アルツハイマーの“フリ”をして元恋人と逢う『43年後のアイ・ラヴ・ユー』監督に聞く「感動的だけどユーモアのある物語」

アルツハイマーで過去の記憶が失われた元恋人に思いを伝えようと奮闘する男性の姿を描いた『43年後のアイ・ラヴ・ユー』。1月15日より公開となります。

妻に先立たれ、LA郊外に一人で住む70歳のクロード。昔の恋人で人気舞台女優のリリィがアルツハイマーを患わせて施設に入った事を知り、自分もアルツハイマーの“フリ”をして同じ施設に入るという、驚きの展開からはじまる大人のラブストーリーです。

主演に名優・ブルース・ダーンさんを迎え、『カネと詐欺師と男と女』を手掛け、 全米の映画祭を中心に16の賞を受賞したマーティン・ロセテ監督がメガホンをとった本作。マーティン・ロセテ監督にリモートインタビューを行いました。

――本作大変楽しく拝見させていただきました。優しいストーリーはもちろん、LA、NY、パリと世界中の美しい景色を観ているだけでも幸せでした。

ロセテ監督:ありがとうございます。本当に、今改めて感慨深く感じるよ。この様に様々な場所でロケをする映画はしばらくは撮れないでしょうから。

――どの様な物語を観客に伝えたいと、この映画を作りましたか?

ロセテ監督:「生涯の愛」がテーマとなっていて、とても素晴らしいと感じました。最初に本を読んだ時は、感動して泣いてしまったのだけど、同時にクスッと笑える部分も多くて。ユーモアのある映画にしたいと思いました。

――アルツハイマーという病が主軸になっていながらも、暗すぎるにあたたかな気持ちになるお話ですよね。

ロセテ監督:そうですね、ロマンティックコメディでありながら、アルツハイマーという現実に存在する病気の要素があるので、とにかく特別なリスペクトを持って気を付けて描きたいと考えました。実際のアルツハイマーの方や、そのご家族が決して失礼に感じないものにすること。その上であたたかなラブストーリーにしたいと思ったんです。実際に病気について調べたり、当事者の方にお話を聞いたりしました。

――主人公のクロードを演じたブルース・ダーンさんがとてもチャーミングでした。映画界のレジェンド俳優さんとお仕事をしていかがでしたか?

ロセテ監督:最初は緊張でナーバスになっていたんだけど、とても気さくに接してくださってありがたかったよ。マスタークラスの授業を受けているような、彼の話なら何時間でも聞いていられる、そんな贅沢な時間でした。彼がしてくれるアドバイスというのは「最高峰の監督から聞いたアドバイス」であるわけですよね。「ヒッチコックがね、タランティーノがね、こう言ってたんだ」って、とにかくすごかったよ(笑)。

――映画好きにとってはたまらないお話ですね! 撮影でも何かブルースさんからのアドバイスはあったのでしょうか?

ロセテ監督:ブルースは「リハーサルを信じていない」という考えの持ち主で、実は今回の撮影はリハーサルをしなかったんです。常にその場にいて演じるタイプの役者さんで、アドリブもたくさんしていました。例えば、ジョークのあるシーンを8テイク撮ると、8回全部違うジョークを言うんです。すごいですよね! あと、元々の脚本だとクロードはもっと優しいキャラクターだったんですが、それを気難しい頑固じじいというか、ちょっとクレーマータイプのキャラクターにしたのもブルースです。親友と一緒にああだこうだ文句を言っている時と、初恋の女性リリィと一緒にいる時との対比が出てすごくおもしろくなるんじゃないかということで、作品がさらに良くなったと思います。

――素敵なエピソードですね。

ロセテ監督:本当に素晴らしい時間だったよ。ちなみに、共演のブライアン・コックスさんとブルースさんは元々友人だったそうだけど、一緒に仕事はしたことがなくて本作が初共演なんだそうです。コックスさんは、ブルース・ダーンさんがこの映画に出るという理由でオファーを受けてくれたのではないかな(笑)。

――2人の実際の関係性も微笑ましいですね(笑)。監督は本作はもちろん、とても愛にあふれる作品を作られていますが、これまで影響を受けたラブストーリーを教えてください。

ロセテ監督:『ライフ・イズ・ビューティフル』は、男女の愛はもちろん、父と息子の愛が描かれている素晴らしい作品だよね。あと、今回の作品の参考になったのが『きみに読む物語』。あれは過去をメインに描いた作品ですが、現在をメインに描きたいと思ったのが本作なんだ。

――今日は大変楽しいお話をどうもありがとうございました!

【動画】「43年後のアイ・ラヴ・ユー」 60秒予告
https://www.youtube.com/watch?v=SwmdHg6nrLk

【ストーリー】70歳のクロードは妻を亡くし、LA郊外に一人で住む元演劇評論家。近所に住む親友のシェーンと老後を謳歌していた。 ある日、昔の恋人で人気舞台女優のリリィがアルツハイマーを患わせて施設に入った事を知る。もう一度リリィに会いたいと願ったクロードは、なんとアルツハイマーの《フリ》をしてリリィと同じ施設に入居するという一世一代の《嘘》を思いつく。 シェーンの協力のもと、遂にリリィと念願の再会を果たしたクロード。だがリリィの記憶からクロードは完全に消し去られていた―。そんなリリィに、クロードは毎日のように二人の想い出を優しく語りかけるのだった。 ニューヨークでの出会い、かつて共に過ごしたパリでの日々を綴った手紙、一緒に聴いたガーシュインの音色、そして想い出の花・ユリの香り。しかし、なかなかリリィの記憶は戻らない。そんなある日、昔リリィが演じたシェイクスピアの「冬物語」を施設で観劇する事になり、クロードは孫娘と一緒にある作戦を実行する。

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