MJ信者に拾われた赤ん坊、最強ダンサーに成長!『ムンナー・マイケル』でタイガー・シュロフのダンス&アクションを堪能!!

MJ信者に拾われた赤ん坊、最強ダンサーに成長!『ムンナー・マイケル』でタイガー・シュロフのダンス&アクションを堪能!!

■日本での知名度も抜群! タイガー・シュロフ

「日本で、タイガー・シュロフを知っている人はまだ少ない」と書いたのは、DVDリリースの『タイガー・バレット』を紹介した2020年3月24日の記事。ところがその後、主演作『WAR ウォー!!』(2019年)が公開されて一挙に注目度はアップし、相前後してそれ以前の出演作『フライング・ジャット』(2016年)や今回ご紹介する『ムンナー・マイケル』(2017年)が映画祭上映されると、彼のファンは急増した。そのため、2021年は最新作『シャウト・アウト』(2020年)が「のむコレ」で上映されるなど、ボリウッド映画俳優では目下、日本で一番人気者と言ってもいいのがタイガー・シュロフである。

タイガー・シュロフのウリは、なんといってもキレのいいダンスと、身体能力の凄さを極限まで見せてくれるアクションだ。『ムンナー・マイケル』にはこの両方がぎっちり詰まっており、インド公開時の映画評の中には、「ダンス、アクション、ダンスと同時にアクション……と、ファン大喜びの映画」といったものもあった。書いた評論家本人はきっと批判のつもりで書いたのだろうが、タイガー・シュロフのファンにとっては望むところ、ダンス上等、アクション上等、たっぷりと拝ませていただこうじゃないの、なのである。

『ムンナー・マイケル』(c)Next Gen Films, @Eros Worldwide

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ヤングもギャングもステージでダンス!

タイトルの『ムンナー・マイケル』は主人公のあだ名で、「ムンナー」はヒンディー語で「坊や」、男の子を呼ぶ時に使う単語である。余談ながら女の子には女性形の「ムンニー」が使われるが、『バジュランギおじさんと、小さな迷子』(2015年)等でこの「ムンニー」を聞いた憶えのある人も多いだろう。「マイケル」は彼を拾って育ててくれた父親(ローニト・ロイ)のあだ名で、ムンバイの映画界でダンサーをしていた父親はマイケル・ジャクソンに心酔しており、芸名を「マイケル・ロイ」にしていたのだ。そのマイケルが中年になって映画界をクビになり、意気消沈しての帰り道、雨降る道路端に捨てられていた赤ん坊を拾ったことから「ムンナー・マイケル」が誕生するのだが、この短い導入部がまず目を奪う。

赤ん坊から小学生、ローティーン、ミドルティーン、ハイティーンと、大人になる前に登場する5人の子役がとびっきりカワイイのである。赤ん坊はさすがに踊らないが、マイケル・ジャクソンの曲を聴かせると、泣き止んで笑い声を立てる、その笑顔の愛らしいこと! そしてあとの4人は、いずれも達者なダンスを見せてくれて、「アンコール!」と手を叩いて再登場を促したいほどチャーミングだ。「♪フィール・ザ・リズム(リズムを感じて)」の曲に乗り、側転などもして見せながら、『ムンナー・マイケル』の世界へと誘ってくれる。サッビール・カーン監督も、赤ん坊時代から始まって、それぞれの時代のヒット映画ポスターを背後にさりげなく配してムンナーの成長を彩るなど、なかなか芸が細かい。

成長したムンナー、タイガー・シュロフが登場してからは、ダンス仲間4人を率いてのクラブ荒らしのシーンがまず盛り上がる。ダンスが得意だとうぬぼれている金持ち息子にダンス対決を挑み、ギャフンと言わせて賭け金をいただくのだ。やがてムンバイ中のクラブから閉め出され、仕方なくムンナーは首都ニューデリーへ。ここで物語は大きく転換する。ギャングの親分マヘンドラ(ナワーズッディーン・シッディーキー)が登場し、ムンナーは彼のダンス教師として雇われるのである。さらに、マヘンドラが惚れ込んでいるダンサーのドリーことディーピカー(ニディ・アグルワール)も出現するのだが、ムンナーは彼女と恋に落ちることになり……。

『ムンナー・マイケル』(c)Next Gen Films, @Eros Worldwide

本作がユニークなのは、単なる若者のダンス映画にせず、ギャングの親分という異世界の人間をダンス・ステージに上げているところだろう。彼に対するムンナーのダンス・レッスンが「♪スワッグ(カッコいい)」の曲に乗って展開するが、ここがもうひとひねり効いていたら、と思うものの、『女神は二度微笑む』(2012年)や『めぐり逢わせのお弁当』(2013年)のナワーズッディーン・シッディーキーが、意外とヒップホップ・ダンスと違和感がないのにも驚かされる。後半はニューデリーからムンバイに行き、テレビのダンス・コンテスト番組に出たいと望むディーピカーと、妻がいるのに彼女を自分のものにしようとするマヘンドラ、そして両者の板挟みになりながらディーピカーの夢を叶えようとするムンナー、という3人の思惑が、それぞれに摩擦を生むことになる。

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ローラにクリソツ!? ニディ・アグルワールの映画デビュー作

最初に書いたように、見どころは何と言ってもタイガー・シュロフのダンスとアクションなのだが、本作でデビューしたニディ・アグルワールのダンスも注目に値する。顔が(日本の芸能人の)ローラそっくりで、彼女の妹かと思ってしまうほどだが、舞台上でのダンスシーンがいずれもいい出来だ。最初に登場するホテルのクラブでの「♪シェイク・カラーン(シェイクする)」、テレビのダンス・コンテスト番組で踊る「♪ビート・イット・ビジュリヤー(失せろ稲妻)」、ダンス・コンテスト決勝での「♪ベーパルワー(何にも囚われず)」と、いずれも華のあるダンスを見せてくれるニディ・アグルワールには、衣裳の美しさも相まって眼が釘付けになる。

ダンス監督はベテランのガネーシュ・アーチャーリヤだが、実はもう1人、カメオ出演しているダンス監督がいる。ダンス・コンテスト番組の審査員役ファラー・カーンだ。『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』(2007年)の監督でもある彼女と、ポップス歌手でプレイバックシンガーでもあるシャーン、そして女優のチットラーンガダ・シンが審査員役でカメオ出演しているのだが、ファラー・カーンは実際にテレビの人気コンテスト番組「インディアン・アイドル」や「ナーチ・バリエ(ダンス・パートナー)」などの審査員をこなしている。インド人は皆、このシーンにニヤリとしたことだろう。

サッビール・カーン監督は、タイガー・シュロフのデビュー作『ヒーロー気取り』(2014年)と続く『Baaghi(反逆者)』(2016年)も担当し、後者を興収12億6千万ルピー(約19億円)というヒット作に押し上げた人。本作でも細部にこだわり、マイケル・ジャクソンにオマージュを捧げるダンスドラマを完成させている。タイガー・シュロフのダンスとアクションだけでなく、いろんな要素が詰まった『ムンナー・マイケル』は、うっとりと画面に見入るのもよし、見ながら一緒に踊るのもよし、な作品である。

文:松岡環

『ムンナー・マイケル』はCS映画専門チャンネル ムービープラス「ハマる!インド映画」で2022年1月放送

■DVD情報
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