ジェシカ・チャステイン「女友だちっていいよね!と思いながら大人になってほしい」

ジェシカ・チャステイン「女友だちっていいよね!と思いながら大人になってほしい」

ジェシカ・チャステイン「女性たちを応援したい!」とメッセージ

『ゼロ・ダーク・サーティ』(12)をはじめ、凛々しくかっこいい女性を演じてきた女優ジェシカ・チャステイン。最新作となる『ユダヤ人を救った動物園〜アントニーナが愛した命〜』(12月15日公開)では、ナチス支配下でユダヤ人の命を救った女性を母性たっぷりに演じている。“ハーヴェイ・ワインスタイン事件”についても、ひるまずにSNSを通して声を上げるなど、スクリーンの外でも女性たちを励まし続けている彼女。インタビューを敢行すると、「女性に対するステレオタイプを壊して、女性を応援したい」との気持ちが、あらゆる行動の原動力となっていることを明かしてくれた。

本作は、自らの危険を顧みず、ユダヤ人たちを動物園に匿い、300人もの命を救ったヤンとアントニーナ夫妻の実話を映画化した人間ドラマ。アントニーナを演じたジェシカは「アントニーナは生きとし生けるもの、人も動物もすべてを奇跡だと思っているの。それは私も同じ」と共感する部分も多かった様子。

「彼女は確かにヒーローだけれど、武器を持って戦うわけじゃない。彼女が使うツールは“愛”。思いやりと共感力を使うヒーローというのが、とても魅力的だと思ったわ」と愛情あふれるアントニーナに強く惹かれたそうで、「アントニーナは普通の女性。何か変革を起こそうというときに、戦争時の将軍や有名な学者、政治的リーダである必要はない。アントニーナは、愛と思いやりでたくさんの人の命を救ったわ。これって、とってもインスピレーションを受けることじゃないかしら?」と瞳を輝かせる。

しかもアントニーナが行動を起こしたのは第二次大戦下という、女性の立場が弱い時代だ。ジェシカは「この作品がとてもいいなと思ったのは、1930年代のジェンダーや夫婦の力学も描いているからなの」と告白する。

「映画の冒頭では、夫がすべてを選択し、アントニーナは子供のような存在。私は夫婦ケンカのシーンが大好きで!『君には僕が外で経験していることなんてわからないだろう』って夫が言うんだけれど、それに対してアントニーナは『あなただって、私が家でなにを経験しているかわからないでしょう!』っていうの。そうやって、映画の後半では夫婦は平等な立場になっていく。夫婦でも人間関係でも、関わる人が平等であればあるほど、その間の愛は強くなるものだと思うわ」。

これまで『ゼロ・ダーク・サーティ』のCIAの女性分析官、『オデッセイ』(15)の宇宙飛行士など、ヒロイズムを感じさせる女性像を体現してきた。作品選びで大事にしているのは、どんなことだろうか?

「これまで演じてきたのは、男性が多くいる中で働いている女性が多いわ。でもそれって現実の世界でもよくあることで。『ゼロ・ダーク・サーティ』と本作はだいぶタイプが違うけれど、どちらのキャラクターも“女性はこうあるべきだ”というステレオタイプの女性像とは、真反対にあるものだと思う。女性に対するステレオタイプを壊していきたいし、そうやって女性を応援することも、私にとってとても重要なことだと思っている。女性たちに、男性社会と戦うために『私たちはなんでもできるんだ』というインスピレーションを与えられること。それが私にとって一番のモチベーションになることだわ」。

2017年は、セクハラ問題が浮き彫りとなった“ハーヴェイ・ワインスタイン事件”がハイウッドを揺るがした。ジェシカが本件について恐れずにSNSで意見を述べたように、女性たちの声を聞く機会も増えた。ジェシカは「ハリウッドではまだ、男性が権力の中心にいると思うわ」と明かしつつ、「でもハリウッドの女性たちは、自分たちの力に気づき始めていると思う。たくさんの女性たちが今、支援し合おうとしているわ」と変化を感じ始めているそう。

SNSを通じて、世界中の女性たちに勇気を与えるメッセージを発信しているが、「この業界に入ったときは、恥ずかしくて自分の意見をあまり言えなかったの」と意外な言葉を口にする。「『ゼロ・ダーク・サーティ』が公開された後、ある記事で、他の女優さんと私の間でケンカがあったって書かれて。まったくそんなことないのよ(笑)!思えば映画業界ではずっと、メディアやスタジオがそうやって、女性たちがひとつにならないようにしてきたのよ。私はすぐにfacebookで『ケンカなんてしてない』って声を上げたわ。メディアを否定することによって、『ジェシカって気難しい女優!』と言われるんじゃないかと怖かったけれど」。

「そうやって意見を表明することで、スタジオもメディアも、私を“女性を分断させるための手段”に利用できなくなったって気づくことができた。すぐに私は『自分の人生を、自分でコントロールできている』と感じることができたわ。それ以降、『女性の支援のために声を上げ続けよう』と思うようになった」と力強く語る。

一緒にいるだけでムクムクと元気が湧いてきそうなパワーを持ったジェシカ。そんな彼女が今、最も願っていることが「女性たちがひとつにまとまって、より強くなること」だ。

「“女性は女性とうまくいかない”っていうのは、クレイジーなステレオタイプなのよ。まったくもって間違った考え方。『ヘルプ 心がつなぐストーリー』ではたくさんの女優さんと共演したけれど、最高の現場だったの!若い女性にも『女友だちっていいよねー!』と思いながら、大人になってほしい。ハリウッドだけでなく、女性たちを分断させようとしている人たちがいたとしても、ひとつにまとまることで私たちはより強くなれるのよ」。偶然にも女性記者が集ったインタビュー現場では、気づけばジェシカと一緒にガッツポーズをしていた。(Movie Walker・取材・文/成田 おり枝)

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