『ブラックパンサー』セカンド・ユニット監督が明かす、クールなアクションの舞台裏

『ブラックパンサー』セカンド・ユニット監督が明かす、クールなアクションの舞台裏

広安大橋のシーンなど、釜山でのアクションシーンが印象的だった『ブラックパンサー』

全世界で破格の大ヒットを飛ばし、マーベル・スタジオ制作の単体ヒーロー作品としては史上最高の興行収入を達成した『ブラックパンサー』。劇中にはいくつもの印象的なシーンがあったが、中でもクールだった、韓国・釜山の夜の街を舞台にブラックパンサーが躍動するアクションシーンは、セカンド・ユニット監督を務めたダリン・プリスコットの手腕によるものだ。今回、7月4日(水)に本作のMovieNEXと4K UHD MovieNEX、そして4K UHD MovieNEXプレミアムBOX(数量限定)が発売されるのを記念して、彼にインタビューを敢行。釜山ロケの舞台裏について話を聞いた。

実はダリンが参加した時点で、ライアン・クーグラー監督はすでに釜山でロケ撮影をすることに決めていたようで、「最初にライアンからそのアイデアを聞かされた時は、『チェイスシーンを撮るのに、なぜわざわざそんな遠くまで行く必要があるんだ?』と正直首を傾げた(笑)」と本音を明かす。だが、「監督と連れ立って実際に現地を訪れ、あちこち見て歩きながらロケハンをした際、どうしてこの街で撮りたいと思ったのか、どういったシーンが撮りたいのかといった監督の意図が明確に理解でき、納得した。釜山はとても美しい街であるというだけでなく、これまで訪れた世界中のどの国や街ともまったく違った、ユニークな趣があります。坂道の多い港町という点で、サンフランシスコを彷彿とさせる部分もありますが、眩いネオン街から海岸沿いのビーチ、人でごった返す魚市場からライトアップによって色を変える巨大な橋まで、とにかくスクリーン映えするアイコニックな景観で埋めつくされているんです。そのうえ、光や色彩、街全体に漂う空気感といったものが、この映画のトーンと見事にマッチしていました。あのシーンのロケ地として、釜山は完璧なチョイスだったと思います」という。

そんな釜山での撮影は、驚くような場所と規模で行われた。実際に現地を訪れてみたが、まず撮影許可が下りるとは思えないような人通りの多い場所。そんなところで、車を吹き飛ばし、横転させ、バンバン破壊しまくる。これにはダリンも感激したようだ。「マリーン・シティのビーチやチャガルチ市場といった人出も交通量も非常に多い観光スポットや、幹線である広安大橋を全面通行止めにしての撮影など、よくもあそこまで大掛かりな撮影をやらせてくれたなと思いました(笑)。特に市場は、魚市場と言っても皆さんが想像しているよりはるかにスケールが大きい市場なんです。そもそも釜山は、アジアでも有数の大漁港ですから、3階建てくらいのビルが何軒かあるといったレベルではなく、何百軒という店舗がズラーッと建ち並んでいて、地元民や観光客で常にごった返している場所なんです。そんなところであれだけの撮影をさせてもらえたこと自体、普通ならありえません」。

場所柄もあってか、最も手を焼いたのが「連日大挙して詰めかける見物客の整理(笑)」だったそう。「大げさではなく、どこに行っても1000人規模の見物客が集まってくるものですから、群衆整理役の助監督は大変だったと思いますよ(笑)。あの人だかりには圧倒されましたね。まるでビートルズが初めてやって来た時のような騒ぎでしたよ。ただまぁ、猛スピードで走る車の屋根にスタントマンが乗っているのを見れば、興味がなくとも何事かと思って寄ってきちゃいますよね(笑)。あのシーンの撮影風景を見ていた人たちは皆、目を丸くしていましたよ(笑)。ですが、釜山ロケは最高に素晴らしい体験でした。地元の人たちはみんな本当に親切で、温かく迎えてくださいましたし、現地スタッフも実に優秀で、文句などひとつたりともありません。どれだけ無茶なリクエストを投げかけようが、全て二つ返事で快諾してくれるといった、市をあげての協力体制にも感動させられましたね」。

ちなみに、7月発売の『ブラックパンサー』のパッケージでラインナップされている「4K Ultra HD版」は、通常のブルーレイ版より、さらにリアルで臨場感のある映画体験が楽しめる、ドルビービジョン(映像技術)と、ドルビーアトモス(音声技術)が採用されているもの。試しにDolby Japan(株)の視聴室で鑑賞したが、包まれるような音響と明るく美しい映像に驚かされ、劇場ではわからなかったディテールまでバッチリ。ダリンが撮り上げた釜山のアクションシーンも、「こうなっていたのか」と改めて気付かされる部分もあり、繰り返し視聴したくなるはずだ。

これまでにも『ジョン・ウィック』(14)、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(16)、『ベイビー・ドライバー』(17)などの作品で、数々のクールなアクションを手掛けてきたダリン。そんな彼自身も、「おそらく今まで携わってきた中で最も挑み甲斐、やり甲斐のあるチェイスシーンだった」と胸を張る。「自分のキャリア上最も達成感の得られた作品であると同時に、過去に手がけてきた他のどの映画よりも誇らしく思える、特別な作品になったと言っても過言ではないでしょう。また、人種や文化、年齢や性別など、あらゆる垣根を取り払って退けたという点で、映画界に一種の革命をもたらしたヒーロー映画の金字塔として、映画史に名を刻む作品になるのではないかという期待感もあるんです。『これから何かが大きく変わる』と予感させてくれる、重要で意義のあるこの作品に携わることが出来て、心から光栄に思っています」。

最後に、もし日本でロケを行い、アクションを撮影するならどんな画を撮りたいかと聞いてみた。「日本でロケ撮影をしたことはまだないのですが、機会があれば是非やってみたいですね。日本は以前一度だけ訪れたことがあるのですが、その時は北海道に行っただけで、本州には行ったことがないんですよ。なので、もし日本で撮影をするならば、雪深い冬の北海道をロケ地に、スノーボードとスノーモービルを使った白銀のハイスピード・チェイスとかにトライしてみたいですね。最高にクールなチェイスシーンになるはず(笑)!考えただけでワクワクしますよ」とのこと。『ブラックパンサー』は早くも続編製作が決定しているが、ロケ地として北海道が選ばれるのを期待してもいいかもしれない…!?(Movie Walker・文/編集部)

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