クラプトンやスティング、ハリソンらロック界のレジェンドが集結!『リーサル・ウェポン』シリーズは音楽もスゴかった

クラプトンやスティング、ハリソンらロック界のレジェンドが集結!『リーサル・ウェポン』シリーズは音楽もスゴかった
『リーサル・ウェポン』© 1987 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

■『リーサル・ウェポン』の音楽の魅力

1980年代〜1990年代を代表するバディ・コップ映画の傑作『リーサル・ウェポン』シリーズ(1987〜1998年)。脚本家シェーン・ブラックが創作した個性的なキャラクターとウィットに富んだセリフ、メル・ギブソンとダニー・グローヴァーの好演、リチャード・ドナー監督のメリハリの利いた演出はもちろん、マイケル・ケイメン、エリック・クラプトン、デヴィッド・サンボーンが作曲/演奏を担当した音楽も、このシリーズの人気を支える要素のひとつである。

今回はCS映画専門チャンネル ムービープラスでのシリーズ一挙放送に合わせて、『リーサル・ウェポン』の音楽の魅力を簡単にご紹介したいと思う。

■『ダイ・ハード』『ロビン・フッド』『三銃士』…今は亡き鬼才音楽家、マイケル・ケイメンの出世作

シリーズ全4作のスコア作曲を手掛けたマイケル・ケイメン(2003年没)は、『ダイ・ハード』シリーズ(1988〜1995年)や『三銃士』(1993年)、『アイアン・ジャイアント』(1999年)などを代表作に持ち、ブライアン・アダムスが主題歌を歌った『ロビン・フッド』(1991年)と『ドンファン』(1994年)でアカデミー賞の歌曲賞にノミネート。グラミー賞を4度受賞した実力派の音楽家である。

しかし、1980年代中期のケイメンはまだ“知る人ぞ知る”存在であり、『未来世紀ブラジル』(1985年)と『ハイランダー 悪魔の戦士』(1986年)でようやく目ざとい映画ファンから注目を集めたところだった。そんな彼を『リーサル・ウェポン』の音楽担当に抜擢したのは、第1作と第2作の編集を担当したスチュアート・ベアード。英国出身のベアードは、ケイメンとクラプトンが作曲したBBCのテレビシリーズ『刑事ロニー・クレイブン』(1985年)の音楽を気に入っており、『リーサル・ウェポン』の編集時に同ドラマの楽曲をテンプトラック(※注1)として使用していた。その映像を観たドナーも音楽との相性のよさを認めたことから、ケイメンとクラプトンの起用が決まったという。

■※注1:完成前の映画の編集時に、仮の音楽として一時的に使われる既製曲のこと

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■クラプトンのギターとサンボーンのサックスは主人公2人のキャラを象徴

スコア作曲の打ち合わせの際に「リッグスにはギター、マータフにはサックスを使う」というアイデアが生まれ、ケイメンは以前<ニューヨーク・ロックンロール・アンサンブル>の活動で共演したことのあるサックス奏者のサンボーンを招聘。「ケイメン×クラプトン×サンボーン」の三人でスコアを作曲する体制が整った(※注2)

クラプトンのいぶし銀のブルースギターは、リッグスの無鉄砲でエキセントリックな側面と、深い喪失感に苛まれる心の闇を絶妙なバランス感覚で描いていた。一方、サンボーンの味のあるサックスソロは、厄介な相棒を持った常識人マータフの気苦労が耐えない日常を、ユーモアと哀愁を交えて表現していた。

オーケストラスコアの中でジャムセッションの如く繰り広げられるクラプトンとサンボーンの超絶技巧のパフォーマンスは、リッグスとマータフのテンポのよいやり取りと一体になって、誰もが共感出来るような人間味を二人にもたらしたのである。

これらリッグスとマータフのモティーフはシリーズを通して使われており、『リーサル・ウェポン』の音楽構造は基本的にほとんど変わっていない。しかし、回を重ねるごとにコミカルな要素が加わり、レオ・ゲッツ(ジョー・ペシ)のミュート・トランペットや、バターズ刑事(クリス・ロック)のブルースハープ、各シリーズの悪役の楽曲で聴かれる様々なパーカッション(ログドラム、太鼓、バスマリンバ、スネアドラム、オペラゴングなど)でサウンドに変化を持たせているので、シリーズの音楽は常にアップデートされている。

■※注2:サンボーンがスコアの共同作曲者としてクレジットされるのは『リーサル・ウェポン2/炎の約束』(1989年)から

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■シリーズのテーマソングをロック界の大物アーティストたちが担当

前述のブライアン・アダムスやピンク・フロイド、クイーン、メタリカ、ユーリズミックス、布袋寅泰ら錚々たるアーティストとの仕事でロック界でも顔が広いケイメンは、『リーサル・ウェポン』シリーズのテーマソングを人気アーティストに委嘱することにも成功している。

第1作目はカナダのメロディアス・ハードロックバンド、ハネムーン・スイートが「Lethal Weapon」を歌い、第2作ではジョージ・ハリソンが「Cheer Down」を提供。

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第3作ではスティングがケイメン、クラプトン、サンボーンと共演した「It’s Probably Me」が映画のオープニングを飾り、エルトン・ジョンとクラプトンの合作曲「Runaway Train」がエンディングテーマに使用された。

第4作のエンディングではウォーの懐メロ「Why Can’t We Be Friends?」とクラプトンの「Pilgrim」が使われたが、後者に関しては、彼が当時リリースした同名のニューアルバムのプロモーション的な意味合いが強いと考えられる。

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ドナーは生前のインタビューで「クラプトンやハリソン、スティングのようなマエストロを『リーサル・ウェポン』(のシリーズ)に参加させるなんて、マイケル・ケイメン以外に誰が出来ただろう? 彼らのような偉大なアーティストと仕事をする機会に恵まれたのは、全てマイケルのおかげだった」と語っていた(※注3)。今は亡き”ロックな映画音楽家”マイケル・ケイメンの迫力のオーケストラスコアと、彼の呼びかけに応えたアーティストたちの見事な演奏/歌唱を、この機会に是非楽しんで頂きたいと思う。

■※注3:「LETHAL WEAPON SOUNDTRACK COLLECTION」(La-La Land Records)ブックレット掲載のリチャード・ドナー監督のコメントより

文:森本康治

『リーサル・ウェポン』シリーズはCS映画専門チャンネル ムービープラス「リーサル・ウェポン イッキ観!」で2022年3月放送

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