“アンジェリーナ・ジョリー・ピット”と改名して臨んだ夫婦共演作に見るアンジーの本気度とドS感

“アンジェリーナ・ジョリー・ピット”と改名して臨んだ夫婦共演作に見るアンジーの本気度とドS感

アンジェリーナ・ジョリー・ピット監督作『白い帽子の女』

アンジェリーナ・ジョリーが夫・ブラッド・ピットとの離婚申請をしたというニュースが世界中を騒がせている。そんなこのタイミングに、2人が『Mr. & Mrs.スミス』(05)以来、約10年ぶりに共演を果たした『白い帽子の女』が9月24日(土)より公開される。

本作の監督はアンジェリーナ本人で、“アンジェリーナ・ジョリー・ピット”と改名して臨んだ意欲作だ。本作のメイキング映像を見ると、すっかり監督業が板についてきたアンジェリーナの頼もしい姿を見ることができる。

『白い帽子の女』は、南フランスの海辺にあるリゾートホテルを訪れた作家夫婦の物語。ブラッド演じる作家のローランドと、アンジェリーナ演じる美しい妻ヴァネッサは、まさに絵になるカップルだが、どうやらその仲は冷え切っている様子だ。部屋に閉じこもったままのヴァネッサに深い包容力をもって接するも、拒絶され続けるローランド。ブラッドのやりきれない悲哀な表情を、見事に切り取った監督アンジェリーナの本気度とドS感にうなる。

続いてヴァネッサが、隣の部屋が覗ける壁の穴を見つけ、ハネムーンでやってきた若い夫婦のイチャイチャぶりを覗き見し始めたことで物語が動き出す。2人は共に隣人夫婦を穴から観察するようになり、そのことで距離感を縮めていく。夫妻が隣人カップルの情事を覗いたことで刺激を受け、ムラムラした後、久しぶりにバスタブで濡れながら求め合うなんていうシーンもある。2人が織りなす生々しいエロスは、実際の夫婦だからこそ醸し出せたリアルに違いない。

途中までは単なる倦怠期カップルの物語かと思っていたら、やがて2人のヘビーな悲しい過去が明かされることに。2人が問題に対峙し、葛藤して乗り越えようとしていく姿は、これまでブラッドたち夫婦が歩んできた道のりとオーバーラップする。また、キーワードとなる“覗き見”だが、観客の目線から見てもブラッドたちの私生活を覗いている感じになる二重構造となっている。これぞアンジェリーナ・ジョリー・ピット監督の真骨頂といえるのではないか。

本作で主演、監督、脚本、製作と4足のわらじを履いたアンジェリーナ。メイキング映像を見ると、確固たるビジョンをもってキャストやスタッフにテキパキ指示している姿が実に男前だ。しかも、彼女たちがこの物語を撮ったのが、2014年夏にハネムーンで訪れたマルタ島というから驚きだ。ヴァネッサの絶望感、孤独感、猜疑心、嫉妬心といった負の感情を、監督しながらもマックスで体現したアンジェリーナの女優魂もあっぱれだ。

また、ブラッドも、アンジェリーナの情熱に呼応するように、50代ならではの円熟味あふれる男の色気を見せつけた。近年はアカデミー賞主演男優賞にノミネートされた『マネーボール』(11)をはじめ、『ワールド・ウォーZ』(13)や『それでも夜は明ける』(13)、『マネー・ショート 華麗なる大逆転』(14)、『フューリー』(14)と、俳優やプロデューサーとして高い評価を受けながらも、等身大のラブストーリーやロマンスなどからは遠ざかっていた。久しぶりにアンジェリーナが引き出した麗しいブラピの現役感は、ファンにとってもたまらないところだろう。

『白い帽子の女』を観ると、改めてアンジェリーナ・ジョリー・ピットの監督としての確かな手腕はもちろん、そんな彼女にプロデューサーとしても寄り添ったブラッド・ピットのサポートぶりが十分にうかがえる。それだけに“ブランジェリーナ”の破局は残念で仕方がない。この先の2人の続報も気になるところだが、2人が紡いだ愛の軌跡『白い帽子の女』のヒットも心から願うところだ。【文/山崎伸子】

この記事の続きを読む

関連記事(外部サイト)