「最終的にキャラクターみんな好きになるし音響がとにかく良い」 気鋭のマンガ家が観た『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』

2020年9月18日に待望の公開となった『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』。公開5日間の観客動員は39万人を突破し、興行収入5.59億円を記録。153館での公開の中で第2位にランクインとなりました。少女兵として戦っていたヴァイオレット・エヴァーガーデンが、「自動手記人形」と呼ばれる代筆屋として、上官の最後に与えられた言葉「愛してる」の意味を知ろうとするストーリーで、劇場版では生死不明だったギルベルトと、彼への想いを募らせるヴァイオレット、そして周囲の人々が、美しい作画と演出によって彩られています。

今回、『ショートショートショートさん』(ビームコミックス)の作者で、洋画・邦画・アニメ問わず映画に造詣の深いタカノンノ先生に、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の魅力や、劇場版の見どころをお聞きしました。

『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』本予告第2弾 2020年9月18日(金)公開(YouTube)
https://www.youtube.com/watch?v=Zy1K_gDXUOE&t=2s

タカノンノ(漫画家)

もともと『聲の形』や『リズと青い鳥』等の素晴らしい京都アニメーション作品を見ていたため、今回もまた凄いものを体験できるんじゃないかという思いで『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』に興味を持ち始めました。プロモーション映像も「すげえ……」と驚愕するような恐るべき作画でしたし、これはぜひ見たいと。リアルタイムでは追えなかったのでTV版のDVDをレンタルして一気見したのですが、涙腺がおかしいことになりました。レンタル期間中に好きなエピソードをもう一回見て、やっぱり号泣しました。

物語の主人公であるヴァイオレットは元々孤児で、戦うことしか知らずに戦場で生きてきました。他人の心だけでなく自分自身の感情についてもよく分かっておらず、「あいしてる」という言葉の意味も理解できません。愛を知らないヴァイオレットは戦後に「手紙の代筆」という、人が人に想いを伝える仕事を始めます。その中で様々な人の様々な感情に触れ、次第に愛について知っていく……というのが『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の物語構図となっています。

これがとても好きです。代筆の依頼者は自分の想いを話していくことで、意図せずともヴァイオレットに愛を教える(与える)ことになるのですね。また、代筆の依頼者自身もヴァイオレットと交流することで多くの愛を受け取っていきます。そして最後には手紙の相手が依頼者の想いを受け取る。このように、相互に愛を与え合うという構図が究極に優しくて、めちゃくちゃ感情を揺さぶられます。私は人に想いを伝えることが結構苦手なので、不器用ながらも手紙を通じて段々と成長していくヴァイオレットたちがとても愛おしくて、「もうみんな幸せになれよ!!」と応援しまくりながら見ていました。最終的にはキャラクターみんな好きになるという。

そんな物語に説得力を与えるのが、圧倒的に繊細で美しいアニメーションです。髪の毛の揺らぎ、瞳の透明感、服の装飾、様々な表情、旅先の風景、窓から射す光、……すべてが丁寧に描かれており、この世界への没入感をより深いものにしています。このクオリティは、他で見ることはできません。ますます京都アニメーションから目が離せなくなってしまいました。

劇場版では、ヴァイオレットを取り巻く人たちにもそれぞれ素晴らしい出番があります。特にギルベルトの兄であるディートフリート・ブーゲンビリア大佐は今回オイシイ役どころですよ……。また、TV版から見てきた人は「あ!」となるような描写がたくさんありますので、そこも注目してみてください。
あとTV版から言えることですが、音響がとにかく良いです。屋内のシーンと外のシーンではちゃんと音の響きも違っていて、強いこだわりを感じます。歩くヒールのコツコツとした音がたまりません。

『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』では、人に想いを伝えることの尊さが映画全体から溢れています。普遍的で愛おしいヴァイオレットの物語を、ぜひ最後まで見届けてください。この作品自体をまだ見たことが無いという人は、ぜひTV版から通して見てください。今ならNetflixでTV版、スペシャル、外伝が全部見れますよ。これで劇場版にバッチリ臨めます!

『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』公式サイト
http://violet-evergarden.jp/ [リンク]

(c)暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

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