黒木瞳監督に石野真子が感謝「すごく濃い素敵な時間でした」

黒木瞳監督に石野真子が感謝「すごく濃い素敵な時間でした」

ショートフィルム『わかれうた』の黒木瞳監督と石野真子

『嫌な女』(16)で監督デビューした黒木瞳が、主演に石野真子を迎え、初めて撮ったショートフィルムが『わかれうた』だ。輝かしいキャリアを歩んできた同世代の2人が、本作で監督・女優としてどんなふうにコラボレートをしたのか?黒木監督と石野にインタビューし、撮影裏話や現場での印象について話を聞いた。

『わかれうた』はネスレ日本の新作ショートフィルムで、米国アカデミー賞公認、アジア最大級の国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア」(SSFF & ASIA)で華々しく完成発表会が行われた。甘酸っぱい昭和の郷愁を織り込みつつ、いまを生きる人々にそっとエールを贈ってくれるような内容となっている。

石野扮するシングルマザーの亜希が同窓会に参加し、青春時代の恋を振り返っていく。中島みゆきの同名曲「わかれうた」も物語をドラマティックに彩っている。

黒木監督にとって、石野真子の主演は第一希望だった。「いちばん理想のキャストが真子ちゃんだったから、OKしてくださったのですごくハッピーでした」。

黒木監督とは女優としての共演経験しかなかった石野は、オファーされた際にとても驚いたそうだ。「黒木さんが映画を撮っていらっしゃったのは知っていましたが、まさか私に主演のオファーをしてくださるなんて。黒木さんはいつも現場で凛とされている方なので、怒られたらどうしようと思いました(苦笑)」。

黒木監督は「怒りませんよ」とツッコむと、石野も「いや、それは私の勝手なイメージというか、監督は怒るもんだという単純な発想からで」と笑う。

黒木監督は、石野と共演した際に細かく観察をしていたようだ。「お芝居が上手だし、演じることがとてもお好きなんだなあと感じました。真子ちゃんは良い意味で脇の甘い芝居をされるんですが、そこがすごく可愛らしくて個性があり、私にはできない芝居なんです。脚本の井上由美子先生にも『真子ちゃんにやってもらいたいんだけど、どう思いますか?』とお聞きしたら『それはいいね。メールしておくわ』と言ってくださいました」。

石野は物語にも共感し、現場を心から楽しんだ様子。「監督とは同年代だし、物語も本当に自分が生きてきた時代が描かれている作品なので、すごく身近に感じられました。短い間でしたが、すごく濃い素敵な時間でした」。

黒木監督は、石野について「真子ちゃんは私の高校時代からずっとアイドルだったから、テレビでよく観ていました。だから芝居でご一緒するようになって、すごく不思議な感じです。歌手の方は畑が違うから、テレビの中の人といっしょに仕事をするという感じでした」。

石野は「私もそうですよ」とうなずく。「だから今回、黒木さんが監督ということで、さらにドキドキしました。こんなに美しい監督がいるのかと思って。また、監督としての目線だけではなく、女優としての見え方や映り方も考えてくださるんです」。

黒木監督は「やっぱり主役はいちばんキラキラ輝いていないといけないから。もちろん短い期間ながらも監督として役者さんを迎え入れる準備はできるかぎりさせていただいたつもりです。ただ、まだまだ力不足でご迷惑をおかけしました」と恐縮する。

石野は、黒木監督の姿勢に感銘を受けたそうだ。「細かい作業を積み重ね、本当に良いものを作っていこうとされていた。女優の黒木さんが監督される姿を見て、私は改めてモノを作っていくことの楽しさや大変さを実感しました。監督に情熱があるから、スタッフの方も『黒木監督についていこう』と一つになっている空気をすごく感じたんです」。

黒木監督は監督業について「現場で一つの作品を作り上げるという意味では、立場は違えど、出演するのも監督するのも同じです」とキッパリ言う。「それぞれ作品ごとにとても刺激はありますし。今後はわからないですが、もしもまた『あなたが撮ったらどうなるのかな?』と興味をもってくださる方が現れたら、また監督をさせていただくことがあるかもしれないです」。

いまの黒木監督と石野真子のタッグならではの成熟した人間ドラマに仕上がった『わかれうた』。ネスレアミューズ内のWeb映画館「ネスレシアター」で無料公開されているので、コーヒーと共に味わってみては?【取材・文/山崎伸子】

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