インド史上もっとも有名な女性!『マニカルニカ 〜剣をとった王妃〜』 大河ドラマのような半生を解説

インド史上もっとも有名な女性!『マニカルニカ 〜剣をとった王妃〜』 大河ドラマのような半生を解説
「マニカルニカ〜剣をとった王妃〜」©Contiloe Entertainment Aired on Colors TV India

■ラクシュミー・バーイーとインド大反乱

アジアのテレビドラマは韓流から始まって華流へと人気が拡大し、現在はタイやフィリピンのドラマが人気急上昇中だが、さらに西進して、映画大国インドのドラマにも注目が集まり始めている。インドのドラマは2019年に『ポロス 〜古代インド英雄伝〜』(2017〜2018年)が配信されて、紀元前350年の豪華絢爛な英雄物語が日本の視聴者を驚かせたが、再びインドの歴史ドラマがお目見えすることになった。今回の主人公は女性、しかもインドの歴史上最も有名な女性と言える19世紀の王妃、ラクシュミー・バーイーである。

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ラクシュミー・バーイーは娘時代の名前を「マニカルニカ(マニ=宝石、カルニカ=耳飾り)」と言い、インド北部のちょうど真ん中あたりにある都市ジャーンシーの王に嫁いだ後、富と幸運の女神「ラクシュミー」の名前を夫である王から与えられた。人々は彼女を慕い、その名に女性に対する敬称「バーイー」を付けて、「ラクシュミー・バーイー」と呼んで敬愛した。今回のドラマは原題を“ジャーンシーの王妃”というのだが、描かれるのは主人公の若き日が中心となるため、邦題が『マニカルニカ 〜剣をとった王妃〜』となったのではと思われる。

『マニカルニカ』と言えば、インド映画ファンの方々は、2020年のお正月に日本公開されたインド映画『マニカルニカ ジャーンシーの女王』(2019年)を思い出すに違いない。まさに同じ主人公を描いた作品で、マニカルニカ=ラクシュミー・バーイーの物語は、インドではこれまで何度となく映画やテレビドラマ、あるいはアニメ作品に描かれてきた。それというのも、1857年に起こったイギリスに対する蜂起<インド大反乱>で、マニカルニカは戦いの先頭に立ち、インド人を鼓舞した愛国者だったからである。

マニカルニカは1842年に嫁いだジャーンシーの王ガンガーダル・ラーオが1853年に病死したあと、その直前に親戚から迎えた幼い養子を王として即位させ、自分が後見人となって国を治めようとした。だが、当時インドを支配下に置きつつあったイギリスは、「養子は王国の継承者として認めない」という通達をたてにマニカルニカ母子を王城から追い出し、ジャーンシーを併合した。その後、マニカルニカは王位復活を粘り強くイギリスに訴え続けたのだが、1857年にはインド人兵士の反イギリス蜂起から始まった<インド大反乱>が、北インドを中心に燎原の火のように広がる。

これに呼応し、マニカルニカは反英の義勇軍を組織、さらには女性だけの軍隊を作るなどして、自らも戦いに身を投じた。この勇敢な行動から、「インドのジャンヌ・ダルク」とも呼ばれるマニカルニカは、愛国のシンボルとしてインドの人々の心に刻み込まれているのである。

If you ever want to know about the valour of the true daughters of Bharatmata, all you need to do is read about "Manikarnika".

Remembering The Bravest of them all, The Epitome of Sacrifice, The Great Symbol Of Valour, The one and only Rani Lakshmibai 🙏#RaniLakshmiBai pic.twitter.com/VP417SUJNn

— Lost Temples™ (@LostTemple7) November 19, 2021
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■インド人のツボを直撃!? マニカルニカの半生を描く超大型ドラマ

今回のドラマ『マニカルニカ 〜剣をとった王妃〜』では、少女時代から始まって、<インド大反乱>の中で1858年に命を落とすまでが描かれる。未亡人になって以降のマニカルニカの描写は、最終話110話でのダイジェスト的な紹介となっているが、それ以前の彼女の生き方が、フィクションもまじえてドラマチックに描かれていくのが特徴だ。

特に見応えがあるのは、少女時代のイギリス勢力との戦いぶりで、あのマニカルニカならこんなこともやったであろう、と想像力&創造力をふくらませた興味深い描写が次々と出現する。また、史実を大胆に脚色した革命戦士集団も登場、インド人なら見ていて胸アツになるようなシーンがちりばめられている。

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さらにもう一つの特徴は、主人公マニカルニカ役にその実年齢と近い俳優アヌシュカ・センを起用したことだ。マニカルニカの生年ははっきりしないが、英語版ウィキペディアにある1828年11月19日だとすると、1842年5月にジャーンシー王ガンガーダル・ラーオと13歳で結婚、1851年9月に22歳で王子を産んだものの、すぐに死亡、夫である王も1853年11月21日に逝去して、25歳で未亡人になっている。その後、前述のように1857年の<インド大反乱>に参加、軍を率いて各地を転戦しながらイギリス軍と戦い、翌1858年6月18日に29歳で戦死する。

■瑞々しい魅力をふりまくアヌシュカ・センに注目

これまでの作品では、映画『マニカルニカ』の主演カンガナー・ラーナーウトが公開当時31歳だったように、主役であることから常にベテラン女優が演じてきた。ところがアヌシュカ・センは2002年8月4日生まれで、インドでの本作放送開始時はまだ16歳。まさしく描かれた時代のマニカルニカそのもので、少女らしい肢体とその強い眼差し、さらに堂々たる演技により、みずみずしいマニカルニカを画面に躍動させている。

マニカルニカの父モロパント役のラジェシュ・シュリンガルプレや、ジャーンシー王ガンガーダル役のヴィカス・マナクタラらは、テレビドラマや映画の主に脇役として活躍している俳優たち。先王の妃、つまりガンガーダルの兄嫁ジャンキ・バイ役のアヌジャ・サテーは、ボリウッド映画の大ヒット歴史映画『バージーラーオとマスターニー』(2015年)にも出演している中堅女優だ。本ドラマでは冒頭からバージーラーオ2世が登場し、マニカルニカをわが子のようにかわいがるが、この2世の祖父が、強大なマラーター王国で18世紀に宰相として辣腕を振るった初代のバージーラーオなのである。こんな風に、本作は見ているだけでインドの歴史にいろいろ遭遇できる、貴重な作品でもある。

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全110エピソードもある大型ドラマだが、1話が約30分と短尺なので、すいすいと見られるだろう。マニカルニカのファッションやドレスの手の込んだ刺繍、宮廷の豪華なセットに、王やその親族の華麗な衣裳とアクセサリー等々、目を奪われるものもたくさん登場する。いろんな楽しみ方ができるインドの歴史ドラマ、まずは『マニカルニカ 〜剣をとった王妃〜』で味わってみてほしい。

文:松岡環

『マニカルニカ 〜剣をとった王妃〜』はチャンネル銀河で2022年3月25日(金)より放送開始。

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