小説が書けない作家を描く『本を綴る』篠原哲雄監督インタビュー「何か戸惑っている人が次に進めないということはある」 なくなりゆく書店への想いも

Robot Icon

AIざっくり要約

  • 新作映画『本を綴る』は本屋さんの現状と、小説が書けなくなった主人公を描きます。
  • 主人公は本のコンシェルジュとして全国の本屋を回り、書けなくなった原因を考えます。
  • 恋文を発見した那須の図書館を訪れ、宛て先の人に届ける旅に出ます。

実験的な機能のため、正確性を欠く可能性があります。記事本文と併せてご確認ください。

篠原哲雄監督の最新作『本を綴る』が、12月1日(金)よりフォーラム那須塩原にて先行公開され、一年後の2024年秋に全国公開となります。本作は、本屋さんの実状を知り、本屋に纏わるドラマを制作したいと企画したYouTubeドラマ『本を贈る』の続編で、本のコンシェルジュである一ノ関哲弘(矢柴俊博)が新たな主人公となります。

書店や図書館に足を運ぶも、書けなくなった小説家(一ノ関哲弘)は、なぜそうなったのか。挫折と萌芽、本の居場所が様々な所にあるように、人の居場所も新しく居心地よい所を見つければよいというメッセージもあると篠原監督は言います。本作に込めた想いを聞きました。

■公式サイト:https://honwotsuzuru.com/ [リンク]

●今回の作品は、昨年配信のYouTubeドラマ『本を贈る』の続編という位置付けになっているそうですね。

『本を贈る』を作る際、書店組合などいろいろと取材をさせていただきました。現状、街の本屋さんは利益を出すという意味でもたくさんの問題を抱えていて、ゆえに後継者問題も出て来ていました。存続が厳しい、持続可能ではなくなっているわけなんですね。そういう実態が分かって来たので、そこで父から本屋を受け継ぐ娘の話にしたのが、第一部なんです。

その時の主人公を演じた永池南津子さんが、書店を継ぐ娘でした。なのでもしも次をやるならば、本のコンシェルジュである一ノ関哲弘(矢柴俊博)が、なぜ小説を書けなくなったのかを探る話になるだろうし、その中で自分の立ち位置をもう一度見出そうとしている話にもなるだろうと。

●本を軸としたシリーズなんですね。

いわゆる直接的ではなくても、本の話で繋がっていけばシリーズになるのではないか、という思いはありました。

一ノ関哲弘という人物が何かを想い、本のコンシェルジュをやっていて、作家としてもう一度再生したいと思っているわけだから、その話にスポットを当てていくのが今回の話になります。

そこで脚本の千勝一凛さんからアイデアをもらい、僕からもいろいろと足していきました。それが最初のスタートでした。

●本が書けなくなった主人公は、どのようにして生まれたのでしょうか?

前の話で本のコンシェルジュが「本書けないんですよ」と平気で言っちゃうと面白いのではないかということで一ノ関哲弘のキャラクターが出来上がり、それは脚本の千勝さんが積極的にやっていたのかどうかは分からないのですが、ある時「篠原さん、最近(脚本を)書いてないじゃないですか」と言われたんですよ(笑)。

僕自身は監督と脚本の仕事は違うと思っていまして(笑)、確かにオリジナル脚本はあんまり書いていないなという思いは常にあったんです。

一ノ関は何気なくそういう設定になっていたのですが、僕は自分自身を投影できるかなという思いにもなったので、「どうして書かないのかな、俺?」ということを、ちょっと思い起こすにいたりましたね。

ただ、それとは別に今回、矢柴君も脚本に積極的に関わってくれて、やり取りを十分にしながら主人公像は作り上げていきました。

●それまで出来ていたことが出来ないようになることは、世の中によくある話ではあると思うので、共感を集めそうな気はしますね。

あくまで自分自身の問題として、何か戸惑っている人が次に進めないということはあるじゃないですか。一ノ関の場合は、本のコンシェルジュという仕事に逃げているわけですよね。僕は別に監督という仕事に逃げているわけではないのですが(笑)、書くということから遠ざかっている自分が確かにいたわけです。

ただ、一方で長谷川朝晴さんが演じている役は、今は道を変えて、本屋の良さを伝えるようになっているんです。一方で違う道を見つけるというか、それが結果、本屋としての新しい道だったので、そういうこともあるんですよ。新たな道を見つけるということの意味、大切さも、ストーリーの中で見出してもらえればと思うんです。

●ここ数年、定期的に本屋さんがなくなっていくような報道を見ることがありますが、時代の流れとはいえ寂しいものがありますよね。

僕は本屋さんが好きなんですね。まあ映画監督なので、原作探しもしますから(笑)。

ただ、本屋さんのことって改めていろいろと思うと、本屋さんでいい本を見つけ出す経験は誰しもがあると思うのですが、そういうことで思いもよらない新たな発見があり、どんどん知識も増えたりするじゃないですか。

つまりそれは旅のようなものだと僕は思っていて、何を買おうか迷ってわくわくする、この時間が貴重なんですよね。小一時間、小さな旅をしたような気分になるので、本屋さんは僕にはなくてはならない存在なんです。豊かな時間が過ごせるから、減っている現象が嫌なんです。これは本の売り手側のお話ではあるけれど、そういう想いも投影したかったんです。

■ストーリー

小説が書けなくなった作家(一ノ関哲弘)は、全国の本屋を巡りながら本の書評や本屋のコラムを書くことを生業にしている。 旅に出て一期一会 の出会いや友人との再会で刺激と温かさ、厳しさを痛感しながら書けなくなった原因と向き合う。 哲弘には「悲哀の廃村」というベストセラーがあるがその本が書けなくなった根源でもあった。 那須の図書館司書(沙夜)と森の中の本屋を訪れ、古書に挟まれていた恋文を発見する! 届かなかった宛て先人に届けるべく京都へ向かうのだが……。

2023年12月1日(金)より、フォーラム那須塩原にて先行公開 2024年秋 全国順次ロードショー

矢柴俊博 宮本真希 長谷川朝晴 加藤久雅 遠藤久美子

監督:篠原哲雄 脚本:千勝一凛 主題歌:ASKA『I feel so good』 音楽:GEN 企画・制作:ストラーユ 配給:アークエンタテインメント 2023/カラー/日本/DCP /ビスタ/107分

©ストラーユ

(執筆者: ときたたかし)

関連記事(外部サイト)

  • 記事にコメントを書いてみませんか?