2021年注目アニメ一挙チェック!『ゴジラ S.P <シンギュラポイント>』ほか史上最高の作品ラッシュ年に!?

2021年注目アニメ一挙チェック!『ゴジラ S.P <シンギュラポイント>』ほか史上最高の作品ラッシュ年に!?
『ゴジラ S.P<シンギュラポイント>』(c)2020 TOHO CO., LTD.

2021年はアニメ業界にとっても見る方にとっても大変な年になりそうだ。なぜなら、史上最多の年となる可能性が大きいからである。コロナ禍で溜まっていた仕掛かり作品に加え、配信用オリジナル作品の増加にその要因が求められるが、史上二番目の制作本数だった2018年はもちろん、最高だった2006年も追い抜きそうな勢いなのである。

『ゴジラ S.P<シンギュラポイント>』(c)2020 TOHO CO., LTD.

■一歩抜きん出た『ゴジラ S.P <シンギュラポイント>』

作品数が多い状況は歓迎すべきことであるが、一方で懸念されるのはクオリティの問題である。過去最高だった2006年は前年に比べ、30分アニメ換算で900本(75シリーズ相当)も増えたが、その結果何が起こったかと言えば、海外への“制作丸投げ”であり、そのクオリティの劣化についてはネットを中心によく取り上げられたものである。

しかし、2021年4月の作品を見る限り、その心配はないようだ。2006年の反省から丸投げ作品が減ったということもあるが、全体的にレベルが確実に上がっているのが見て取れる。そんな中で目に付いたのが『ゴジラ S.P <シンギュラポイント>』だ。

『ゴジラ S.P<シンギュラポイント>』(c)2020 TOHO CO., LTD.

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『キングコング対ゴジラ』(1962年)との衝撃的な出会い以来、筆者とゴジラとの付き合いは半世紀以上になるのだが、マイベスト・ゴジラは何といっても1954年の第一作、次に2016年の『シン・ゴジラ』である。

■ゴジラの魅力

ゴジラの魅力はそのスケール感である。第一作目は日本初の怪獣映画ということもあって、そのポイントは巨大さの強調にあり、『空の大怪獣 ラドン』(1956年)、『モスラ』(1961年)、ゴジラシリーズ三作目の『キングコング対ゴジラ』、『三大怪獣 地球最大の決戦』(1964年)でも十分なスケール感が得られていた。

そして『シン・ゴジラ』(2016年)には、人間の遙か上をゴジラの巨大な尻尾がグワーンと回っていく予告編を見ただけでやられてしまった。さすが庵野監督、よーく分かっているのである。

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■伝統を意識しながらも軽快に走る『ゴジラ S.P <シンギュラポイント>』

今回のテレビシリーズ『ゴジラ S.P <シンギュラポイント>』は原作に寄せるか否かについて、おそらく山ほどの議論があったと思われるが、ゴジラに対する深い敬意を維持しつつ新しいストーリーづくりに成功している。2030年という近未来でありながら、昭和が感じられるレトロフューチャーな舞台設定、『モスラ』のザ・ピーナツを彷彿させる不思議なアジア音楽は1960年代東宝映画の香り十分、さらに謎が謎を呼ぶ展開にも大いに興味をそそられる。

『ゴジラ S.P<シンギュラポイント>』(c)2020 TOHO CO., LTD.

作品の舞台となる千葉県逃尾(にがしお)市という架空の町が、これまた映像研に登場する芝浜のような面白さを秘めていおり、特に旧嗣野地区にある管理組織“ミサキオク”という不思議な組織が東宝特撮お得意の“特務機関”を彷彿させるのも楽しい。

『ゴジラ S.P<シンギュラポイント>』(c)2020 TOHO CO., LTD.

1話ではプテラノドンのような怪獣が登場し、『失われた世界』(1950年ほか)以来の恐竜映画に対するオマージュが見て取れたが、これが実は『ラドン』であり、スケール感へのこだわりを見た。

『ゴジラ S.P<シンギュラポイント>』(c)2020 TOHO CO., LTD.

