長澤まさみ、“セカチュー”からの変化「苦手なことから逃げたくない」

長澤まさみ、“セカチュー”からの変化「苦手なことから逃げたくない」

長澤まさみが宝物のような出会いや、いまの原動力を明かす!

年齢を重ねるごとに輝きを増している女優・長澤まさみ。30代を迎えた2017年はミュージカル「キャバレー」でのセクシーな演技、映画『銀魂』(17)で見せた振り切りっぷりなど、数々の驚きを与えてくれた彼女。真摯かつ貪欲に女優道を歩み、見る者だけでなく作り手にとっても興味の尽きない“大人の女優”へと見事に成長を遂げた。最新作『嘘を愛する女』(1月20日公開)では、かつて『世界の中心で、愛をさけぶ』(04)でも共演した高橋一生とともに大人の恋愛を体現。“セカチュー”からの変化を聞いてみると、宝物のような出会いや、いまの原動力が明らかとなった。

本作はキャリアウーマンの由加利が恋人・桔平の大きな嘘に翻弄される姿を描く大人のラブストーリー。「TSUTAYA CREATORS' PROGRAM FILM 2015」のグランプリを受賞した企画を、企画者でもある中江和仁が脚本、監督を務めて映画化した。

■ 由加利の強さや衝動も理解できる年齢になったからこそ、演じられた役です

長澤が演じた由加利は、キャリアを築いてきた自信もあって、恋人である桔平にもわがまま放題に振る舞ってしまう女性だ。中江監督からは「嫌な女性を演じてくれ」との演出があったそうだが、同世代の女性ならば由加利の言動に共感する人も多いはずだ。長澤自身も由加利を「等身大の女性」だと話す。「私も中堅どころという世代に突入し始めていますし、世間で言われる、本当の愛を掴まなきゃいけない世代にも差し掛かってもいるので、由加利のような立場や悩みは自分にも通じるものがある。そういう意味でも等身大だと思います」。

桔平の秘密を追いかける過程において、由加利は鎧のように自身を覆っていたキャリアやプライドを脱ぎ捨てていく。泣き、笑い、あらゆる感情をむき出しにしていく姿が胸を打つ。「由加利は、目の前のことにがむしゃらに立ち向かっている人。女の人って年々、強くいられるようになってしまいますよね。自分の感情だけではなく、衝動に突き動かされてしまう瞬間のある生き物だとも思います。由加利の強さや衝動も理解できる年齢になったからこそ、演じられた役ですね」。

共感を覚えたのは本作で描かれる恋愛観も同じ。「最初は“桔平はなぜ由加利を好きになったんだろう”って、疑問に思ったんです。でも年齢を重ねるごとに、愛って曖昧になっていくものだとも思います。子どものころは“この人の目が好き”“まつげが好き”なんて理由をつけられたけれど、だんだんなぜ好きなのかわからないようになってくる(笑)。女性の恋愛観としても、共感を得られる作品になっていると思います」。

■ 高橋さんは桔平役にぴったりだなと思ったんです

桔平を演じた高橋とは、『世界の中心で、愛をさけぶ』で同級生役を演じてからも、CMや舞台などで共演を重ねてきた。長澤は「高橋さんは桔平役にぴったりだなと思ったんです。実はキャスティングを聞く前から、台本を読んだときに『この役は高橋さんぽいな』と思っていました」と、直感が当たったイメージどおりのキャスティングだったそう。

「高橋さんには“手綱を離してしまったら最後”みたいな雰囲気があって。ふわふわしているというのとは違って、地に足はついているけれど、一所にとどまらないというか、スナフキンみたいな感じ(笑)。実際にスナフキンのような旅人感満載のリュックを背負っていますしね。皆から『どこかに行っちゃいそうだもんね』と言われてしまうようなイメージです」。

悲劇のヒロインとして鮮烈な印象を残した“セカチュー”から14年の月日が経ち大人の女優へと成長を遂げた長澤だが、当時からの変化を自身ではどう感じているだろうか。「当時の私は本当にまだ子どもで。目の前のことにいっぱいいっぱいでした。監督の話をうなずいて聞いて、何度も何度もやってみる。“演じる”という感覚についても、よくわかっていなかったと思います。とにかく恥ずかしがり屋で、高橋さんともまったく話せなかったんです」。

「だんだん演じることが楽しい、やりがいがあるという実感がつかめてきた。“がんばれ”と突き動かしてくれる人たちとたくさん出会えたから、いまの私がある」という彼女。そんななか、とりわけ大きかったのが舞台「紫式部ダイアリー」での三谷幸喜との出会いだという。「当時は、どんどん女優業が楽しくなっているころでした。三谷さんとの出会いは人生の宝物とも言えるくらいの出来事。物事の見方に余白があって、いろいろなことを勉強させていただきました」。

■ ダメな自分も受け入れる。苦手なものから逃げない

いまは「ダメな自分も受け入れる。苦手なものから逃げない」という想いで突き進んでいる。「女優として、だんだんと自分の性質やパターンみたいなものが見えてくるようになる。するとどうしても、自分に足りないものも見えてくるんです。私は“わからない”とか“ダメだ”と思うものも曖昧にせず、突き詰めていきたいと思っています。クリアにした状態で作品と向き合わないと、良いものはきっとできない。苦手なことから逃げていたら、うまくなるものもうまくなりませんから」と毅然と語る姿が頼もしく格好いい。

そんな彼女が原動力として大切にしているのが、自身の“言葉”だ。第9回TAMA映画賞の授賞式で「作品を観た方に価値を感じていただけるよう、努力していかなければと思います」と語っていたのも記憶に新しい。「自分に喝を入れているところもあるんです」と微笑む長澤。「言葉って発してしまうとそれを言った自分も忘れられないし、見た人、聞いた人も忘れられないもの。発する側も受け取る側も大切にしないといけないものだと思うんです。私は自分の言葉に責任を持っていたいし、それによって自分を鼓舞したりもします」。とことん真面目で、“嘘”のない女優・長澤まさみ。その清々しさが、彼女をますます輝かせているのだろう。(Movie Walker・取材・文/成田 おり枝)

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