映画「犬鳴村」で三吉彩花は呪われないか 実在する“旧犬鳴トンネル”はこんなに怖い

映画「犬鳴村」で三吉彩花は呪われないか 実在する“旧犬鳴トンネル”はこんなに怖い

映画「犬鳴村」主演の三吉彩花

 全国有数の心霊スポットとして有名な福岡県の「犬鳴(いぬなき)峠」をご存知だろうか。過去に凄惨な殺人事件が起きたことでも知られ、“最凶スポット”とまで言われている。来年2月、東映がこの地を舞台にした映画「犬鳴村」を公開する。監督がホラー映画第一人者の清水祟。主演は三吉彩花。彼女は臨床心理士役で、不可解な変死事件の謎を突き止めるため、犬鳴トンネルに向かう。地元では、「映画にしたら出演者は呪われるんじゃないか」なんて声も飛び交っているが……。

 犬鳴峠は、福岡県宮若市と同県糟屋郡久山町との境を跨ぐ。峠の北側に犬鳴山(583・6メートル)がある。

 犬鳴峠には、1949年に開通した犬鳴隧道(旧犬鳴トンネル)があるが、そのトンネルの近くに、「犬鳴村」があったとされ、数々の都市伝説が残っている。たとえば、ネット上では、

〈犬鳴村は法治が及ばない恐ろしい集落で、そこに立ち入った者は生きて戻れない〉

〈村の入り口に「この先、日本国憲法は適用しません」という看板がある〉

〈江戸時代以前より、激しい差別を受けてきたため、村人は外部との交流を一切拒み、自給自足の生活をしている。近親交配が続いているとされる場合もある〉

〈旧道の犬鳴トンネルには柵があり、乗り越えたところに紐と缶の仕掛けが施されていて、引っ掛かると大きな音が鳴り、斧を持った村人が駆けつける。「村人は異常に足が速い」〉

 もちろん、これらは単なる都市伝説にすぎない。

 犬鳴は、正確に言うと、江戸時代中期に福岡藩庁が城下、地行町(じぎょうまち)に住んでいた足軽を移住させてできた集落だ。激しい差別を受けたという事実もない。ではなぜ、この地が心霊スポットになったのか。

「1975年に新犬鳴トンネルが開通して以降、日中でも薄暗く人家もない旧犬鳴トンネルは、格好の肝試しの場所となったのです。旧犬鳴トンネル近くにはホームレスが小屋を建てて住んでいましたから、それが幽霊に見えたのではないでしょうか」(地元の住民)

 ところが、1988年12月に殺人事件が起こり、犬鳴峠の名が全国的に知られるようになる。

 犬鳴峠で田川郡方城町の工員・梅山光一さん(20)が焼死体で発見されたのは12月7日。梅山さん宅の近くに住む主犯の行商手伝い(19当時)ら少年グループ5人(16〜19当時)が逮捕された。その前日、軽乗用車に乗って信号待ちをしていた梅山さんに、少年らが「車を貸してくれ」と頼んだが断られたため、梅山さんを殴って車を奪い、仲間の家に連れ込み監禁した。

 少年らは、このままでは監禁したことがバレるため、梅山さんの殺害を計画した。

 7日午前4時半頃、同県京都郡苅田町の苅田港に行き、30分に渡って暴行したあと岸壁から落とそうとしたが、が来たため断念。少年らは、今度は焼き殺すことを計画。田川市内のガソリンスタンドでガソリンを購入して犬鳴峠に向かった。旧犬鳴トンネルに着き、トンネル内で焼き殺そうとしたが、梅山さんの悲鳴がトンネル内で大きく響いたため、トンネルから150メートル離れた路上で、泣き叫ぶ梅山さんの口に破った服をねじ込み、手足を縛って石で頭を何度も殴りつけ、命乞いする梅山さんにガソリンをかけ、火を放ったという。犯行はあまりにも残酷だとして、主犯の少年には、無期懲役が言い渡された。


■大関が霊に取りつかれた


「私の妻が、犬鳴峠近くの宗像市出身なのですが、彼女の友人が、この事件が起こった後、犬鳴峠で火だるま姿の幽霊を目撃しています。まさにもだえ苦しんでいたそうです。地元の人も、くねくねと動く火だるま姿の幽霊を目撃しています」

 と語るのは、作家・オカルト研究家の山口敏太郎氏。

「犬鳴峠は、90年代から心霊スポットとして全国的に知られるようになりました。当時は廃墟ブームで、廃村、廃線巡りをする人がいました。その影響もあって、犬鳴村の都市伝説ができあがったのでしょう」

 実際、旧犬鳴トンネルで、霊に取りつかれた有名人がいるという。

「名前は伏せますが、外国人の元大関です。心霊スポットが好きで、大相撲を引退する直前、真言宗のお寺のお坊さんに旧犬鳴トンネルに連れて行ってもらったそうです。彼はお供えとしてリンゴを置いてきたのですが、宿に帰ると、急に体調が悪くなった。東京に帰っても回復しないので、また福岡に戻ってお祓いをしてもらったところ、すぐに治ったそうです」(同)

 さらに、犬鳴峠へ幽霊を見に行った帰りに、事故を起こしたケースもある。1992年6月28日、北九州市八幡西区の県道で、少年10人が乗ったワゴン車が、道路左側のコンクリート製の電柱に激突、運転していた少年は頭を強く打って意識不明の重体、助手席の少年も両足骨折の大けがをした。

 死亡事故も起こっている。

 2001年2月10日、福岡県二丈町の国道202号バイパスで、少年5人が乗った軽乗用車が中央線を越え、トラックと正面衝突。軽乗用車は大破し、5人のうち4人の少年が死亡し、1人は頭を強く打って重傷。彼らは、「犬鳴峠へ幽霊を見に行く」と言って出かけたという。

 旧犬鳴トンネルは、90年代になって、トンネルの入り口はコンクリートブロックで塞がれた。

 先の山口氏によれば、

「88年の事件の後、お坊さんが何人か、お祓いに来ています。心霊スポットと言われる場所には、霊が100体から200体いると言われています。旧犬鳴トンネルにいた古くからの霊は、もう浄化されているはずです。ただ気になるのは、トンネルが塞がれていることですね。空気が滞ったところには、新たな霊が留まりやすいですからね」

 来年公開の東映の映画「犬鳴村」について、地元では、「映画なんかにして祟られないか」と危惧する声もあがったが、

「今年の夏頃、東映さんから連絡があって、犬鳴村の映画を作ると言うので、協力を求められました」

 と解説するのは、宮若市の担当者。

「これまで、犬鳴峠を心霊スポットとして取り上げる取材については、市は一切関与してきませんでした。ただ、今回の映画化では、市のPRにもなるということで、東映さんと連携することになりました。まだ、具体的には決まっていませんが、大手旅行代理店と一緒にツアーを計画、イベントも行って、地元の特産品なども販売する予定です。旧犬鳴トンネルがある旧道は閉鎖されていますから、これをどうツアーに取り組むか検討中です。おどろおどろしい心霊スポットではなくて、あくまでエンターテインメントとして売り込もうと思っています」

 改めて、宮若市に聞くと、犬鳴村という地名は存在しないという。村ではなく、大字犬鳴という地名はあったそうだ。

週刊新潮WEB取材班

2019年11月22日 掲載

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