『バットマン』&『ダークナイト』シリーズは悪役(ヴィラン)で見る!

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特設サイト(https://www.wowow.co.jp/movie/joker/)

あの『ジョーカー』がついにWOWOWに登場!
『バットマン』&『ダークナイト』シリーズを悪役視点で見直そう!

記憶に新しい2019年10月4日、日米同日に劇場公開がスタートした映画『ジョーカー』。DCコミックスを基に数々の劇場映画が作られてきた『バットマン』の中でも屈指の存在感を放ち続けてきた悪役(ヴィラン)・ジョーカー、その誕生の経緯に焦点が当てられた本作は、全世界では10億ドル、日本でも快挙と言っていい50億円超の興収を記録するメガヒット作となった。

そんな規格外の作品『ジョーカー』が、満を持してついにWOWOWで放送されることに。しかも、1989年『バットマン』から2012年『ダークナイト ライジング』まで、ティム・バートン、ジョエル・シューマカー、クリストファー・ノーランという3人の名監督たちが手がけてきた[『バットマン』4部作編]と[『ダークナイト』トリロジー編]7作品も併せて放送される。

時に(いつも!?)、主役ヒーローであるバットマンをも霞ませるほどの強烈な存在感を放ってきたシリーズの悪役たち。そこで本特集では、彼らにスポットを当てながら、『ジョーカー』とこれまでのシリーズ7作を振り返っていきたい。

『ジョーカー』の主人公に一番近いのは、実はキャットウーマン!?

── ティム・バートン監督から始まった最初のシリーズ4作と、クリストファー・ノーラン監督のシリーズ3作では、確かにテイストがまったく違いますね。前者が漫画的で、後者が現実的と言えるでしょうか。

相馬 それがはっきりと表れているのが、キャットウーマンだよね。ミシェル・ファイファーのキャットウーマンは一度死んでから生き返る非現実キャラだけれど、アン・ハサウェイが演じた方はキャットウーマンとは名乗らないし、猫耳さえつけてない。

『ダークナイト ライジング』でアン・ハサウェイが演じたキャットウーマン

村山 アン・ハサウェイはセクシーである以上に知的押しでしたね。彼女はある意味、キャットウーマンの歴史から外れていて、キャットウーマンに変身した途端に性格も奔放に変わってしまうミシェル・ファイファー版とは違いますね。とはいえ、キャットウーマンというキャラクターは常に魅力的ですよ。最初のシリーズでは女性キャラクターの描き方はわりとぞんざいなんですが、『バットマン・リターンズ』で演じたキャットウーマンは背景が見えるし、ちゃんとバットマンと対になってる。

『バットマン・リターンズ』でミシェル・ファイファーが演じたキャットウーマン

相馬 そういう意味では、『ジョーカー』の主人公にいちばん近い女性キャラクターは、この映画のキャットウーマンかもしれないね。鬱屈が爆発するという点で。セクシーな女性ヴィランでは、ユマ・サーマンのポイズン・アイビーもイイね。あの人、ヴィランなのに、見ていてどんどんかわいそうになってくる。

『バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲』でユマ・サーマンが演じたポイズン・アイビー

村山 あー、扱いがちょっとヒドかった。“おまえがいちばん悪いヤツだ”というような、へんなお仕置きを与えられるんですよね。

相馬 そうなのよ。“母なる地球を守りましょう”という主張をしているだけで、大きな視点で見れば間違ったことを言ってるわけじゃないじゃない? グレタ(・トゥーンベリ)ちゃんと一緒だよ!

村山 そのために人類を抹殺しようとしてるんだから、人間にとっては迷惑な人ですけどね(笑)。フェロモンをフッと出してバットマンとロビンを“俺の方が彼女に愛されてる!”と仲違いさせるのが、バカバカしくておかしかった。

相馬 そこがね、またイイのよ(笑)。漫画として見る分には。

2作のトゥーフェイスから見える、初期シリーズとノーラン版の違い

── 他にもたくさんのヴィランがいますが、それらはどうでしょう?

相馬 『バットマン・リターンズ』のペンギンは好きだなあ。捨て子という同情を引くキャラだけど、粗野で、とことんヒネくれていて。アヒルの乗り物とかガジェットのデザインも最高。

『バットマン・リターンズ』でダニー・デヴィートが演じたペンギン

村山 “この悪党は、こういう理由があって、こういう悪事をやってる”というのが普通の敵だとしたら、“この悪党は、こういうヒドい過去があったから、こんなにもねじくれてる”というキャラですからね(笑)。

相馬 ねえ。自分がねじくれてるからかもしれないけど(笑)無性に胸に迫る。『バットマン フォーエヴァー』のトゥーフェイスも、ねじくれてるね。

村山 見るからに偏屈そうで、口数の少ないトミー・リー・ジョーンズが、あんなに喋っている映画は、他にないですよ。しかも笑顔全開ですよ!

