30 / START18:00

出演:Northern19 / KUZIRA

『SATANIC PARTY 2022』

10月30日(日)Spotify O-EAST & duo MUSIC EXCHANGE
OPEN14:00 / START14:45

『ROTTENGRAFFTY “It's Alright Tour 2022”』

11月9日(水)名古屋DIAMOND HALL
OPEN18:00 / START19:00
出演:KUZIRA / ROTTENGRAFFTY

<リリース情報>
KUZIRA 2nd フルアルバム『Pacific』

Now On Sale
価格:2,750円(税込)

【収録曲】
1. Control
2. Pacific
3. Too Easy
4. Way of Life
5. F Is For Fuck
6. Blank Space
7. Remember Me
8. Everywhere You Look
9. New Style
10. Overload
11. My Room
12. How You Feel
13. Better Day
14. Get Along Just Fine

プロフィール

KUZIRA シャー:D(Ds)、末武竜之介(Vo/Gt)、熊野和也(Ba/Vo)
2017年に本格始動したメロディックパンクバンド。 Vo&Gt末武竜之介のハイトーンボイス、キャッチーなメロディー、自由奔放なライブが特徴的。活動キャリア僅か1年にも関わらず自主制作したDemo CDはライブ会場・一部レコードショップ・ECサイトのみの販売で1st Demo約1,500枚、2nd Demo約2,000枚を販売する。2019年8月 1st E.P『Pay The Piper』をリリースし、約半年間に及ぶ全国32カ所を巡るリリースツアーを開催。 2021年3月に新ドラマー、シャー:Dが加入。 2021年5月 1st フルアルバム『Superspin』をPIZZA OF DEATH RECORDSよりリリース。若々しくエネルギッシュな3人組が次世代のメロディックパンクシーンを牽引する日は近い。


公式サイト:
https://www.kuzirawkmgifu.com/

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