「勝手にふるえてろ」愛嬌たっぷりなキャラを演じた渡辺大知 「鬱陶しいけど、愛してほしい」

「勝手にふるえてろ」愛嬌たっぷりなキャラを演じた渡辺大知 「鬱陶しいけど、愛してほしい」

インタビューに応じてくれた渡辺大知

ロックバンド・黒猫チェルシーのボーカルとして活躍する一方、俳優としても頭角を現す若手注目株の渡辺大知。12月23日(祝)から公開のベストセラー作家・綿矢りさの小説を映画化した「勝手にふるえてろ」では、主演の松岡茉優演じるヨシカに思いを寄せる二を好演。まっすぐな思いが故に、空回りしながらもヨシカを思い続ける憎めないキャラクターを見事に演じきっている。キャンペーンで地元関西に帰ってきた渡辺に、本作の魅力についてインタビューした。

映画「勝手にふるえてろ」は、作家・綿矢りさが手掛けた小説を実写化した作品。アンモナイトが大好きなこじらせ女子・ヨシカは、中学の頃から片思いしている同級生・イチを脳内に召喚させ、日々妄想恋愛を繰り広げている。ある日、会社の同期・二から告白されたヨシカ。イチと二、どちらの彼氏を取るのか。ヨシカが迷いながらも成長していく姿を描く。主人公・ヨシカを演じるのは、映画初主演となる若手実力派の松岡茉優。ヨシカが片思いしているイチを北村匠海(DISH//)が演じ、石橋杏奈、古舘寛治、片桐はいりなど個性的な俳優が脇を固める。監督は「でーれーガールズ」の大九明子が務める。

イチの次の「二」。渡辺が演じる二は、ヨシカの一番の相手になりたい一心で積極的にアプローチするが、いつも空回りしている。渡辺は原作を読んだとき、名前の付け方に斬新さを感じながらも、二のキャラクターは自分には遠い存在であると感じたそう。自分とのギャップを感じながらも、共感できるポイントもあったと話す。「最初は『俺がやるのか…』って思いました(笑)でも、常にトップを走り続けている奴にしがみつこうとしてるやつの二番手の美学みたいなものが、なんとなく自分にもわかるような気がして。イタい奴ではあるけれど、前向きなキャラクターとして受けとめました」

主人公・ヨシカはいわゆるこじらせ女子。時にはポジティブに、時にはネガティブに、自分の妄想を多くの言葉にしながら自己表現をしていく。観客はヨシカの揺れ動く感情に一喜一憂させられてしまうが、男性である渡辺はヨシカをどう捉えていたのか。「ヨシカはそれとなく人付き合いもできるけど、自分の大事にしていることやこだわりを強く、それがちょっと強いがためにこじらせて妄想に走ってしまう。周りにはそれなりにいい顔できても脳内ではこうだったらいいのにとか、違う人生のストーリーを勝手に描いていることって僕にもあるなぁって思って。そういうところは共感できますね」

二よりヨシカに共感したと話す渡辺。二のキャラクターを演じるうえで、大九監督から言われたある言葉が大きかったと明かす。「僕はヨシカのアンモナイトの話をもっと聞きたいし、どちらかといえばヨシカ側の人間だと思うっていうのを大九監督に相談したんです。そしたら『二は意外とヨシカに近い人間だと思う。口下手だし人付き合いも苦手だけど、それをごまかすために無理に明るくしようとしている。キャラは違うけど、似てるところもある』って大九監督から言われて、なるほどって。その後に脚本を読み直して、わりと自分のままでやっていいんだなって思うようになって、自分の中の二が生まれはじめました」

ヨシカに近づくため、二はあらゆる恋愛テクニックを駆使する。渡辺は二のアプローチの仕方について、今までの数少ない恋愛経験で培ってきたテクニックを集約させ戦っている感じだと分析。そんな二を演じる上で渡辺はあることを意識したという。「二はマイペースで鬱陶しい男なんですけど、ただ鬱陶しいだけじゃなくて、やっぱり愛してほしいなと。少なくとも自分が二というキャラを愛せるようにしたいなって思って、いつも愛おしく思えるような感じになればと思って演じました。原作で描かれている二というより、自分に寄せていったところがあったと思います」

初共演となった松岡茉優について「すごい女優」と絶賛する渡辺。例えば、冒頭の長ゼリフのシーンで涙は、松岡のアドリブだったそう。そのシーンを観た渡辺は、松岡のあの演技で映画のアチュードが決まったと話す。「本人の口から話すようにセリフを言ってるなって。平凡な言葉も心に入ってくるようでドラマチックに響いてくる。ヨシカはセリフが多いのも印象的。自分の弱さを隠したくてたくさん喋っているから、喋っている裏側で何を感じている。セリフが少ない役よりも裏にかくされたものが多いはず。松岡さんも戦いながら演じたんだろうなと思います」

主題歌は渡辺がボーカルを務めるバンド・黒猫チェルシーが担当。完成した本作を観て、渡辺自身が書き下ろした。「ベイビーユー」と名付けられた主題歌に込められた思いについて渡辺は明かす。「作品を観て、自分が受けた刺激みたいなものを大事にしながら曲作りを始めました。歌詞は少し時間がかかったけど、メロディーは割とすぐできましたね。。自分が出てるとか関係なしで、この映画のファンとして、ヨシカっていう太陽のような存在に惚れたんで、そのヨシカへのラブレターになればと思って作りました」

女性だけではなく、男性でも楽しめる作品になったと太鼓判を押す渡辺。見どころを交え、本作の魅力について語ってくれた。「もちろん笑えるポップな作品でもあるけれど、松岡さんの演技によって切実でどっしりした作品に仕上がったと思います。松岡さんの歌唱シーンも素晴らしいと思いました。ヨシカに感情移入をしてからの流れで聞くから伝わってくる。心で歌ってるなって。だから伝わるのかなって思います」

映画『勝手にふるえてろ』は、12月23日(土・祝)より、シネ・リーブル梅田、なんばパークスシネマほかにて全国ロードショー。

【関西ウォーカー編集部/ライター山根 翼】(関西ウォーカー・山根翼)

この記事の続きを読む