美少女・満島ひかりが魅せた、怒りの結晶!園子温監督『愛のむきだし』が、さらに長くなって帰ってきた

美少女・満島ひかりが魅せた、怒りの結晶!園子温監督『愛のむきだし』が、さらに長くなって帰ってきた

当時若干22歳の満島ひかりが、演技力を爆発させる!

2009年に公開されるや、約4時間に及ぶ長尺と、盗撮・カルト教団・女装・同性愛などのタブーに挑んだ内容が物議を醸した『愛のむきだし』。『冷たい熱帯魚』『ヒミズ』などで知られる鬼才・園子温監督の代表作とも言えるこの作品が、ファーストカットの段階では劇場よりさらに長い6時間の尺であった事は、これまであまり知られていなかった(加えて、ラッシュ時には10時間を超えていたという)。編集作業が進む中でカットされた多くのシーンを含む全編を脚本通りに再構成し、30分×10話=5時間というテレビシリーズ仕様の完全版にした「愛のむきだし【最長版 ザ・テレビショー】」が、豪華版Blu-rayとして発売された。

本年は『愛のむきだし』の制作10周年にあたる事もあり、本作の撮影秘話に関し、園子温監督へのインタビューが実施された。その中で、本作中で最も印象的だと語り継がれている、満島ひかりが熱演した名シーンの撮影秘話が明らかになった。

洗脳されてしまったヨーコ(満島ひかり)を救い出すため、ユウ(西島隆弘)は誰もいない海岸にある廃バスへとヨーコを拉致。逃げようとするヨーコがユウともみ合いになりながら、絶叫に近い声で訴える聖書の一節。谷川創平による撮影の迫力も相まって、映画公開後に大きな反響を呼び、演技者としての満島の評価を高めるきっかけとなった名シーンだが、園監督によれば、意外にも偶然が重なって出来上がっていったものだという。

そもそも、シナリオ上の舞台設定では山頂として描かれていたのだが、良いロケ地がなかなか見つからずにいた。困った監督の目にふと留まったのが、廃バスが駐車場に捨ててある写真だった。

これを海に移動させようと監督が閃いたことから、海辺での名場面が生まれたのだ。「下手すると、満島の聖書の長台詞のところはその辺の路上でやっていたかも知れない。ロケ地を海に設定した事で、色んな事が良くなりましたね」と監督は振り返る。

「一番良いシーンになるかどうか、その時はわからなかったですね。現場でも良いなと思って撮ってはいたけれど、もうすぐ日が暮れそうで、とにかく早く撮影しなければいけなかったから、感動したり悦に入ったりしている余裕はなかったんです」と、ここまでの評判を呼ぶほどのシーンだという実感はなかったと語る。

また、撮影当時はしばしば満島と喧嘩をしていたそうで「この日も大喧嘩していました。天気が悪いのも満島のせいにしていたくらい(笑)」園子温と満島ひかり、2人の怒りがぶつかり合った結果、映像に緊張感が生まれ、名シーンが誕生したのだ。

このインタビューの模様は、Blu-rayに特典映像として収録される事が決定している。当時のキャスティング状況や、困難を極める撮影、さらに個々のキャストに対する想いなどを10年目にして語った、ファン必見の内容となっている。

『愛のむきだし』全体に流れる異様なテンションと、4時間の長尺を飽きさせないテンポは、西島隆弘、満島ひかり、安藤サクラ、綾野剛、松岡茉優など、今をときめく役者たちの駆け出し時代の若いエネルギーと、低予算ゆえに切迫した制作期間の中で、不眠不休の撮影を続けた園監督をはじめとするスタッフの執念が生み出したものに違いない。10周年を機に1時間以上のシーンを追加した新たな『愛のむきだし』によって、作品の持つ熱量がさらに体感できるだろう。【Movie Walker】

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