早稲田大の2年連続V17か? 天理大の初の日本一か? ラグビー大学選手権決勝キックオフ!

早稲田大の12年ぶりとなる連覇か、天理大の悲願の初優勝か。『第57回全国大学ラグビーフットボール選手権大会』が1月11日(月・祝)・国立競技場でキックオフを迎える。

1月7日に1都3県の首都圏に緊急事態宣言が発令され、無観客試合かはたまた大会中止かと危ぶまれたが、1月8日に日本ラグビーフットボール協会は記者会見を実施。首都圏でのイベントは最大5000人か収容率50%以下の少ない方に制限される中、販売済みのチケットには適用されないという政府見解を受け、先行販売した1万7000枚のチケットはすべて有効とする方針を発表した。

大学準決勝で明治大を下した天理大

『大学選手権』準決勝で早稲田大は勝負強さを、天理大は盤石の強さを発揮した。両校は1月2日・秩父宮ラグビー場に登場。早稲田大は3年前に9連覇を成し遂げた帝京大と、天理大は前回覇者の明治大と対峙した。

第1試合は早稲田大×帝京大。両校はすでに11月1日の『関東大学対抗戦A』で激突。昨年の対戦では前半は19−19と互角の攻防から後半に早稲田大が突き放し、45−29で勝利したが、この日は異なる展開に。

長田智希(早稲田大)(c)JRFU

ペナルティゴール(PG)で3点を刻もうとする帝京大に対し、早稲田は6・24分とラインアウトからドライビングモールで立て続けにトライを奪う。33分にはラインアウトからフルバック(FB)河瀬諒介が抜けインゴールへ。前半終了間際には帝京大にスクラムで押され、認定トライを許すも、21−13の早稲田大リードで折り返す。

後半も早稲田大が仕掛ける。47分、ラインアウトからスタンドオフ(SO)吉村紘がパスダミーからセンター(CTB)伊藤大?へロングパス、伊藤は防御網を突破し、河瀬へ。河瀬からウイング(WTB)古賀由教へつなぎ、大外を30m駆け抜けてトライを奪ったのだ。53分に帝京大CTBニコラス・マクカランにトライされるも、62分にはハーフウェイラインから河瀬が抜け出し独走トライ。33−20として、2年連続決勝進出に大きく前進した。

その後、帝京大の粘りに1トライ1ゴールを返されるも、勝負どころを抑えた早稲田大が33−27で勝利したのだった。

早稲田会見(写真左より)丸尾崇真主将(早稲田大)、相良南海夫監督(同)(c)JRFU

試合後、相良南海夫監督が「フィジカルの非常に強い帝京さんに、どれだけウチが身体を張れるかが勝負を分けると思っていたが、選手がよく身体を張り続けて粘り強くディフェンスしてくれた。最後は接戦になったが、しっかり勝ち切ることができたゲームだった」と勝因を語れば、丸尾崇真主将も「フィジカルの強い帝京さんのセットプレーに早稲田から仕掛けようとして、できたところとできなかったところとあるが、勝利することができた」と振り返った。

河瀬諒介(早稲田大)(c)JRFU

12月6日の『関東大学対抗戦A』ではラインアウトが乱れ、明治大に14−34と完敗を喫したが、この日はラインアウトモールの精度を取り戻した。

ロック(LO)下川甲嗣が「早明戦では自分たちのラインアウトが相手のプレッシャーによって崩されてしまった。そこでどこへ立ち返るのかと言ったら、自分たちの精度、スキルにしっかりフォーカスするということ。最後にゴールラインを割るまで全員が密着して、コミュニケーションを取りながら押せた」と胸を張れば、2トライを挙げた河瀬も「仕留めるところで、しっかり仕留められたのは良かった。早稲田のバックスリーとして、ボールを持ったら常にトライを狙いに行くという意識を持っている」とキッパリ。

土橋源之助(天理大)(c)JRFUU

第2試合は一昨年の『大学選手権』決勝と同じカードとなった。いきなり3分、天理大SO松永拓朗のロングパスを受けたWTB土橋源之助が右サイドギリギリにトライ。24分に明治大に同点とされるも、天理大は28分にラックからHO佐藤康が近場を攻めてトライ。36分にはスクラムハーフ(SH)藤原忍の早いリスタートにLOアシペリ・モアラが反応し、そのままインゴールへ。天理は19−5とリードし、前半を終える。

後半に入っても天理大の勢いは止まらない。CTBシオサイア・フィフィタが距離を稼いだ後に連続攻撃から松永がグラバーキックは放つ。ボールは相手に当たり跳ね返るも、松永は自ら拾いトライ。50分にはラインアウトモールからフォワード(FW)がピック&ゴーを繰り返し、最後は佐藤がこの日ふたつ目となるトライをねじ込んだ。

その後、明治大も意地を見せ2トライを奪うが、終わってみれば41−15。天理大が見事に2年前のリベンジを果たしたのだった。

天理会見(写真左より)松岡大和主将(天理大)、小松節夫監督(同)(c)JRFUU

試合後、小松節夫監督が「強い明治大学さんに対して、『どれだけチャレンジできるか』『ディフェンスでどれだけプレッシャーをかけられるか』『セットプレーでどれだけできるか』を考えて準備してきた。明治さんの強いアタックを止めることができたのが今日の勝因だと思う。スクラムもがんばった」と語れば、フランカー(FL)松岡大和主将は「ものすごくうれしかった。僕はあまり泣いてなかったが、周りの選手たちは悔しい思いもしてきて、勝った瞬間はものすごくうれしくて泣いたのだと思う。まだ最後までやることがあったので、僕は『しっかり最後までやり切ろう』と言った」と次を見据えた。

シオサイア・フィフィタ(天理大)(c)JRFUU

また、フィフィタが「勝って良かった。明治大学さんが一番強いとわかっていたので、この試合のためにずっと練習してきた。めっちゃ準備して来たので、結果が出て良かった」と安どの表情を見せれば、松永は「早稲田さんは自分たちの試合を見て、すごく分析して来ると思うし、自分たちの強みであるバックス(BK)の展開力を見せて来ると思う。僕たちはそこでできるだけ我慢して、アタックで自分たちの強みを出すラグビーを徹底してやりたい」と決勝へ思いを馳せた。

準決勝のパフォーマンスやV候補の筆頭だった明治大との試合をモノサシにして、天理大有利と決めつけるのは早計だ。昨年、早明戦で7−36と完敗を喫しながらも『大学選手権』決勝で早稲田が下馬評を覆したのは記憶に新しいところだろう。早稲田大は浮足立つ明治大に対して、31−0と前半で一気に勝負を決めたのだった。ちなみに昨年の準決勝で早稲田大は天理大を52−14で一蹴している。

一方、天理大は8月中旬に24名が新型コロナウイルスに感染するクラスターに遭った。チーム作りに苦心しながらも、ここまで上り詰めて来たのだ。それに今年こその思いは強い。

果たして、早稲田大が最多記録を更新する17回目の優勝を遂げるのか、天理大が3度目の正直にして初の日本一の栄冠に輝くのか。『大学選手権』決勝の模様はNHK総合にて全国生中継。

文:碧山緒里摩(ぴあ)

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