■2021年の作品ラッシュ一挙紹介

現在のテレビアニメを考える上では外せないのが、毎期話題となる作品を提供してくれるアニプレックス(ソニーグループ)、バンダイビジュアル(バンダイグループ)、KADOKAWAの存在。その中でも目が離せないのがアニプレックスの動きである。

今期も話題作満載で、『Vivy -Fluorite Eye’s Song-』は『進撃の巨人』(2013年)で一世を風靡したWIT STUDIOが暖めていたオリジナル企画を『鬼滅の刃』(2019年)のプロデューサーが受け止めたもの。製作が委員会方式ではなくアニプレとWIT STUDIOだけなのも『鬼滅』と同じパターンである。

その他にも、配下のスタジオA-1 Pictures制作の『86―エイティシックス―』、同じくCloverWorks『シャドーハウス』、もうひとつシャフトと組んだ西尾維新作品『美少年探偵団』も見逃せない。

■覇権アニメとなるのは?

KADOKAWA作品の中で、おやっと思ったのは『スーパーカブ』。地味な内容ながら、静謐なタッチで描かれる少女は見ていて清々しい。孤独な少女がスーパーカブを手に入れることで変化する過程が楽しみである。覇権アニメといった作風ではないが、永く心に残る作品になりそうだ。

スポーツはアニメの王道ジャンル。今期はスポーツアニメが豊作である。まず新体操男子を描く『バクテン!!』。前クールのノイタミナ枠『2.43 清陰高校男子バレー部』(2021年)に通じる王道スポーツ作品でありながら、よりキャラクターに重きを置いたつくりになっている。こちらもアニプレックス製作。

『灼熱カバディ』は、本来なら夕方か土日の午前中に放映して欲しい作品。カバディは一切の機器・機材が不要、体ひとつで出来る競技なので、小学校で大いに流行る可能性がある。2032年のインドオリンピック開催(正式種目になる可能性は十分ある)に備えて企画されたわけではないだろうが、スポーツの強化策としてはアニメが一番である。

『さよなら私のクラマー』は女子サッカーがテーマ。こちらも正統的スポーツ作品だが、テレビアニメになるほど女子サッカーの競技人口が増えているということであろう。2021年6月には劇場版『さよなら私のクラマー ファーストタッチ』が公開される。

スポーツアニメは子どもにも見て欲しいにもかかわらず、深夜放送のケースが多く残念である。その意味で、真島ヒロ原作の『EDENS ZERO』(Netflix)も、もっと早い時間帯で見たかった作品である。

楽器演奏やダンスシーンがモーション・キャプチャーによって容易に表現できるようになって以来、音楽もアニメの大きなジャンルとなったが、今期光っているのは『ましろのおと』である。三味線という意表を突く楽器がテーマとなっているが、これも音楽を通じて人間の成長を描く王道的作品だ。制作は『ドラえもん』(1979年〜)『クレヨンしんちゃん』(1992年〜)のシンエイ動画だが、第一作目のエンディングで総作画監督4名、作画監督14名、原画29名というクレジットを見て、その真剣度に驚いた。先行きが楽しみである。

今期一番笑えたのは『極主夫道』(Netflix)。“極道主夫”とずっと思っていたが、タイトルはともかく文句なしに楽しめる作品で、気がつくと全部見終えており、追加のタイトルが待ち遠しい。津田健次郎はこの手の作品のオファーが増えるのではないだろうか。オープニングとエンディングの主題歌も笑える。

先が全く読めない『オッドタクシー』、まさかと思った森本レオの『ドラゴン、家を買う』、藤沢文翁原作『Mars Red』、昭和歌舞伎とも言える力作『擾乱 THE PRINCESS OF SNOW AND BLOOD』など興味深い作品も多い。

まだ全部見切れていない段階で、これだけの注目すべき作品が多い2021年春期アニメは豊作だと言えよう。今後もNetflixの異色作『Yasuke −ヤスケ−』(4月29日よりNetflixで独占配信)や、入江泰浩監督の注目作『エデン』(5月27日よりNetflixで独占配信)があるのでまだまだ気は抜けそうにない。

文:増田弘道

『ゴジラ S.P <シンギュラポイント>』はTOKYO MX他にて毎週木曜放送中/Netflixにて毎週木曜、テレビ放送より各週1話ずつ先行国内配信(2021年全世界独占配信)

監督:高橋敦史
シリーズ構成・脚本:円城 塔
キャラクターデザイン原案:加藤和恵
怪獣デザイン:山森英司
コンセプトアート:金子雄司
CGディレクター:池内隆一・越田祐史・鈴木正史
VFXディレクター:山本健介
アニメーション制作:ボンズ×オレンジ
製作:東宝
godzilla-sp.jp
(c)2020 TOHO CO., LTD

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