「あの花」「ここさけ」にも通じるエッセンス?初監督作『さよ朝』には人気脚本家、岡田麿里ワールドが凝縮!

「あの花」「ここさけ」にも通じるエッセンス?初監督作『さよ朝』には人気脚本家、岡田麿里ワールドが凝縮!

脚本家・岡田麿里の初監督作品『さよならの朝に約束の花をかざろう』は全国の劇場で公開中

先週末の映画動員ランキングで、76館の公開規模ながら初登場5位を記録した『さよならの朝に約束の花をかざろう』。本作は、「花咲くいろは」(11年放送)、「凪のあすから」(13〜14年放送)などで、アニメ制作会社のP.A.WORKSとタッグを組んできた人気脚本家・岡田麿里の初監督作品だ。

岡田麿里といえば、『劇場版 あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(13)や『心が叫びたがってるんだ。』(15)といったアニメ作品のほか、最近では『先生!、、、好きになってもいいですか?』(17)などの実写作品も手掛けた人気脚本家。その岡田がP.A.WORKS社長で本作プロデューサーの堀川憲司氏に直談判し、脚本だけでなく初監督にも挑戦し作り上げたという『さよならの朝に約束の花をかざろう』は、10代半ばの外見を保ったまま数百年を生きるイオルフの民、通称“別れの一族”の少女マキアを主人公とするファンタジーだ。

■ ファンタジーの世界で種族を超えた人々の愛を映し出す

「あの花」や「ここさけ」のヒット以降、青春ドラマのイメージが強い岡田にとって、ファンタジーというジャンルは新境地と言えるかもしれない。しかし、その根底には、多くの人々を魅了してきた脚本家・岡田麿里の過去作のエッセンスがたっぷりと詰まっている。

イオルフの民と人間という異種族間の交流から思い浮かべるのは、「凪のあすから」における海中と陸上に別れて暮らす人々。小さな世界で生きていた主人公が、(自らが望まない形で)新しい世界へと足を踏み出す。過酷な現実の中で様々な人と出会い成長していく主人公を、やや俯瞰で見下ろしながら丁寧に描いていく、その構図は本作にも通じている。

■ 奇妙な関係性を軸に登場人物の葛藤や成長を描く

また、岡田の脚本といえば忘れてならないのが濃密な親子のドラマだ。「あの花」や「ここさけ」、「花咲くいろは」にも代表されるように、彼女が手掛けるオリジナル作品には“優しい両親と元気な子ども”というごく普通の親子がほとんど登場せず、その奇妙な関係性こそが物語の主題やカギとなるケースが多い。

本作の主人公マキアは、親を亡くした人間の赤ん坊にエリアルと名付け育てる決意をする。“疑似親子”というこれまで以上に奇妙な関係性が、どのように描かれ、変化していくのかに注目してほしい。そして、自分の生き方や在り方への葛藤、時間の経過による人間関係の変化、誰かを愛する悲しみと喜び。これまでの作品で描かれてきたさまざまな要素が混じりあい、物語は色鮮やかに紡がれていく。

ファンタジー好きな人にはもちろん、岡田麿里ワールドが気になる人には、その魅力を知る入門編としてもぜひお勧めしたい作品だ。(Movie Walker・文/トライワークス)

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