『バットマン フォーエヴァー』でトミー・リー・ジョーンズが演じたトゥーフェイス(左)と、ジム・キャリーが演じたリドラー

相馬 (笑)ジム・キャリーとのバランスも取れてる。『バットマン フォーエヴァー』のセリフの半分以上は、このふたりが発しているからね(笑)。『ダークナイト』での復讐しか頭にないトゥーフェイスとは対照的。最初の4作とノーラン版3作との違いが、このキャラを通してハッキリ出てるよね。さらに言うと、『バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲』と『ダークナイト ライジング』に登場するベインを見比べると、違いがさらによく分かる。

『ダークナイト ライジング』でトム・ハーディが演じたベイン

村山 前者のベインは、ただのパワー担当でしたからね。後者は頭脳労働もしている(笑)。ジム・キャリーのリドラーはジム・キャリーそのものですよね。

相馬 (笑)確かに。顔面芸も動きも、期待を裏切らないジム・キャリー。『バットマン フォーエヴァー』に出演したとき人気絶頂期だったしね。で、人気的には極めつけはアーノルド・シュワルツェネッガーになるのかな。

村山 Mr.フリーズだけに、寒いジョークを連発してますよ(笑)。

相馬 そうなんだよね(笑)。凍らせることに引っかけたアイスギャグ。ちょっとユニークなのは、悪役の中では珍しく家庭を持っていたキャラクターであること。そういう点では、ある種の共感を呼ぶヴィランではあるよね。

『バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲』でアーノルド・シュワルツェネッガーが演じたMr.フリーズ

── ノーラン版の他のヴィランは、どうでしょう?

村山 ノーラン版の1作目は、最初にちょっと笑ってしまったんですよ。あの映画のブルース・ウェインは悪を学ぶために盗みをしたり、刑務所でケンカしたりするヘンな人じゃないですか? で、リーアム・ニーソンに誘われて、山に上ったら、ヒゲをつけた渡辺謙扮する導師がいる。で、ブルースは“弟子にしてください”と。「この人はカルトに簡単にハマる人だ」と思いましたよ!

『バットマン ビギンズ』でラーズ・アル・グールを演じた渡辺謙

相馬 (笑)ヴィランかどうかはともかく、影の同盟は怪しい組織ではあったなあ。ノーラン版のヴィランでは、他にスケアクロウがいて、このキャラは3作すべてに出てるね。『ダークナイト ライジング』ではどこに出ていたか覚えてないな……。

『バットマン ビギンズ』の悪役、スケアクロウ

村山 反逆者のコミュニティみたいなところで裁判官やってましたよ。

相馬 あー、キリアン・マーフィーが素顔で出てたのか。覆面してないから、忘れてた(笑)。

村山 スケアクロウは小物感が出てますからね。『ダークナイト ライジング』をこれから観る人は、“マーフィーを探せ”だと思って見つけてほしいですよ(笑)。

『バットマン ビギンズ』でスケアクロウを演じたキリアン・マーフィー

『バットマン』&『ダークナイト』シリーズの悪役像にはアメコミ映画の成熟が表れている

村山 あらためて振り返ると、『バットマン』から始まったシリーズ4作は、基本的に、ヴィランになるまでの背景に興味がないという気がしますね。『バットマン・リターンズ』『バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲』には一応、背景があるけれど、そこに説得力が感じられない。そういう漫画っぽさが味なんですよね。

相馬 そうだね。キャットウーマンにしてもMr.フリーズにしても、悪党になる前に、フツーは死んでるから。

村山 そういう非現実的な要素がファンタジーとして許されていた時代のアメコミ映画だった、ということですよ。誤解を恐れずに言えば、頭を空っぽにして楽しめる。

相馬 ヴィランにしても、見た目だけでヴィランと分かるビジュアルだったしね。21世紀に入ると、アメコミ映画は、全体的に現実味のある方向に振れていったから、ノーラン版3部作がシリアスになるのは必然だったのかもしれない。

村山 ノーランは真面目な監督ですからね。その真面目さが功を奏したのが『ダークナイト』だと思います。理詰めてドラマを作っていったら、ジョーカーというキャラクターとして面白いサイコパスが出来上がった。

『ダークナイト』

相馬 そういうアナーキーなサイコパスを世界が待っていたからこそ、記録的なヒットとなったわけだしね。

── こうして見ると、バットマン映画の進化から時代の変遷が見えてきて面白いですね。

村山 そうですね。実際、ジョーカーをとってみても、ジャック・ニコルソンのジョーカーは当時はとてつもなく魅力的でカリスマ性のある悪役でしたが、今見ると薄っぺらく見えなくもない。それはおそらく、ヒース・レジャー、ホアキン・フェニックスがジョーカーというキャラクターに深みを与えてきたからですよね。女性のキャラクターの描き方にしても、最初は添え物的だったのが、どんどんキャラクターに深みが出てきています。

『ジョーカー』

相馬 確かにアメコミ映画自体が、『バットマン』以降、成熟を続けてきたのは間違いない。最初は金のかかったジャンル映画のように思われていたけれど、今では賞レースにも絡むことは珍しくない。『ジョーカー』がヴェネチア国際映画祭を制したのは、アメコミ映画のクオリティが広く認められた記念すべき出来事だよね。

構成・文:相馬学

【その他関連作品放送DATA】

『ジョーカー』放送記念大特集[名優ホアキン・フェニックス編]

『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』
7/23(木・祝)16:45 WOWOWシネマ
『マグダラのマリア』
7/23(木・祝)19:25 WOWOWシネマ
『アンダーカヴァー』
7/23(木・祝)21:30 WOWOWシネマ
『容疑者ホアキン・フェニックス』
7/23(木・祝)23:30 WOWOWシネマ
『ザ・マスター』
7/23(木・祝)25:30 WOWOWシネマ
『エヴァの告白』
7/24(金・祝)04:00 WOWOWシネマ
『ゴールデン・リバー』
7/24(金・祝)06:00 WOWOWシネマ

『ジョーカー』放送記念大特集

『タクシードライバー』
7/25(土)24:15 WOWOWシネマ

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