「加賀恭一郎と共に成長できた」阿部寛が“新参者”シリーズへ感謝

「加賀恭一郎と共に成長できた」阿部寛が“新参者”シリーズへ感謝

「新参者」シリーズの最終章となる映画「祈りの幕が下りる時」(1月27日・土公開)に出演する阿部寛

東野圭吾のベストセラー小説を原作に、阿部寛が日本橋署の刑事・加賀恭一郎を演じた「新参者」シリーズ。連続ドラマ「新参者」(2010年)、2本のスペシャルドラマ「赤い指」(2011年)、「眠りの森」(2014年全てTBS系)、そして映画「麒麟の翼 〜劇場版・新参者〜」(2012年)が製作され、そのどれもが大ヒットした人気シリーズがついに完結する。そこで、7年間にわたって主演を務めてきた阿部に、「新参者」シリーズへの思いと、完結編となる映画「祈りの幕が下りる時」の見どころを聞いた。

■ 加賀の人間味があるところが好き

――阿部さんにとって加賀恭一郎は、「トリック」シリーズの上田次郎(14年間)に次いで長く演じられたキャラクターになりました。今、加賀という役に対して思うことは?

僕はそれまではストレートに演じることをあまりしてこなかったので、加賀を演じることは自分の中での挑戦でもありました。というのも、刑事ものは年齢を重ねていかないと、その人の説得力や人生の深みが出ないのではと思っていたので、どこか避けていた部分があった。しかも、加賀という刑事は動タイプではなく、静の芝居を要求される役柄。すべてが加賀の頭の中で解決されていくので、ちょっとした仕草を間違えると、地味になりかねない難しい役だった。

――「祈りの幕が下りる時」で久々に加賀を演じるにあたり、過去作を見直されたそうですね。

それで思い出したのが、8年前に連ドラで初めて加賀を演じたときのこと。多分、当時の取材でもお話させていただいていると思うんですが、僕が小学5年生ぐらいのときに、家に刑事が訪ねてきたことがあって。近くで事件があり、その聞き込みにいらしたんですけど、そのときに初めて本物の刑事を見て、話している感じは紳士的で優しいのに、目がとてつもなく怖かったんです(笑)。それを加賀にも生かせないかという思いがあった。

――気のせいかもしれませんが、連ドラ時代の方がもう少し変わり者キャラだったように思うのですが…。

たい焼き屋の行列で屁理屈を並べていたりね(笑)。でも連ドラの初期はいろいろ試そうと思ってやっていました。でも、この間、あらためて過去作を見直してみて、僕自身、加賀のああいうチャーミングなところや、人間味があるところが好きだなと思ったし、あのテイストがあって正解だったんだと思いました。今回の映画でもありますが。

■ 松嶋菜々子さんはとにかく心でお芝居をされる方でした。

――今回の「祈りの幕が下りる時」では、これまで明確には語られてこなかった加賀の過去がクローズアップされます。そういった加賀の新たな一面が描かれるということで、何か意識されたことはありますか?

物語が進むにつれて、松嶋菜々子さんが演じてくださった女性演出家が関わる本筋の事件と加賀の過去が繋がってくるんですが、そのどちらにも親子の愛や確執が隠されていて、そのリンクのさせ方が、さすがは東野圭吾さんだなと思いました。演じる上では、本筋の事件に対しては刑事としての本領を発揮する加賀、それ以外の自分の過去に関するパートでは、あまり力まず、事実に寄り添うように演じようと思っていました。

――松嶋菜々子さんとは、今回が初共演だそうですね?

僕が勝手に誤解していて、お会いするまでは「家政婦のミタ」(2011年日本テレビ系)のような、あまり感情を表に出さない人かと思っていました。でも、実際は全然違っていて、とにかく心でお芝居をされる方でした。たまに自分の顔が映っていないと手を抜かれる役者さんもいらっしゃるのですが(笑)、松嶋さんは全くそういうところがなく、全力でお芝居をぶつけてこられるので、すごく助かりました。

――(加賀の従兄弟で、数々の事件を一緒に解決してきた)松宮役の溝端淳平さんとは久々の共演ですね。

連ドラのときの彼は、まだ20歳か、21歳ぐらいだったのかな。でも、今は28歳になって、仕事に対する考え方も変わってきたのかなと思いました。というのも、今回の映画では(松宮が)事件を最初に引っ張っていく存在なので、それに対するプレッシャーや責任感もあったと思う。実際、そういう気合を感じたし、彼なりに松宮という刑事を考えてきたのが伝わってきたので、8年前よりも成長していると思いました。僕自身、彼と同じぐらいのときに“こだわる”ということを大事にしだしたし、役者の仕事が面白くなってきたので、彼もそう感じているのかなと思って、うれしかったです。

■ 今までの加賀にはない部分を引き出してくれた

――今回の映画では「下町ロケット」(2015年TBS系)でも組まれた福澤克雄さんが監督を務められています。この作品においての福澤演出はいかがでしたか?

「新参者」シリーズが“動”ではなく“静”の刑事ドラマなので、福澤さんの起用には真逆の人を狙った部分があったのだと思います。僕自身、福澤さんのように物語を引っ張っていく力の強い人が演出をしたら、どういう「新参者」になるのかなと思ったし、このシリーズに新しい風を吹き込んでくれると信じていた。福澤さん自身は「刑事ものは苦手なんだよな」と言っていましたが(笑)、僕が今までにやってきた加賀にはない部分を引き出してくれたし、福澤さんのいい力強さが出た作品になったと思います。

――この「祈りの幕が下りる時」で、「新参者」シリーズはフィナーレを迎えます。今、あらためて思うことはありますか?

当時、連ドラで刑事役をやるのはこれが初めてでしたし、それを長きに渡ってやってきたので、やっぱりシリーズが終わるのは寂しい気持ちがありますね。でも、この8年間、「新参者」シリーズに携わってきて、加賀と共に成長させていただいた気がします。自分の中でも特別な作品になりました。

――ちなみに、「新参者」シリーズは東京の日本橋が主な舞台になっていますが、撮影以外でこの地を訪れることはあるのでしょうか?

もちろん、プライベートでも何度か伺ってますし、ほかの作品の撮影で伺ったときにもごあいさつさせていただくところが何軒かあって。前に参加させていただいたイベントで、町の人からの質問を受け付けるコーナーがあったんですけど、皆さんが一つも質問が挙がらなかったらかわいそうだと思ってくださり、一生懸命に質問を考えてくれるんですよね。中には「すごく質問を考えて来てくれたんだな」と分かるようなものもあり、その温かさにうれしくなりました。撮影を通してでしたけど、この都会の中で自分の故郷みたいな町です。本当にうれしいことでした。(ザテレビジョン)

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