糸曽賢志監督が師匠・宮崎駿監督から“トトロ”で教わった「考え続けることの大切さ」

糸曽賢志監督が師匠・宮崎駿監督から“トトロ”で教わった「考え続けることの大切さ」

キャラクタービジュアル:ノエル(CV:花澤香菜)

宮崎駿監督の弟子・糸曽賢志監督の劇場アニメ初作品「サンタ・カンパニー〜クリスマスの秘密〜」「コルボッコロ」が、2019年12月に全国劇場公開(同時上映)することが決定。合わせてキャストも発表された。

本作は、日本とフィンランド外交関係樹立100週年を記念した作品。「サンタ・カンパニー―」の舞台がフィンランドに縁があること、過去に糸曽監督自信がフィンランド大使館の公式キャラクター「フィンたん」のアニメーション制作を行うなど、親交の深いフィンランド大使館の協力を得て、劇場版制作プロジェクト発表会が6月10日に都内・フィンランド大使館で行われた。

発表されたキャストは、主人公・ノエルに花澤香菜、ノエルに思いを寄せる少年・ベルに梶裕貴が起用され、その他にも戸松遥、釘宮理恵、櫻井孝宏、近藤雄介ら声優陣が決まった。

冒頭あいさつでは、フィンランドのペッカ・オルパナ大使が「糸曽氏は非常に才能のあるアニメーターであり監督です」と糸曽監督の印象を話し、「映画『サンタ・カンパニー―』が両国の関係をさらに密にすると確信しています。映画の公開が今から楽しみです」と期待した。

糸曽監督が企画するオリジナル作品の「サンタ・カンパニー―」は、2014年に短編アニメとして自ら出資し作成。当時は珍しかったクラウドファンディングを用いたり、さまざまな手法を活用。クリスマスにまつわる、ちょっと不思議な冒険の物語だ。

また、同時上映される「コルボッコロ」は、さまざまな文明や宗教が混在する世界を舞台に、不思議な力を持つみこの血を継承する14際の少女「鈴」が、自然の精霊「コルボッコロ」と出会い、自分のあるべき姿を考え、進むべき道を模索していくSFエコファンタジー。

糸曽監督は、二つのオリジナル作品を全て作り直して劇場版にし、多くの人に届けたいと12月の公開に向け準備を進めているという。

また、発表会では、宮崎監督とのエピソードも語られた。

■ 宮崎駿監督は「本当にすてきな人」

糸曽賢志監督がアニメの世界に入ったきっかけは、大学1年生の時に大ファンだった宮崎駿監督と一緒に働けるチャンスである、ジブリのオーディションを受けたことだった。合格した糸曽監督は、宮崎監督が企画を考える時に通っていた通称・豚屋(ぶたや)に通って学んだ。

「僕なんかが言うのもおこがましいですが、宮崎監督は努力され、常にいろいろなことを考えていらっしゃる。若い時にそういう方と出会え、目の前で見られたことにすごく感謝してる」と語る糸曽監督は、ある時ジブリに行った時のエピソードも披露。

ホワイトボードに絵を書いていた宮崎監督から「新しい作品を考え始めた。10歳くらいの女の子が神様の背中を流しにいく映画を考えたんだ。面白いだろ?」と問われたという。糸曽監督は、その時には面白さを感じられず否定してしまった。しかし、それは後にアカデミー賞を受賞する作品だった。糸曽監督は「(自分は)アカデミー賞を否定した人間なんだな」と自虐的に会場の笑いを誘った。

■ トトロは肉食? 草食?

さらに、ジブリの面接を受けた時のエピソードも。部屋に集められた数人の受験者の緊張を和ませるため、宮崎監督は世間話をし始めたという。

「何か作品は見た?」と聞かれた一人の受験者が、「トトロを見ました。かわいくて大好きです」と答えると、宮崎監督は「すごくうれしい。でも、僕自身トトロってそんなにかわいい生き物だと思っていない。あれは、結構恐ろしい生き物なんだ。肉食で、サツキとメイが食べられなかったのは、お腹が空いていなかったからなんだ(笑)」と話し、それを聞いた感想を受験者に求めた。

動物に詳しい糸曽監督は、面接を受ける前に鑑賞して気付いていたため、「トトロは臼歯で草食動物だから、サツキやメイを食べるはずがない」と発言。見事合格を勝ち取ることができた。

糸曽監督は「なぜ、みんな緊張している中でこんないじわるな質問をしたんですか?」と尋ね、「エンターテインメントをする人は、人が言うことをうのみにするのではなく、考えることが重要なんだ」と教わったと明かし、「それからは、“いろいろなことで見ている、常に試されている”と思って頑張っていこうと思った」と当時の心境を告白。

糸曽監督の原点を感じさせるエピソードに、会場に集まった人たちは耳を傾けていた。(ザテレビジョン)

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