おとな向け映画ガイド 今週公開の作品も傑作揃い。その中からオススメ3本。

おとな向け映画ガイド

今週公開の作品も傑作揃い。その中からオススメ3本。

ぴあ編集部 坂口英明
20/6/14(日)

イラストレーション:高松啓二

緊急事態宣言の解除後3週目、今週末公開の新作は17本。『ドクター・ドリトル』など全国100スクリーン以上で拡大公開される作品も登場しています。映画館が日々感染防止対策の努力をしていることもあり、少しずつ活気が戻ってきました。今週も傑作揃いのなかで、これはという、おとなの映画ファンにオススメの3本を、ご紹介します。

『エジソンズ・ゲーム』



功成り名遂げた偉い人、実は嫌なやつだった、というのが、おとなが納得する偉人伝の真実ではないでしょうか。その点でも、この映画はよくできています。主人公の発明王エジソンは、嫌なやつなのです。でも独創的で個性的。演じているのが、ベネディクト・カンバーバッチ、このクセ多いキャラ、もうぴったりです。

交流と直流、理科の時間にならったあれですが、電気の規格をどちらにするかという一大ビジネス戦争が、1880〜90年代にアメリカでありました。その一方の旗頭が、エジソン。対するは、マイケル・シャノンが演じる実業家のウェスティングハウス。中心人物ふたりがさまざまな仕掛けをもって対立します。特許訴訟、マスコミ操作、脅し、そして裏切り……。実は死刑台の電気椅子の発明もエジソンが関係していて、論議のタネになってしまうというなかなか興味深いシーンもあります。クライマックスは、1893年のシカゴ万博。19世紀末のクラシカルな世界で繰り広げられる、天才たちの知恵と駆け引きが、すごくスリリングです。

『ペイン・アンド・グローリー』



日本の現役政治家、衆議院議員小川淳也を17年間追い続けたドキュメンタリーです。これが、めっぽう面白い! カメラの前で17年、これでいいのか、と悩み続ける代議士の、愚直なまでに真っ直ぐな姿に、政治の世界でもこんな人がいるんだと驚きます。民主党から民進党、希望の党、そしていまは無所属。このコロナ禍で、国会の質問に立ったこともあります。見たことはある、気がします。当選は5期。政府、政党の要職についたことはほとんどない、といっていいでしょう。

安倍長期政権時代に入り、野党の集合離散の波にもまれていく小川氏。高松市に帰るとその説明に追われる日々が続きます。選挙になると、地元新聞社のオーナー一族の自民党議員に常に惜敗し、比例代表で復活が常。政策通、ビジョンが明確な彼ですが、政党間のヘゲモニー争いのなかでで板挟みになり力が発揮できません。理想と現実のから回りや、周囲のから騒ぎ、地方選挙の人間模様など、日本の政治の世界ならではの様々な人間ドラマもこの映画には映し出されています。

この議員の暮らしぶりと謙虚な話し方は、政治家とは上から目線のえらそーな人、というイメージの真逆にあります。そうか、だから、総理大臣にはなれない、のか。

首都圏は、6/13(土)からヒューマントラストシネマ有楽町、ポレポレ東中野で公開中。中部は、名古屋シネマテーク他で近日公開。関西は、7/24(金)からシネマート心斎橋他で公開予定。

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